てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

上杉隆&土の文明史&さらば厚労省

過去記事の再掲です。元は10/12に書いたものです。
世襲議員のからくり 土の文明史/デイビッド・モントゴメリー さらば厚労省 村重直子

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世襲議員のからくり

土の文明史 ローマ帝国、マヤ文明を滅ぼし、米国、中国を衰退させる土の話

さらば厚労省 それでもあなたは役人に生命を預けますか?

を、チャチャッと書いておこうかなと。一応読んだあとのメモ程度にね。

 で、まず、上杉さんの世襲議員のからくりは世襲制度という、政治家の特権階級を維持する制度についての分析なのだけれども、別に世襲に当たって、政治資金団体世襲できる。しかも相続税なしでということはもうずいぶん前から知られていたはずなんですけどね。まあだれもテレビとか公の場で明言してこなかったというヘタレ状況は同じか。

 ただ、鳩山さんが球場に連れて行ってもらえるだけありがたいという時代に、家に横綱来たり、巨人軍来たりで庶民感覚からかけ離れているというけれども、それなら同時に庶民とかけ離れているがゆえに学問に打ち込めたということも無視すべきではないだろう。特に名前で一郎・太郎が多いことを書いたけど、鳩山由紀夫は?明らかに三島由紀夫を連想するんですけどね、己なんか。ま、直接の関係はないんですが。

 あんまり、いい本ではないですね。上杉さんはジャーナリストですから、その都度の事件、問題をセンセーショナルに書きたてる能力はありますが、本質に迫れる分析能力はそれほどでもないです。ま、危機に警鐘を鳴らすのが、本来の仕事ですからね。そういうのは学者に任せておきましょう。

 あとアマゾンレヴューで仏の元老院とか、英の貴族院とかありましたけど、それはきっちりそういう制度にしているから有用なんであって、世襲政治家が無能でも力を持ってしまうような現状はダメに決まっているでしょう。世襲政治も問題ですけど、なによりメディアの汚染。無能でも番組を作って報道する。自分たちの利権に触れるものは報道しないというジャーナリズムではなく、宣伝工作機関になっていることをまず論じないと。世襲が!っていうだけではねぇ。麻生さんにしても福田・安倍さんにしても庶民感覚はなかっただろうけど、そんなことはどうでもいい、優れた政策を打ち出せるのならば。ま、優れた政策を打ち出せませんでしたけどね。鳩山さんは優秀でも、どうやって政権運営するか、コントロールするかということでやはりノウハウがなかったですし。

 

 で、土の文明史。土についての生物学の話はさっぱり、さっぱり。ミミズってすごいんだなぁ~位しか理解できません(^ ^;)。ただ、ローマ文明やギリシア文明が発展とともに、農業・農地を拡大し、土壌を回復するまでに至らなくなって、滅んでしまったというプロセスはもっと注目されるべきだと思いますね。青銅器・鉄器が開発されると急速に農業は進歩する。それによって、土壌の回復が追いつかなくなる。てっきり、エジプトの食糧は、身分が落ちた平民に対する手当てが必要だったんだくらいにしか思っていませんでした。が、ローマ周辺で既に食糧が十分に提供できなくなっていたのか。ま、貴族の寡占による食糧の値段など関係してるんでしょうけど。あとフェニキア文明も森を切り開き、土を保てなくなり、滅んだのか。

 

 で、さらば厚労省。最近、怒りがなくて、あれだったんですけど、怒りでテンションが久々に高まりました。ホントは、これ村木さんと勘違いして借りましたが、なかなかの良本です。腐朽官僚制の話で警察を取り上げたことがありますが、まぁ、わかっていたとはいえ、ひどいですね。厚労省医系技官という明治時代に作られた制度が未だに残っていて、医師免許をもっているだけで現場を知らない人間が政策を決めてぐちゃぐちゃにする。国民のための治療ありきではなく、官僚の利権ありきの政策。アメリカでは常識の政策を知らない人間が、英語で専門知識の議論が出来ない人間が、政策を決定する(゚Д゚ )。怒りと憎しみがわいてきますね。

 厚労省の医療とか、そういうの全然わからないんで、気になったキーワードだけ。国が規制をかけるという発想がそもそもアメリカにはない。承認していない、保険対象外、混合診療認めないから―なんていう理由は聞いたことがない。全国一律のルールを作る合理性はどこにもない。医療スタッフはアメリカの17分の一に過ぎない。診療費を抑えようとする方針が、医師負担を大きくし、ますますいびつな構造になっていく。

 インフルエンザのとき話題になった空港検疫。あんなもの本来必要ではない。人権侵害に値する個人の隔離などやるべき理由はどこにもなかった。役人の政策のおかげでわれわれは苦労をしているという言葉を何度のみこんだことか―言ってやればよかったのに!明治時代の公衆衛生が重要だった時代には必要だったが、もう何の意味もない医系技官という存在が今でも残り続けている!見事な腐朽官僚制!医師免許だけで、現場を知らないからぐちゃぐちゃになる。アメリカなどロジックで対策が採られるのに対し、日本は利権から政策が採られるウィルスや疫病が利権にあわせて動くのか!?大バカモノ(#゚Д゚)ゴルァ!!

 本当の治療をしようとすれば、法に逆らってせざるを得ない。そしてそれを別件逮捕のような形で刑事罰補助金打ち切りをする。戦前の衛生検察の思想を受け継いでいるから。ムチャクチャな結核対策で先進国にあるまじき結核の蔓延。そしてアリバイ作りにちゃんとアピールしましたよと、宣伝、失敗したら従わなかったお前らのせいとばかりに行政処分する。

 国民全員分のインフルエンザワクチンがあってしかるべき、国内業者のため、輸入を認めなかった。過失と免責について、必ず過失というものは存在してしまう。だからこそ、その場合の保障を最大限に念頭に置くべき。ところが過失の有無に拘って、裁判をしているから、結局被害者は救われない。その結果リスクを恐れて厚労省は認可しないわ、医師は治療をためらうわ、負のサイクルに陥っている。インフルエンザ特措法は訴訟を起こした人だけが、大きい保証金をもらえる。これでは訴訟地獄になるに決まっているではないか。なぜ訴訟を起こさずとも保証金をもらえる制度にしないのか。

 不合理な10mlのバイアルを作るのは国内メーカーの都合のためと長妻大臣は答弁した。

 

 ―とまぁ、怒りで震えがとまりませんでしたね。この本読んで。まだまだあるんですけど、打ち切ります。興味ある方は、是非一読をお勧めします。かの小林よしのりの筆名を天に昇らしめたのはオウム・薬害エイズの時事問題の取り組みでした。そして小林よしのり厚労省の取り組みのひどさを見て、これはテロをやって訴えるしかないと考えていました。天誅を下すつもりでいた話は有名ですね。あのころから、国民を利権でエイズにしたころから全く変わっていないのです。断言しましょう、肝炎もありましたが、このようなケースは絶対また起こります。こんなことでは国民は厚労省から殺されます。ついでに、桝添さんが医系技官の人事ポストに、初めてそれ以外の人材をつけたと、革命的な人事・出来事だと自画自賛していましたが、全然ダメです。不要な、不合理なシステムは廃止が筋でしょう。それができなかった、またやらなかった(やれなかった)桝添さんでは絶対に無理ですね。総理になっても多少マシなぐらいで、根本的な変革は絶対に出来ません

 

 そして、その小林よしのりのテロを結果的に止めたのが、現首相菅直人その人なんですね。薬害エイズの功績を訴えても、結局厚労省という腐朽官僚制に何一つ出来ないのですから、菅直人首相が腐朽官僚制に対して、何も出来ないに決まっていますね。今の体たらくを見て何をかいわんやですね。

 

 もし菅直人なかりせば、小林よしのりはテロで逮捕され、その後の日本の言論空間をひっくり返した名著『戦争論』も世に出なかったわけですから。その点、菅直人は偉大な人物ですね(笑)。