てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

書評― 日中戦争はドイツが仕組んだ―上海戦とドイツ軍事顧問団のナゾ 阿羅 健一

ブログ引っ越した見直し、ついでの再掲(09/12に書いたもの)です。

 

一応ジャンル読書にしてるし、今後まぁ、松岡正剛さんの千夜一夜*1じゃないけども、千冊くらい書いていかないと固定層も増えないだろうし、一日五冊ペースで書評を書いていこうかなと思ってます。

日中戦争はドイツが仕組んだ―上海戦とドイツ軍事顧問団のナゾ

日中戦争はドイツが仕組んだ―上海戦とドイツ軍事顧問団のナゾ

 

  この本はまぁ、チラッと読んだくらいですが、アマゾンレヴューに書いてあるとおり独中の結びつきを丹念に、多面的に分析するというよりは、上海事変で日本がいかに大きな被害を受けたのかという解説が中心になっている。

 メイントピックとしては、おそらく、独日といえば、第二次世界大戦の同盟国の関係であり、ドイツと中国の間に協力関係があったとは、通常あまり考えない。しかし実際は、日米同盟の裏側に、日本以上に中国との強い結びつきがあった。独は信頼できる同盟国などではなく、むしろ敵対国とすら言っても過言ではない立場にあったのではないのか!?日本はドイツにはめられたんだよ!!!というものになるのでしょう(パッと見)。
 自分の言説を売り込む一般的な手法の一つですね。常識であったことが実は、真逆だったという論法は。しかし独と中国の関係性の記述が思った以上に薄いために、う~ンという感想にしかならなかったですね、己は。
 国を守った上海事変という戦争の記憶が薄れてしまったという憤慨は共感できますが、大きなテーマである・本のタイトルにもなっている「ドイツが仕組んだ」というのは同意できませんでし た。第二次世界大戦で日本がもっとも苦しんだ、あるいは敗戦にまで至った大きな原因はさまざまな分析が出来るでしょうが、己は―

地政学上の要因、欧州という世界舞台の裏庭にアジア・日本という極東があった。よって日本の動向は最優先事項足りえず、ドイツ・ソ連の動向こそが、当時の大国の最優先事項となった。

 ―という事実こそがポイント、畢竟このことですべての事情が説明できると言っても過言ではないくらいのこおだと思ってます。よって日本に対する外交は、まず欧州の懸案事項を決めた後でしか、決められない環境にあった。二次的な国際間関係の構造の中で、優位な状況を築けない日本は、おのずと従属的な立場に追い込まれていき、戦争の選択と敗戦へと追い込まれていった。

 というわけで、ドイツがどうだからとかいわれるよりも、コミンテルン中共やアメリカのスタンスの方がはるかに大きいという事実を覆すまでには至らないでしょう。一応過去に帝政ドイツが帝政ロシアを東進させる手助けをして、日露戦争に至ったことはありますが。

 ヒトラーが政権を獲得して以降、日本との関係を重視し、中国の軍事支援を止めさせたという事実は意外でもなんでもなく、むしろそうだろうなと納得しましたね。独に限らず、世界中どの国も中国市場の巨大さ、将来性を見込んで進出したがっていましたから、中国が望む軍事支援をするというのはむしろ自然のことでしょう。独が当時日本と関係を強めたいという理由は世界大戦以外なかったですし、(経済的補完関係はどうだったかというのはちょっと分かりませんので、はっきりと断言出来ませんが)。

 独はソ連とのラパロ条約に代表されるように、再軍備を禁じられ、その抜け道を外国との軍事関係に見出した。対外軍事顧問・軍事ノウハウを提供する代わりに、その国で再軍備準備をするという外交の基本戦略があった。その延長に中国との関係があったという指摘は確かにそうだろうな、なるほどと感じました。

 よってヒトラーまで、独中が相思相愛関係にあった―というまとめで普通は終わるはずなんですが…。結局、それまで国際秩序を維持する側だった、体制側だった日本が、秩序変革派・挑戦派に転向するに連れて、独日関係の深化に移るわけですよね。国際情勢の変化につれ、当たり前のように、ドイツにとって中国より日本が重要なパートナーとなったっていうだけでは?まぁそれじゃ本を売るのに弱すぎるってことなんでしょうかね?センセーショナルにしないと売れないみたいな…。

*1:千夜千冊TOP - 松岡正剛の千夜千冊 - イシス編集学校。というページに今はなっているみたいですね。