てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

西洋の没落 オスヴァルト シュペングラー

 ブログ引っ越した見直し&再掲(09/12に書いたもの)です。

 

以前、松岡正剛さんを出したのと、増田さんの日本文明論を引っ張り出したので思い出した。西洋の没落について*1

 

 

西洋の没落 第二巻 世界史的展望 (世界史の形態学の素描)

西洋の没落 第二巻 世界史的展望 (世界史の形態学の素描)

 
西洋の没落 第一巻 形態と現実 (世界史の形態学の素描)

西洋の没落 第一巻 形態と現実 (世界史の形態学の素描)

  • 作者: オスヴァルト・シュペングラー,村松正俊
  • 出版社/メーカー: 五月書房
  • 発売日: 2015/06/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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 西洋の没落 - 松岡正剛の千夜千冊という正剛さんの記事がありますので、そちらを読んでいただければ、己の記事なんてあんまり読む意味ないと思いますがメモとして書いておきます。
 この本は大学時代に、この書評を読んで、なるほど!面白いと思って読もうとしたら、まぁ巷のアマゾンレヴューにあるように。読めぬ…

Dr.きのこるの もう、ゴールしてもいいよね・・・?

状態に陥るわけです。簡単にまとめますと、色々な文明を、各時代毎の帝国・覇権を握った有名なものなど、筆者が研究材料に選んだテーマをピックアップし、インド・ギリシア・ローマ・アラビア・ヨーロッパなどを比較材料に文明というものの運命、覇権国がどういう運命を辿るのか?というものの傾向を解き明かそうとします。そして文明または国には軍事、文化、音楽、芸術などなど色々な要素が、ある段階まで発展すると、次の段階に移行する法則を説きます。軍事大国→経済大国→文化大国などのように。するとどの国・文明も必ずステップを踏んで滅んでいくという傾向があるという主張をしました。そして西欧もその過程にあって、もう滅んでいく段階に入っている!という当時一大センセーショナルを巻き起こしたのでした。その中で、彼はもう西欧ダメポ\(^o^)/的な論で終わらせるのではなく、むしろ進んでこの文明を終焉に向かわせ、新しい文明を一から築き上げることでその宿命を克服すべきだと論じました。

 当時世界は第一次世界大戦が終わったばかりであり、彼の論はその後の思想をリードする重要な基礎になりました。事実西欧は崩壊のような状態にありましたし、戦後新秩序をどうすべきかということは普遍的なテーマだったわけですから。社会をどうすべきかという、その思想・哲学的なバックボーンの一つになったのはいうまでもありません。

 構造主義が主流になるまで、文化人類学レヴィ=ストロースや、一般言語のソシュールの言説などが出るまでの世界は、今から見ると単なるDQNとしか思われないような論理、世界を制すべき、主流となるべき一つの思想があって当たり前という時代でした。ヨーロッパはどの国も、自国の文化が世界中に広まるべきだと考え、植民地化されることは文明化されるいいことだと考えましたし、ロシア=共産・日本=八紘一宇・独=ナチス・米=市場・民主原理+米の存在が絶対の唯一主義など。絶対的な価値観がありました。どの国も文明論というものを根底において、自国の生き残り戦略に欠かさざるものとして研究していました。もしこの文明論がなければ、ナチスもロシアもそのような行動に出たか…ということまで言われた位です(実際は、なくても同じような結果になったでしょうが)。こんなところでこの本の凄さを説明するのは十分でしょう。

 んでまぁ、面白いと思って読み始めたら、全然読めないんですねぇこれがまたΣ(゚△゚;)。独観念哲学の影響か?アポロン的、ディオニソス的、ファウストそんな言葉使う必要あるのかという用語を使いまわし、歴史をかなりやりこんでる己*2が知りもしないような人物・事件細かい出来事を列挙。まぁ、文学・音楽などは知らないのはしょうがないと思うけど、モット所々まとめを書いて分かりやすくしようという気はなかったのだろうか?もしそうしていたらこれは、エドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』のような名作として名を残し、知名度を誇ったのかもしれないのに (´・ω・`)ショボーン。ただ、自分が読んだのは本当に古い今にもわけの分からない虫が出てきそうなバージョンだったので、上のような新しいやつは訳も分かりやすくなっているのかもしれません。訳があまりよくないとも言われてますし、それならまた読んでみようかなとも思います。

 

追記:文明論というのは彼に影響を受けた一大文明論学者のトインビー氏も然り、比較して初めて成立するものです。日本だけの文明論論じて、経済OK!(^ ^)bグッかもしれないけど、他文明と比較して初めて文明論は成立するわけで、それだけ論じても意味ないですよ。ハッキリ言って。比較検討しない比較論が出てくる時代なんですかねぇ…。

*1:しかし何回も出版されてますね。絶版と再販の繰り返しなんでしょうか60年・70年・00年・10年と出てるみたいですね。ひょっとして翻訳が変わって読みやすくなったりしているかな?と思いましたが、訳者は変わっていませんね

*2:全然読んでないだろ!いい加減にしろ!