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てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 上杉 隆

本・読書―批評・批判・感想・レヴュー

 過去に書いたものの再掲です。元は10/11に書いたものです。

暴走検察

暴走検察

 
官邸崩壊 安倍政権迷走の一年

官邸崩壊 安倍政権迷走の一年

 

 あと、電子書籍発見(自民党の本気度、民主党の本物度を検証する

 上杉さんの本についてろくに書いてなかったな~と思ったので、上杉さんをピックアップ。ネット上で絶大な支持を誇り、個人の知名度で並ぶもののないジャーナリストである彼の著作を取り上げないわけにはいかないでしょうね*1。あと二、三冊は書こうと予定しています。とりあえず一冊だけ。暴走検察はどっかでチラッと触れた気が、どうだったかな。こちらの官邸崩壊はアマゾンレビュー43件もあって、さすが上杉氏と言うところでしょうかね。

 例によって、また気になったところの抜書き+感想です。

【序章】
p12 参院選、四十五はいけると安倍をおだてた首席秘書官井上、もちろん大惨敗。
p15 自民の調査でどこをみても民主党に勝てる数字はなかった。唯一小沢代表とどちらが首相にふさわしいかという数字で、36%と16%という安倍有利な数字があった。そのために「どちらか首相としてふさわしいか」といい続けた結果、責任を追求される羽目になった。
p18 小泉のいうことにホイホイ従った安倍晋三。そして小泉はこの頃から、参院選は負けた方がいい。小沢は必ず手を突っ込んでくる。そうなれば前原が黙っていない。勝ちすぎた民主も分裂含み。どの道、次の選挙は政界再編選挙―と小泉氏が語っていた。あるある詐欺みたいに政界再編はずっと唱えられている。小泉氏ですらそう。それなら彼はなぜ、新党設立に動かないのか?天木氏の言う虚栄心だけの人物と見るだけで良いのか?一院制も唱えていたし…。とにかくこの一国の政体として機能不全に陥るシステムを何とかしないといけないのは共通の事実なのだが…*2

【一章】
 p26 小泉政権の目標は3ヶ月。せめて羽田政権の64日を抜こうという目標だった。それに比べ、安倍政権の目標は戦後レジームの脱却と憲法
 無論、コレは正しいのだが。そもそもなぜ憲法をやるのかという具体的なプラン・ヴィジョンがわかっていたのかどうか。現憲法=政治の機能不全=米&官僚支配の源泉。それに手をつけるということは米&官僚支配の否定に等しい。彼の政治感から見ると、むしろ従米・隷米の立場に近いだろう。それなのに米の意向お伺い&徹底した説明をしなかった。戦後レジームの脱却といいながら、属国構造を把握していないという点では無能としか言いようがない。やはりお坊ちゃまなのだろう。甘すぎる。お坊ちゃま、またはボンボン政権は鳩山氏が言われたようにソフトクリーム。理念どころか現実的な認識においてすべてが甘かった。現実的な政治環境・政治闘争に疎かったゆえもたらされた結果であろう
 p28 中曽根・小泉には保守論壇という支持があった―伊藤・大原・西岡・中西・岡崎。
 p34 菅(すが)氏と比べ秘書としての経験が全く違う安倍氏。秘書の仕事をせずに漫画とゲーム。やはり根本的に首相としての能力がなかった。首相としての器でなかったとしか言いようがない。秘書としての仕事すら嫌がっていた。そんな人間が総理で務まるだろうか?もちろん史記項羽にあるように、そんな小さい、くだらないことやってられるか!というのもあるが、何を学んで何をやろうとしたのか、そのために必要な能力を身につけたという話を聞かない
 p38 04年幹事長時代首相は靖国参拝をすべしと言っていた。p39靖国参拝を畢竟、国内問題であると上杉氏は言っているが、これはどうみても外交問題でしょう。そして06年8月小泉氏の参拝有無に注目が集まっている間、4月に既に参拝していることを明かして、中韓の鼻を明かした。コレを高度な戦略&安倍快進撃と上杉氏は書いているが、己にはそうは思えない。そりゃこの年はそれでいいだろうが、来年参拝するときはどうすればいいのか?毎年参拝しなかったら意味がないんだから、結局安倍はダメか…となって支持を失うのは目に見えているではないか
 p41、安倍氏の周りにいる輝かしい経済人は父晋太郎の遺産。宗教界とのつながりもそう。そして政治資金は岸家母のもの。岸・佐藤・安倍という輝かしいコネ。コネのIT革命、コネの宝石箱ですね
 p45、サプライズのない人事の中で唯一あったものが、官房副長官的場順三。これは従来官僚ポスト「事務次官中の事務次官」と言われる。それを政治任用したわけで、反発にあうのは必死。そして的場氏は社保庁解体、公務員改革を熱にうなされたように語っていた。ある新聞記者は官僚の餌食になると予想していた。当然彼が主催する事務次官会議が機能しなくなる。特命チームを結成するも、本当に役所の意向を受けていなかったのは高橋洋一ただ一人。
 p58、谷内事務次官訪中に、二階・中川訪中。二階=小派閥でありながら自己の立場を把握できる稀有な政治家だそうだ。そして中川氏は清和会でありながら、中国との関係に熱心という稀な政治家。中南海とパイプを持つ二階・古賀と連携して中国の関係改善を図る。中川氏は言わずと知れた改革派政治家、上げ潮派って言われるくらい。しかし、そういえば著作のレヴュー書いてなかったな~。

官僚国家の崩壊/講談社
上げ潮の時代 GDP1000兆円計画/講談社
あとついでに、電子書籍発見したので、一応載せておきます。抵抗勢力の本丸は政官財のステルス複合体にあり

 この二冊かな?やっぱり。まぁいいか。そして二階氏は言わずと知れた小沢氏と並んで献金疑惑を受けた人。これ見ると、親中&改革派政治家は潰されるってことか?
 p61、政府認識で保守派の期待を裏切ってコレまでの路線を踏襲。彼らの支持は裏切ったが、コレにより対中関係改善という課題は達成する。靖国だけでなく、この点でも譲る必要性が果たして本当にあったのだろうか?

【二章】
 p72、郵政造反組みは全て安倍に近い議員。彼らを復党させて自己の勢力基盤を安定化させたかった。上杉氏の中川評は政策の先見性がありながら、内緒話、演説は退屈。新聞記者の癖が抜けない。記者時代は金丸信に師事、政治家からは安倍晋太郎。さらに中川昭一氏も酔いどれながら支持(このときから飲酒癖が強かったのか…)。それに対し、中川氏は条件付復党。結果、平沼氏は復党せず。
 p76、「父晋太郎、長男森、次男小泉、三男中川、四男晋三」という清和四兄弟。福田氏と距離を保ち続けた中川氏をよく表現した言葉。
 p93、行革大臣佐田氏の金銭スキャンダルについて、来年考えようとのんきな態度で対処した安倍&塩崎。

【三章】
 p101、世耕は、政治記者との懇談で政権の悪口を書かれても、自分の下に政治記者が来ればいいというスタンス。そもそも政治記者との議員個人での関係を許すからこそ、情報管理が出来ないのだろう。党として新聞記者との付き合い・関係を管理すべきじゃないのか?世耕&塩崎&井上で情報が一元化されない。結局個人の功績作りのために、好き勝手やる。
 p104、06/12安倍激怒、07/01官房会議で一元化されるはずが、権限なしと井上は弾かれ、やっぱり非公式懇談でペラペラしゃべる。
 p108、独自で築き上げた人脈がある飯島に対し、それがなかった井上。映画の宣伝で来日していたウィルスミスとの会談という絶好のPRの場でしゃべれない安倍氏。そして通訳すらまともに配備されていなくて、記者は見ててはらはらしたという。1月天皇陛下のスケジュール確認を怠り、25日開会して、26日ようやく天皇臨席開会式。はっきり言って天皇不在で何も出来ない今の憲法は機能不全に陥りやすい無駄の下。しかもクーデターされやすくかなり危険。天皇制に基づくにしても皇太子・皇后、またそのほか誰でもいいと条件を緩和しなくてはならない*3
 p112、官邸でみなと話が出来るのは首相と山本氏ただ一人であった。円滑なコミュニケーションなどコレでは望むべくもない。*4
 p114、17人の民間委員による教育再生会議。メモを見ずに15分も教育再生を訴えた首相の熱意。しかしキャラがたつ面々で、それぞれ持論をしゃべって終わり。まとめようもなかった。p119、国家行政組織法8条に基づく8条委員会でやる。強力な権限を持つ3条委員会ではない。つまりそもそもあんまり意味がなかった。よってコレを踏まえて例えれば、今の事業仕分けもこの8条委員会ならぬ、8条仕分けか。3条仕分けにしなければ意味がない
 p126、学級崩壊に近かった閣議前の緩み。小泉時代にはそんなことはなく、緊張感が漂っていた。つまり安倍氏にはそのような権威・威光がなかった。

【四章】
 p134、東京発の米新聞の従軍慰安婦論調を、わざわざ世耕氏が米に行って説明する。東京で十分。ついでにこの従軍慰安婦に基づく諸外国から支持を受けていない、未だに誤解されているのは外務省のPRが失敗していることを意味する。外務省に責任を取らせなかった事.一つの局を作ってでも、この問題に取り組むことをしなかったことに問題の本質がある。この問題はいずれまた繰り返されることになる*5
 p144、初訪問の地にアメリカを選ばなかったのはともかく、首相在任7ヶ月たってからの訪米。しかも一泊二日という最短期間これは外交的常識から言うと、アメリカ軽視に他ならない。なんでこんなアホなことをしたのだ?菅政権同様、外交というものがそもそもわからないんじゃないのか?戦後レジームからの脱却」はサンフランシスコ講和条約以後の、サンフランシスコ体制からの脱退と見られた。迎賓館に向かう間にデモ隊が存在し、早いうちから国賓待遇からはずされていた。そもそも従軍慰安婦問題を担当したのも、一人の役人に過ぎなかった… (´・ω・`)ショボーンダメだこりゃ
 p151、小池・塩崎の縄張り争いが後を引く。
 p152、大臣の名前が挙がるたびに新聞記者は驚いた。疑惑ある大臣ばかりで新聞記者はメシのために困らないと喜んだ。
 p156、フジ・産経・夕刊フジは安倍「特務機関」。よって彼らの政権情報の食い込みは突出。父の時代から優秀な記者と政治をやっていくという考え。永田町の戦いに参戦してくれる味方と見ていた。番記者に批判記事を書くものたちを「ああいった人種」と言う。上杉さんもああいった人種扱いされて怒っただろうね*6
 p161、父の頃から氏家、渡辺と付き合いが深かった。あのブッシュが共和党の元老に担がれたのを思い出しますね。無能でも自分たちのいうことを聞く操りやすい人物を選んだケースにそっくりですね。新聞・大企業の思い通りになりやすい人間を政治家につけるという。ホイホイ・コロコロ総理大臣をみるとこういう人間に腹が立ってくるな。無論安倍氏の方も利用しているくらいにしか思っていなかったのだろう。うざいと漏らす。靖国参拝に反対という意見をしたり、自著『美しい国』をけなされたり、イラ付いていた。以前も書いたけれども、こういう一個人・フィクサーが国を動かす、変な権力を握った場合、下位制度sub normが正式のシステムを凌駕して動くわけだから、国家としての制度が揺るぎかねない。こういうシステムは絶対にいけない。彼のような人物は退場してもらわないと困る。そしてこういう人物を生き永らえさせるのは世襲によるコネが重要になる社会構造にその一因がある
 p164、朝日系列を背後に薄汚い勢力を感じると毛嫌いしていた。p165、イチロクサンケイ=NHK・TBS・産経新聞と心を許す記者は決まっていた。特オチは毎日・朝日。
 p172、道路予算の一般財源化で後退したが、完敗ではなく08年の法改正と言う時限を手に入れた。
 p176、サミットで環境レジームを主導する『美しい星50』という構想。欧米の対立を橋渡しし、安倍イニシアティブを印象付ける。ところが独メルケルは安倍を出し抜き、共同記者会見の約束を無視して単独で会見する。結果世界のメディアに安倍イニシアティブの名など報じられない。親米派メルケルの苦境を救おうとブッシュが配慮したと報じられた。エネルギー・食料が絡む環境問題で日本にいきなりポっとでのイニシアティブを許すほど欧州は甘くなかった。ドイツは日本の出方を把握していたし、先にブッシュと接触し、合意を図っていた。

【五章】
 p189、マスコミの著名人と接触を図る。メディア対策で、彼らが首相に手を貸すと見られればそれで十分。みのもんたは、TBSの朝3%番組を二桁に押し上げた、みの神話がある。取り組みに成功、朝ズバッでみのがいっていることは首相が言ったことそのもの=与野党で取り組むべき大事な問題。つまり成功した。
 p193、東の鈴木・西の松岡と言われるたたき上げの松岡大臣の自殺。p195、守ることも、辞任の決断もしないという安倍政権の象徴的な態度。農林族の代表だった彼は、このままでは日本の農業の未来はないと競争戦略・改革派に転向した。そしてそのきっかけは盟友鈴木宗男の逮捕。ここにもまた改革派政治家の死か…

【終】
 p216、政治記者は小泉退場をコレでようやくまともな取材が出来ると喜んだ。旧来の派閥人事を拒否し、事前の新聞辞令を見て変えることもあった。ポスト小泉の後には穏やかな首相、つまり永田町的な常識に沿った首相が好まれた。それが安倍だった。
 p220、永田町の法則、裏切り者は許さない。小泉は亀井・加藤を決して許さなかった。だから安倍は子分の城内の離反を懸命に食い止めようとした。
 p226、小泉は晋太郎に竹下に首相を取られたとき、なぜ総裁選にでなかった!戦わなかったと食って掛かった。派閥全盛の時代に親分に歯向かった。その小泉の怖さを知っていた。安倍氏が面と向かって小泉さんに意見を言ったのは朝鮮で拉致に対するときのみ。
 p234、参院に手を突っ込むな!と言ったドン青木。さらに、造反組みを複党させろの一点張り。安倍は国民ではなく、自民に重きを置いた。結局参院というシステムも日本の政治を混乱させる要因であるわけだ。


 以上気になった点をチョコチョコメモ。こういう中途半端なメモはかえって、へぇ面白いな、読んでみようかな?って気になるんで良いんでしょうかね?どうなんでしょう。個人的には単なるメモ保存代わりなんですけどね。上杉さんはたぶん需要が高いと思うんですけどね。んで、迷走したお坊ちゃまレイムダック政権のハシリである安倍政権の上杉氏によるリポートをかいつまんわけです。これはソフトクリーム政権、鳩山さんまで続きます(ちなみにソフトクリームは中曽根さんが、鳩山さんの理想主義をソフトクリームのように甘いと評したことからです)。菅政権はお坊ちゃまではないですが、甘ったるくてアマチュアリズム全快ですから、ソフトクリームかと思ったら、よくできたレストランの前にある見本のようなソフトクリームでしょうか?あるいはチョコソフトクリームかと思ったら…汚いからやめましょう。この例えは(^ ^;)。
 地獄の道は善意の石で敷き詰められているという代表的な外交をやってくれてますからね。その仙石(仙谷)という石を敷き詰める菅さんといったところでしょうかね?

*1:当時はすごかったんですけどね…

*2:そういえば文藝春秋だったかで、ロングインタビュがあって、自民党は根付いているからそこから飛び出してやるのは無理とか言ってましたね。楽orおいしい立場なら、やってもいいけど辛い・地味な作業をやる気はさらさらないということですかね

*3:というか陛下があって初めて議会を動かせる現状なのに、基本中の基本じゃないのだろうか、陛下のスケジュール調整というのは…そういうスケジュール管理すら出来ない内閣だったのか?

*4:円滑なコミュニケーション不在というのは、菅官房長官一任と威圧的なトップダウンという例の姿勢に繋がっているということでしょうか?

*5:まあ言うまでもなく、蒸し返されてますね。というか、まず米欧世論が理解してくれることはないでしょうけどね

*6:記者に対しても敵・味方がいるという発想っぽいですね…