てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

書評― 新憲法試案 鳩山由紀夫

ブログ引越し&見直しの再掲です。元は10/01に書いたものです。

 アイケンベリーの次にデュルケムに手を出すべきじゃなかったな(´-ω-`)。イヤーつらかった。しかしデュルケム凄いわ。マックス・ウェーバーも天才だと思ったが、この人も間違いなく天才ですわ。学問の興隆期に出る天才・泰斗ってのはまぁ綺羅星のごとく出るものですわな。この時代のレベルの高さといったらとんでもないわ。

 さて、ようやく書きたかったこの記事鳩山・菅氏の政治スタンスを解説する記事がかけます。

新憲法試案―尊厳ある日本を創る

新憲法試案―尊厳ある日本を創る

 
民益論―われら官僚主導を排す

民益論―われら官僚主導を排す

 

 の二冊から分析した結果を書いてきます。

 まず憲法案から。祖父鳩山一郎を引き合いに出して、友愛革命―友情と智を両輪とした民主主義の確立というものの継承を唱えます。いわく祖父の悲願、憲法改正と日ソ共同宣言の二つの事例が取り上げられ、領土ではなく、ソ連にいる日本人同胞を救うためにこの問題を何とかせねばならないと唱えた祖父の偉大さが説かれます。つまりここから鳩山氏が対ソ・対北関係の打破を進める可能性がある人間であることがわかります。自分が政権に就いたらどのようにして外交関係を構築し、この膠着状態を打破していくのかということが説かれたならばよかったのですが、残念ながらそれは記されてはおりません。
 友愛革命を祖父のそのままの言葉で説くのではなく、自分の解釈によるとと前置きして「自立」と「共生」による民主主義政治こそが現在では友愛革命になると定義します。
 「押し付け」であるという理由では、現憲法を否定せず、前文・九条は非現実的だとして否定的なスタンスを取ります。さらには「改憲」ではなく、「創憲」なのだ。として、より過激なスタンス、つまり一から国のあり方を捉えなおすべく、部分改正ではなく抜本改正=改革を訴えます。


 対外対内情勢の変化、護送船団方式の崩壊とその後にそれに対処するための、続く小泉改革はまさに時代の変化の現れであるとし、何故小泉改革が失敗したのか?それは本丸であるシステムそのものがダメであるからとします。
 改革の本丸とは中央集権システムを地域主権へと転換させ、中央集権は田中角栄に始まる自民党族議員型、民間癒着型政治を生んだためこれを打破する!ために必要であると訴えます。環境破壊に、非効率的な利益をもたらさない、公共事業の原因は官僚の無謬性に基づく、中央主導の結果であり、これを地方に任せるべきだとします。
 癒着・中央財政の赤字垂れ流し体制を是正するためには「補完性の原則」を採用し、地方こそが手動を取って進め、国は半分から三分の一までその機能を縮小すべきであると説きます*1。しかし氏は道州制ではこの既得権を崩せないとして道州制を否定します


 米依存・官僚依存の社会からの脱却を唱え、国際協調主義、カーレルギー伯の友愛精神=EUを取り上げ、アジア太平洋においてもこのような共同体を作るべきだと唱えます*2

 ここまで前文で、殆どこの本はここで終了といってもいい。後は憲法を振り返りながら、ここをこうする、あーするとコメントするぐらいで触れる必要はありません。いずれ政策提言シリーズで書きますが、国会を中心とする考えはマイナス、失格といってもいいミスですが、まぁどうせ他の政治家も認識していないですから、ここではおいておきましょう*3
 宗教教育の禁を改めること、学習指導要領や教科書検定など改めるべきと唱えている点は○。集団的自衛権がないという異常な解釈や、軍を動かすとき内閣総理大臣の指揮下にあるとはっきり定めるべきだという指摘などここら辺もしっかりしている。そして「国家主権の委譲」というのがあります。つまりEUのような地域共同体が出来た場合、国家主権の委譲を行なうことを睨んで、その一文を入れようという考え方です。これについては解説で詳しく。海賊の取締りなどで協力し、豪や韓と集団安全保障機構を形成しようなどという案は以前のニュースで取り上げたのと同じく、国際関係理論を理解しているというリーダーとしての指導力・戦略性を感じさせるものです。
 鳩山氏が唱える地域主権の構想はまず市からスタートし、次に道州の単位に氏は「圏」という言葉を使います。市→圏→国という構想で政治は進んでいくべきだ。つまりトップダウン型でなく、ボトムアップ型にすべきだと主張します。その延長上に地域共同体であるアジア共同体が来るともしています。つまり一連の構想として組み込んでいます。市が中心となり、圏によって県は解体され、吸収される。一県で圏を構成するも政令指定都市で圏を構成するもよし。


 首相公選制についてはトップと議会のねじれの場合非効率に陥る可能性を指摘し、これを否定する。そのため衆議院選挙が首相首班に直結するために政党条項を設け、しっかりした政党政治の確立を目指す。細川政権のような衆参ねじれが起こらないように参議院の権限縮小、さらには衆議院の解散と同時に参議院もイタリアのように解散し、ねじれが起こらないようにすることを唱える。一院の多数派をチェックするための二院の役割よりは、一院制に移行したデンマークスウェーデンなどのように少数派に対する国民投票の請求権や憲法裁判所への提訴権、又オンブズマン制度の活用などが機能しているために、一院制にし、さらに会計検査院への調査権を加えるべきだとする。


 行政権内閣総理大臣に属するとして、総理大臣の大幅な権限強化。大臣に首相の罷免要請権はなく、首相が大臣を自由に首に出来ること。また緊急時のトップの順位付けを定めること。国会の通年会期化、会計検査院の創設、憲法裁判所創設による不毛な論争の打破(九名、国会・首相・最高裁がそれぞれ三名ずつ選出する。任期六年)などを指摘しています。
 議員の三分の二以上の賛同で憲法改正という点はどうでしょうか?ハードルが高過ぎると思いますけどね、今のような議会政治のレベルでは混乱の要因になるような…。まあハードル低くしても議員(=報道=国民)のレベルが低かったらどっちにしろ同じですかね。
 ヤバイ、長いし疲れた(^ ^;)分割します。

*1:ここまでの憲法へのスタンスと地方分権の重視は、橋下さんとかなり近いんですね、実は

*2:ここに至って橋下さんとは決定的な違いがでますね。米依存脱却か、それとも日米同盟依存のままかという

*3:当時はおそらく、トップへ強力な権限をもたせるべきと考えていたのでこう書いたんでしょうけど、現政権の議会軽視・憲法軽視を引き合いに出すまでもなく、国会の権能強化=官僚の権能を弱めるということを言いたかったんでしょうね、きっと。