てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

書評― 2010年世界経済大予言―松藤 民輔 増田 悦佐

 ブログ引越し&見直しの再掲です。元は09/12に書いたものです。

2010年世界経済大予言―大恐慌を逆手にとる超投資戦略

2010年世界経済大予言―大恐慌を逆手にとる超投資戦略

 

 

国家破綻はありえない

国家破綻はありえない

 

  増田悦佐さんはこの本で当時流行だった国家財政破綻論を珍しく反対論をはっていたので注目するようになった人です。しかしまぁ、それ以後の作は

格差社会論はウソである

格差社会論はウソである

 
日本文明・世界最強の秘密

日本文明・世界最強の秘密

 
高度経済成長は復活できる (文春新書)

高度経済成長は復活できる (文春新書)

 

 と、読んだのですが…正直一つとして感心するところがありませんでした。『高度経済成長は復活できる』は当時の格差是正政策が、資本主義の健全な競争を抑圧した結果将来の成長性を奪ったという論で、それはもちろん理解できるのですが、当時の、70年代の角栄の国土均衡発展論のころは、今のように冷戦が終わり、東側陣営の安い労働力によりデフレ経済を基調とする、無尽蔵に安い製品を作れるような時代になるという状況は誰一 人として分からない時代だったわけです。
 当時の時代を常識的に考えれば、まだ革命が起こる可能性はあったし、そうでなくとも冷戦がずっと続くと考えてもおかしくはない状況でした。そこで輸出= 日本の成長という神話に基づいている経済構造の中で満遍なく富を分配していこうという経済政策以外に何が採れたというのでしょうか?
 もし、そのような政策を採らなかったら今の私たちはもっと豊かな社会を実現できていたのかもしれませんが、そのために当時生きている人間たちに自分の生活を犠牲にして将来の私たちのために苦労しろとは言えないでしょう。改革とは、構造を有効なシステムに作り変えるものですが、古今東西改革の過渡期には大きな犠牲者が出るのです。そのために改革をゆっくりやらざるを得ないのです。急激な改革はその分ものすごい犠牲者が出るから失敗してきたのです。

 『日本文明・世界最強の秘密』では、まぁ上記の本の論の繰り返し、日本の鉄道技術は凄いよ、クリーンだし、車は地球汚すから止めてね。今後のエネルギー事情を考えると
日本明るいよ~( ゚∀゚)o彡高度経済成長の本でも思ったけど、それで?so what?にどうしてもなる。大前研一氏の様な地方分権・道州の枠毎にその強みをどうやって生かすかという指摘があればともかく、三大都市圏だけを注目し てそう言い切るのはいかがなものでしょうかね~?その三大都市が発展する=地獄の通勤ラッシュがさらに拡大した場合どうなる?あの通勤地獄をいまだに改善できない日本の事情をどう説明するのだろう?大前研一氏はその点も一応指摘しているのだが…。*1

 格差社会論も良いところ、悪いところを総合的に判断すれば、日本は間違いなく今の時点で世界一よい国だと。というか足し算で国を判断しているのだろうか?例えば環境とか教育水準だとか、平均年収だとか色々指標を設けようと思えばいくらでも設けられるだろう。それをすべて足してポイントが高い国が世界一幸せな国なのか?昨今の格差論の本質はそんなところにあるのではなく、日本のバブルのような黄金時代に比べると今の時代は、世界潮流から見ても
、かなりの層が一定の割合で低所得に追いやられてしまうという構造上の変化であろう、ゆえにワーキングプアーなどネット難民などの問題が発生するわけで、そこが問題だから格差論というものが一一大テーマになっているのではないのか?
 使用する用語のすべてが、意味がはっきりしない用語、その言葉を作って説明してそれで何が分かるのか、どんな現象が解説できるのか。自己満足に過ぎない。突っ込み出したらキリがない。多数の文献の引用があるが、意味のある指摘の、意味のあるデータなし。よく出来ましたね。調べられてえらいね。一人で留守番できてえらいね。―という以外の感想が出てこない。というより一つの説明に引用するデータの話が長すぎ&曖昧模糊。日本は~型、世界は・欧米は・米は~ 型とするけども、立証に乏しすぎる。それでどうして日本に将来性があると断言できるのか説得力に乏しい。

 長くなりましたが、まあいつものことなんですけど(^ ^;)、本編ペーン。民輔さんはサブプライムローンがちょうど本格化する少し前に、米住宅ローン が破綻するという本を出して結構注目された人で、自分も凄く印象に残っています。なんと民輔さんはこの人を高く買っているようです。サブプライム以降本を量産したのを見て、中身があれば良いですけど、「なんか俺世界中の金山掘ってみて回った!俺努力!俺すげぇ」的なところがちょっと目に付くようになってきましたね。もちろんバフェットの話とか多々参考になりましたが。
 それはともあれ、今回の本はアマゾンでも低い評価が多々(^ ^;)豚インフルは米国の
移民制限の陰謀だとかね…。後ナイ氏が駐日大使にならなかったのは、日本のソフトパワーで次々感化されてしまうからだとか、どう考えてもありえない論があったのには少しびっくりしました。外務省然り、外交に携わる人間というのはほぼ例外なく、対外国穏健派なんですよ。外交官の仕事というのは話し合い、ナシつけることですから。軍人はそれを銃使ってやるから常に強硬的な立場・論をとることが多い。在駐大使が相手国に対して理解を示さないわけがないでしょう (笑)。その国に腰を据えて、その国の行動原理を学び、相手と友好関係築くのが目的なんですから。日本は最大の同盟国って発言して、米と日の間を取り持とうとしなければ何しにその国行ったんだってなるでしょう(^ ^;)
 ナイ氏は論功行賞上外れた、日本軽視ってのは一つの見方ですが、それより前書いたように日米関係は少なくともカネを巡って悪くなることはあっても良くはならないのですから、そういう政権が出来立てのとき、間近な時にナイ氏のような人物就けないでしょう常識的に考えて。

 ※追記、―と思ったら
ろくに書くことことない。オランダのように経済覇権を日本が握るとか可能性はあっても、実際にはまずないです。まずトップにそのような戦略が今のところない。世界をせっけんするような新テクノロジーの発明もないですし。次に英語・中国語に次ぐような言語に日本語がなっていないこと。同じくドル・ユーロに次ぐ通貨として円がなっていないことなどなどまずありえないでしょう。日本兵の強さに恐れたあまり、日本人から戦争を奪ったって、対米報復を恐れただけですよ。歴史学の研究成果で敗戦国は必ず報復に出るって書いてあるんですから。実際朝鮮戦争のとき、自分たちをあそこまで追い詰めた日本兵を、歴史SLG三国志バリに、蛮夷兵として用いようとしていましたしね。米は日本を再軍備させたがっていたという要素を無視してはダメでしょう。

*1:アマゾンレヴュー評価高いでやんの(´-ω-`)、大前研一やピーター・タスカに匹敵する論客だそうで、ビル・エモットも・ピータータスカも凄いと思ったことないんだけどなぁ