てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

民主党について(6) 鳩山政権の行動を探る。

 鳩山氏のプランを振り返って検討してみます。結論を先に言うと、100点中70~80点というところではないでしょうか?自民党政治家たちの出した本と比べると雲泥の差ですね。日本の政治システムがいかに欠陥だらけであるかということをしっかり指摘しているのですから。むしろ、ここまで民主党が政権を取るのが遅かった理由の方が後世の研究テーマになってもおかしくありません。やはり、「民主では不安」の言葉通りに、安保の面で本当に大丈夫なのかという保守層の反発を受けたことが大きかったのではないでしょうか?

 

 

 一部で馬鹿にされているように、友愛という言葉が意味不明すぎましたからね。フリーメーソンの重要な言葉とはいえ、政策にまで使う必要あったかという疑問が出てきます。一体どこの、どんな信念に基づいているかが不透明なので、「友愛されました」のような不透明性、言い知れぬ不安が常に付きまとっていたと思います。ルイージ鳩山が言っていたように民主は早くから安保の面でしっかりした国防観念を強調していたら、四年早く政権を取っていてもおかしくなかったと思います。靖国など、参拝は心の問題で他国に言われる余地はない。しかし中韓が理解をしてくれるような環境にない以上、政権成立一年目だけにして、相互信頼を築き、彼らが問題ないと理解してくれるまで絶え間ない相互依存と信頼醸成・交流に勤しもう―という態度であったら・・・と思わずにはいられません。

 

 環境問題や東アジア共同体などの地域レジームへの言及と、彼のスタンスは政治家というよりはまさに宗教家に近いです。高岡さんもこの人だけは他の政治家と明らかに異なった身体構造をしているといってましたし。そういう精神から発せられていると考えて間違いないでしょう。後は政治を利権ではなく、きちんとした道理に基づいて動くようにしようというスタンスですね。エリートはエリートと交わる。そういう国際的にトップといわれる集団と交わる以上民主主義政治の常識は必ず伝播していくということを以前指摘しましたが、まぁまさにそのケースなんですね。鳩山さんは。菅さんは市民運動出身の人ですし、全共闘世代の人。いかにして権力の腐敗を起こらないシステムを作るかという視点から出発するのは自明の理ですね。

 

 一つ一つポイントで指摘します。まず道州制ならぬ、市圏制。これはどうでしょうか?己はこれは非合理的だと考えます。まず出発点が適切かどうか。ふさわしい経済単位においてから立法権・徴税権を委譲して、地方独自の強みを生かして発展させようという視点が道州制であります。しかしそうではなく、まず公共事業の腐敗、政治の腐敗打破という視点から地域主権を論じているのでしょう。このシステムにしようというのは。現実的に市という単位で立派な仕事をする政治家というのはいないことはないですが、規模が小さすぎて、やることが限定されるゆえに、あまり優れた人材が流入することはないと思われます。むしろ市規模ではあまり議会・議員自体に金をかけるべきではないと考えます。小さい行政単位ならば、市民団体やボランティアに任せるべきではないでしょうか。確か大前研一氏の著書でも小さい行政単位はボランティアで運営される例が指摘されていましたし。そもそもこのような小さい行政単位で権限を完全に委譲した場合、自主性による強みが発揮されるより、小さい単位による囲みあいが起こり、いがみ合って経済政策にせよ、公共事業にせよ、将来のビジョンにふさわしい政策が上手くいかない可能性が高いでしょう。これをやるとするならば、まず道州という大きい単位に一旦分割した後、市へやるならやるで、そのサポート・統合を上手く導いていく中間形態の設立がまず先でしょう。圏というものを想定してますが、政令指定都市など独立してしまった場合、残された周辺はやっていけるのでしょうか?小さい単位に分化するという視点を初めから定めるべきではなく、やるのならばその地方に選択権を与えるだけでよいです。初めからその単位を設定する必要性はないと思われます

 

 次に国会を中心とするというもの。政党政治に基づいて、首相首班を衆議院が行なうというシステムですが、このまま政党政治が上手く運営されるという前提で話が進められていると思われます。むしろ今まで一党独裁に近いシステムで、自民党システムは不透明性が強かった。民主がそれに変わり、一枚岩で政治に携わっているとはいえ、きっちり党内の代表戦で指名された人物にきっちり従うかまだ未知数ですし。その点は大丈夫だとしても、政党政治は一党だけではダメで、その対抗馬がなければ意味がないでしょう。まぁ、この著からかなり年を経ていますし、現在の考え方とは異なっている点もあるでしょうけど、この案はいただけないと思います。政界再編でしっかり、二大政党が確立されれば、それで良いでしょうけど、それが失敗した場合も考えて、やはり強力なリーダー・トップを直接指名する選挙にすべきだと己は考えます。何より、その二大政党が衆院選で大差が付きますから、選挙に敗れた後崩壊する可能性がないわけではない。まぁ、この点はいずれ政策提言編で。

 

 衆参ねじれのような機能麻痺に陥らないために、同時解散や参議院を弱めることの提言、強力なリーダーに危機管理の序列、三権分立を機能させるための憲法裁判所の設置、国会の通年化など全て日本の政治システムを強化するために優れた指摘であります。以前俺はまだ本気出してないだけ状態の会計検査院が本気を出した記事を書きましたが(<会計検査院>2元局長の懲戒要求 防衛省で支出違反)、つまり彼らはここで何らかの人身御供を差し出さなくては自分たちの機関がもっとも悪質であるとして狙い撃ちにされると恐れたからこそ、やる気出して急に(`・ω・´) キリッと働き出したのですね。

 

 信賞必罰の徹底を、つまり組織建て直しをしようという点で菅氏はきっと官僚内部でも支持を受けたのでしょう。もしこれが答弁もろくに出来ない大臣だったら官僚に馬鹿にされ、薬害エイズのような功績は挙げられなかったでしょう。官僚システムを再生させる上で、叩く・戦うことは間違ってはいませんが、ではその後どうやって彼らが安心して働ける状態にするかという点はないのが少し不安ですね。そうでなければ官僚の内に味方を作って改革を全うすることが出来ませんから。

 

 以上、自民よりははるかに優れており、政権を任せるに足ることは間違いない。で次回は、彼らはどのような政策に出るのか?地方参政権のように、本当に大丈夫なのか?という観点を見たいと思います。あとそこでの答えから民主は必然的に割れるということも。小沢さんの意見・政策を紹介しながら述べます。