読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

書評―人間を幸福にしない日本というシステム カレル・ヴァン・ウォルフレン

本・読書―批評・批判・感想・レヴュー

 

ブログ引越し&見直しの再掲です。元は10/04に書いたものです
人間を幸福にしない日本というシステム (新潮OH!文庫)

人間を幸福にしない日本というシステム (新潮OH!文庫)

 

で、ようやっとこれ書きます。ちょっと書きますよ(つ´∀`)つ。

 そうか猪瀬さんが褒めてたからか、有名なのは。でもな~という感がいくつかある。この本はかなり珍しい本。典型的な、たいしたことない、あまり褒められない人間が書いており、所々?が見られるのに、優れた指摘があるというまぁ、読者泣かせの本です(^ ^;)。

 

 

まず、誤りから

p18、臣民=subjectであるが、その「臣民」という観念をしっかり理解していない。臣民は奴隷でも、盲従的な民でもない。天皇制の下によって身分制度が打破された証。まぁ、コレは日本の学者でもろくに理解していない人間がいるから仕方ないか…。

 p52、福沢諭吉を例にあげ、市民を権力が妨害したという主張。福沢がそんなことを言ったか?本来こういう一用例で、とりあげてもしょうがない。というのは大きな流れの中で使うたとえであるから、それを逐一不適切なんていっていては何も書けなくなる。それをあえて取り上げたのは安藤昌益を、権力の反逆者のように単純に表現しているからだ。江戸時代の思想家の内容など、己でも怪しいのに専門に研究していない人間が、そんな簡単に言い切れるものか?と思わざるを得ない。官僚批判はいいが、官僚制の理解に、官僚VS市民の図式が単純な善悪二元論者という己が最も嫌うタイプの言説をしている可能性が高い。

この人物は経歴がない。代表作の権力構造の謎も三十年日本に住んでいるのに、自分で日本語で書いていない。日本語能力がない&Drでない&二元論者=読む価値なし。

 それなのにいくつか取り上げるべき点がある。コレはこの人物がどうとかいうより、日本の政治学が劣っているということだろう。というより、政治学の方でも紹介してきてはいても、まったく影響力がないということだろう。

 

 p55、「中間階級」の欠如?文化はあるという。むしろ逆で、階級はいて、多くが中産階級になったのに、市民独自の文化がないと思うのだが…?会社=家族のサブイデオロギー、ちょっと?

 p68、父親不在の社会がマザコンを作り、ドラマで母が息子のマスターベーションの手伝いをするような状況を生む。そして青年マンガの女性への抑圧はこの母と社会のうっとおしさから来るものだという( ゚Д゚)。あいた口が塞がらん…。これもHentai Mainichiのおかげなのだろうか?というかこんなの信用するなよ…。日本の社会は低俗社会と思いたい欧米人の偏見丸出し。アンネの日記読んで、欧州でよく虐殺、人種狩りがあるというくらいおかしいでしょう。判断力がなさ過ぎ。

 p70、侍をprivacyがない=かわいそう(翻訳前では違ったかもしれない。もしそうなら翻訳者の責任だろう)。そんなバカな(´-ω-`)

 p77、誰もが米との戦争を無意味と認める。基本的な戦争に至るまでの事実を知らない。国民は誰もが開戦を望んでいた。

 p78、「政治化された社会」?よくわからない用語。もしかしたらアジアかなんかの研究でよく使われる言葉なのか?

 p80、「官僚独裁主義」官僚は集団、独裁しようがない。ニュアンスはわかるが、ちょっと言葉は矛盾するがとかいれないと?と思う。

 p131~133に官僚制の説明があるが、こんな説明では到底官僚制の問題点を説明できないだろう。官僚制のまさに問題点を論じているというのに、こんななおざりな説明でいいのか?

 p137、官僚放任、真珠湾は軍官僚の仕業 >ΩΩΩ「な、なんだって~!」

 p139、官僚と軍の父山県有朋をボロクソに言う。

 p144、国民は完全に蚊帳の外、まあコレは己が筆者のスタンスが過剰で納得できないから?と思ってしまうのだが

 p161、産業拡大は「被害者意識」からくる。コレが根源にある。コネがないから、日本の外の社会ではコネが通じないから不安になる。「人脈」で動く社会だから、徳川=軍事独裁という断定。

 p166、経済=日本の支配を確立するため。日本を世界経済の中心にする。ΩΩΩ「な、なんだって~!」再び。こういう考え、誤解があるからよく闇の支配者みたいなトンデモが出てくるのか…。

  p277、徳川独裁で安藤こそが人間。

 ―というようにあまりにも稚拙な表現、思い込み。まるで近代善、それ以前悪みたいなレヴィストロースもびっくりの考え。こういうのはイエロージャーナリズムに近く、あまり読むに値しない典型的な言説。徳川がなぜ成立したとか、流れの説明がないのに、単独でコイツがおかしい、間違っているなど説得力ゼロ。やっぱり単純なジャーナリストに過ぎないな~という感じ。

こっから優れた点の話

 政治家の腐敗把握ではない、「金権政治」の真の主役は官僚。p44業界団体と系列が、談合を生む。だからこそ談合が批判されると。しかし談合は必ずしも悪いとはいわないが、自由な風土を阻害し、常に新しい活力を阻む可能性がある。それを疎外しない程度に収めなくてはならないだろう。

 p55会社の拘束によって政治活動が妨げられる。さらには家族が不幸になる。

 p76説明責任=accountabilityまぁ、コレで有名になったわけですが。

 p80、責任なくして、戦略なし。 p81説明責任って日本語でしっくり来る言葉がほしいな~「応任」なんてどうでしょう?応仁の乱みたいでいいでしょう。

 p89、官僚=団体・系列などあらゆるネットワーク上のトップが決める。これをadministratorsという

 p102、ライオンズ石油、法なしで取引が中止された。こういう行為に対する申し開きをする場所がない。そして、最高裁判所法務省が支配している。

 p106、administratorsの非会社協議でカタがつく。そしてすべてはその「コネ」で決まる。

 p110、政治家・官僚に対するチェック行う報道。だからgardianと呼ばれる。しかし日本のgardianは報道ではなく、検察。p115金丸も角栄も改革を図ってきた。このままいけば、同じく小沢も検察につぶされることになるかもしれない。そして重要なことは3つ。1、政治家でトップになるには金持ちか、金権政治で金を集めるしかない(おそらく、その金で下の子分作ったり、administratorsにばら撒いて、影響力を持つ)。2、政治資金の○か×かはきわめてあいまいでどうにでも判断できる。3、この曖昧な官僚支配で企業は政治家に頼らざるを得ない!

 

 どうでしょうか?1995年くらいの状況で、官僚支配の構図はまったく現代と変わっていないことがわかりますね。官僚が支配し、ルールがセーフかアウトかは俺が決める!わしが育てた!なんてレヴェルじゃないですね。己はホリエモンとりたてて、持ち上げたり、けなしたり、しなかったですけど、彼が新聞社から役員に迎えてとか言われたり、経団連がどうとか言われてその団体・系列を牛耳ろうと思われたことでよくわかりますね。ちょっとでも、既存支配を覆そうとする規範逸脱者は潰されるんです。スポーツもそうです。カントリーマァムの服装がどうとか、くだらないことをクドクド。エリカが生意気だ!とか、アホですね。ホリエモンはアウトだったでしょう。しかし金融庁が恣意的に介入して潰したのもまた事実。政治家になって、権力確保しない限り、まともに商売できないってことでしょうね…ホリエモン新党いけ。君ならできるぞ!*1

 

あとはおまけ、

 p135、大統領夫人が任命をすることがある。つまり大統領=王のような面があるから。しかし、わが国の首相は関係がないと。あまり、首相夫人が露出をしてほしくないと思うのは己だけか…。米は四年ごとに官僚が入れ替わるから、国防と、連邦準備制度(=中銀)と司法の三つに、優秀な人間は流れる。ここが巨大な権限を持つから。

 p140、アリガーキ・寡占支配、軍と官だったが、官と実業界の経済官僚に代わる。つまり天下り支配。占領軍の無知によって、官僚の権限が強化された。米はそれに気づかないお人よしと吉田茂が評した。

 p157、敗戦から集団の栄光欲が生まれた。これもそうだが、日本の30年代の拡張を大目に見られないと表現している。皇国の栄光が「平和国家」に転換した。当然そんな平和国家なんて栄光を思う人間はいないわけですな、現在は。人脈=コネ=談合は法・協定・条約と対立すると…

*1:と、昔は書きましたが、彼は他人の感情を読み取る能力にかける・配慮する能力が著しく低いので無理でしょうね。自分でもそんな話をしていましたけど、にも関わらずそういうものに対するケア/用意周到な配慮/計算というものが見られないので