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てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

佐藤優×魚住三部作『誰が日本を支配するのか』シリーズをちょこちょこっと

本・読書―批評・批判・感想・レヴュー

過去記事の再掲です。元は10/12に書いたものです。これでようやく2010に書いたものの再掲が終わりますね。

 

 誰が日本を支配するのか!? 政治とメディア誰が日本を支配するのか!? 沖縄と国家統合誰が日本を支配するのか!? 検察と正義

 

誰が日本を支配するのか!? 政治とメディア

誰が日本を支配するのか!? 沖縄と国家統合

誰が日本を支配するのか!? 検察と正義

 

 を、読んだので、ちょちょっと気になったところを書きます。やっつけですけど。


 『政治とメディアの巻 』で佐藤さんの神学解説がありました。ま、あんまり。で、そのあとのアーネスト・ゲルナーナショナリズムの話で、この人のよく分けのわからない用語が出てきて読みにくくて、最後の方よく意味わかりませんでした。で、エントロピー理論の説明がされていました。ああ、そんな事言っていたのか、全然理解していませんでした。社会が効率化していく事を、エントロピーと言うが、「耐エントロピー」という言葉を使って社会では、エントロピー効果と同時に、逆にエントロピーさせないような圧力が働くのだと。そして差別される存在は決してエントロピーされることはないのだと。耐エントロピー=被差別集団。これを部落や、沖縄に見ていました。佐藤さんは沖縄の人ですから、本土に明確に差別されているという意識を持っていますね。このような意識を育ませては絶対にいけない。こういう危機感が今の政治家、国民にはないのでしょうか?
 以前、取り上げたことがある、萱野さんを引用して、国家・官僚とは収奪機構で他の階級機構から収奪する支配者。ホリエモンは共和制を唱えたから、消されたと。また「稼ぐが勝ち」という言葉自体は官僚・支配層に好ましいことだが、やり過ぎて自分たちに歯向かってくるという恐怖を感じさせた。故に消された。ここらへんは阿吽の呼吸で忖度されたと感じますね~、己なんかは。
 みんなの党は特定の支持層を基盤においていない。your partyという名前からわかるように、アジェンダで組むといっているから、第三の極にはなりえない。基本的に消費する、漂流する政党だと。己はみんなはカギになる政党だと思っているので、この指摘は意外でした。ちょっとこの点は佐藤さんの分析として記憶にとどめておきましょう。この後にも書いてあるのですが、議会政治とは特定の階級の支持を受ける政党が交代して政策を実現して機能するものですが、自民党の一党支配で全階級を代表するような政策をやってましたし、そういう意味でみんなと自民というのはある意味変わらない性質だと思うんですよね。特定の支持層を念頭においていないというのは。さすが自民の鬼子!みんなの党*1
 国家社会主義的で官僚的な性質を持っている。官僚的な発想で脱官僚をやろうとした例が、国家戦略局。これは戦前の企画院に似ている。国家戦略局
国家社会主義的であるという指摘は、なかなか興味深い視点ですね。
 ローザ・ルクセンブルク
資本蓄積論』いわく、国家の支配層とは能力・運に基づいて上にいるのではない。収奪によってそうなるのだ。そして国際社会でも同じ、収奪する存在が先進国。アメリカ一極からオバマは先進国連合で収奪しようと述べている。この理解が民主党には決定的に足りない。

 小泉大勝によって、ファシズムの芽が見えた。ファシズムに足りないのは〝やさしさ〟だという。民主党にはそれがあって、ファシズムに一歩近づいた。
 室町幕府成立前夜の歴史モデルと今の日本を重ねてみる。
悪党、小沢一郎論は結構有名ですね。己もそのとおりだと思います。悪党の先駆で討ち死にした新田義貞=鳩山だと。菅に値する適当な裏切り者がいないですね。鎌倉や朝廷に走った有名な武士の一人でもいればよかったんですが。
 消費税発言は官僚が反小沢で菅を支えることになるから、選挙で負けてもよかったが故だと。うーんどうだろ?

 政治記者の分析がありますが、?な感じがします。植草さんも大筋で納得するものはあるものの、あんまり好きな文章ではないですね。ピントがぼやけてるというか。
 代表戦時の樽床が新自由主義者で、権力のために手を握った。小沢が馬脚をあらわしたと書いているが、小沢さんは元から競争重視なのに、何を言ってるんでしょうかね?
 北沢=地方議員出身。地方は官僚と議員の密着が中央よりひどい。簡単に取り込まれる。岡田さんも元官僚だから取り込まれた。薮中=対北工作の人間。それが岡田と組んで外務省本流の北米局&条約局の密約暴きで叩きにいったと。なるほど、まあ一応筋が通っていますね。密約暴露は民主党、特に岡田と外務省の非主流派の結婚というわけですね。
 菅は『
小説 琉球処分』を持ち出す。これであっさり官僚主導の辺野古路線ではないことを示す。財務官僚と組んで官僚は全部安泰ではない。省庁の中でも無駄とされている厚労省と国土のどちらかに間違いなく手をつける。大臣時代のときのコネがあるから、厚労省には手をつけない。やるなら国土のほう。


 で、青木理さんのやつ。メディアによる権力の監視はちゃんと機能していたのかという自戒の意味を込めた文章です。なかなか読む価値ありだと思います。ロッキード捜査によって、田中角栄が法相・検察ににらみを聞かせたこと、法廷での全面対決のために10年以上政界事件を行えなくなる。そして再開したのがリクルート事件。これについて調査報道の金字塔などと舞い上がってしまったこと、メディア・検察が政界を自浄するという幻想が生まれてしまったことの指摘。そして90年から毎年のように汚職事件を手がけるようになった。04年まで中央政界13人、地方・財界も当然手がけた。
 特捜が手がけた事件だけ、取り扱いが大きくなった。長銀は経営陣だけ責任が追及され、大蔵省の責任が追及されなかった。遊軍となって検察べったりになってしまったこと。三井事件はいうまでもなく、元公安緒方氏の朝鮮総連の事件で、被害者である朝鮮総連のほうが騙されていないという有様。当時の首相安倍氏が検察のOBが朝鮮総連とかかわるのを良く思っていなかったため、法務・検察が組織防衛のために無理やりでっち上げたと。知らなかった。検察の闇は深いなぁ…。
 小沢辞任せよという声も強かったが、検察のやり方は正しくないという声が始めて上回った。特捜は8,9割支持されなければならない。世間の支持を得て力を持つ。
 問題は検察のリークではない。リークなくとも勝手に検察のちょうちんを持つ報道の姿勢。うーん、なかなかいいですね。元メディアの人だから問題を良く的確に認識している。


 次、『沖縄と国家統合の巻』つうか後の二本は本当に短い(笑)。ホロウェイという人の発想、世界は権力をとらなくても変えられるという発想から書いている四茂野さんの文章は面白いですね。心理学でいう「学習性無力」、犬に電気ショックを与えると、最初は拒否反応を示す。逃げようと努力するが、逃げられないとわかるとそれに拒否反応を示さなくなる。こういう
「学習性無力」が沖縄におきている。自民党の支配で、官僚支配で習い性になってしまった。これは沖縄だけでなく、日本どころか世界中の共通する出来事ではないか?絶え間ない毎日の無意味なルールに縛られ、いつしか抵抗しようという意欲すらなくしてしまうというのは。
 この本は沖縄の人の戦時の語りがあるので、生き死にを経験した貴重な話です。良い兵士から悪い兵士までいます。佐藤さんが512日も勾留されながら母にあったときに、戦争は命をとるが、逮捕・勾留だけなら死ぬことはないという話がまさに、当時のつらさを物語っていますね。
 沖縄は経済的に基地依存しているという説を己もなんとなく信じていましたが、実際は5%ほどしかないそうです。いずれにせよ基地勤めというのは公務員のような特権であり、それを守りたい人がいるんでしょうね。基地を撤退させる運動、住民投票がいつの間にか、振興策に摩り替わった話など、沖縄基地ありきで物事を進めていく官僚・政府のやり口には本当に腹が立ちますね。そして沖縄を守れという援護射撃をしなかった当時のマスコミにも。沖縄のために本土が自主国防を担おうと言わないところが本当に人間として腹が立ちます。沖縄人を奴隷に見ているのとおんなじですからね。

 

 最後、『検察と正義の巻』です。郷原さんの説はもう、人口に膾炙しているのであんま触れてもしょうがないんですけど。そういえば村木さん事件は石井→小沢という流れを連想したものでは?政治家石井は小沢の片腕になっていると自分の政治家生命が危ういから、小沢さんから距離を置いたって路線はないのかなぁ?
 調書作り=取調べを厳しくして、解放する代わりに調書をサインさせて、有罪にする。リクルート江副氏の取調べ然り。金沢事件、取調べ中に被疑者を怪我させた。供述の変遷に合理的説明がつかないから、全部途中経過のメモを捨ててしまう。しかし、関係者の供述が整合しているから、信頼性がある=有罪とすると。こういう発想がどうしても信じられないですね。こんなの民主国家の刑法じゃないだろう…。
 地元の検察は無理があると判断しても特捜は止まらなかった。いわゆる悪役として石井・村木はふさわしくなかった。江川さんを中心にツイッターで公判が伝えられた。やはりツイッターの影響力は大きかったのでしょう。特捜・検察の異常性を始めて是正した事件についてね。郵政民営化で郵便料金制度がしっかり定まっていない不備から今回の事件が引き起こされた。
 今回のケースで重要なのはあくまで官僚と政治家がつながっているというストーリーゆえに特捜が動いた。官僚だけの犯罪なら、特捜は絶対に動かなかったでしょうね。政治家をパクることでしか、ハクをつけられないですから。そして官僚を敵に回す意味というのを、同じ官僚である検察はよく知っている。自分たちの巣・領分を絶対に荒らさない。だからこそ、己は特捜を官僚汚職専門のチームとして使え、再生させろ!と提言しているのですがね。
 虚偽公文書事件は相当気をつけなくてはいけない。官僚には書きぶりという役人用語があって、内部文章を適当にごまかして仕事を処理する技術がある。これはじめて知りました。書きぶりか。これを公文書偽造と勘違いしてしまうリスクがあるわけですね。
 完全分業制になって、ストーリーを部品を集めて積み重ねることで組み立てる。だから上・トップが「この調書にあう供述をもってこい」となる。そういうシステムを採用していれば、そりゃ、部品をどうにかこうにか組み立てさえすれば一致するに決まっている。証拠がないなら作ればいいじゃない!ぐらいの発想ですね… 。
 旧来の越後屋、ゼネコン汚職構図から抜け出せない。ムシ型と、カビ型というモデルで犯罪を考える。社会のアウトローが起こす、周縁で起こる犯罪がムシ型。これは簡単しかし、社会の構造上どこからともなく沸いて広がっていくカビ型の犯罪はそうではない。ムシ退治をするだけの組織になって、カビ退治ができない。ゼネコン発想のまま突っ走っている。
 リクルートはストーリーがうまくいったので、凄いことをしたように見えた。ところが、佐川急便事件は完全な失敗。そして別件で金丸を逮捕。なんとアル・カポネばりの脱税!自分たちの失敗をごまかすために、犯罪を作ったとしか考えられない。予断で政治家を悪だと決め付けて、失敗しても、結果的によかったじゃないかという論法。あれ?これ、イラク戦争時代のブッシュの論理と瓜二つじゃ…。
 そして金丸脱税で息を吹き返した検察はゼネコンがさ入れで資料を押収。これで向こう十年は食っていけるといわれたほど。つまりこれで水谷建設のように、「おい、パクられたくなかったら偽証しろ!」と圧力をかけるわけですね、間接的に。村木事件は一応ストーリーを考えていたが、小沢事件はストーリーすら考えておらず、いきなり強制捜査のフシがある。
 後は石川議員の獄中記的なものと、佐藤さんがそれを応援したこと。対談で小沢さんを語るところがあります。小沢さんはウェットな人間関係を好まず、用があったら電話する。まぁまぁがない、普段の人間関係の維持がない。だから嫌われる。政治家の本で売れているのは田中角栄の改造論についで、小沢さんの日本改造計画だけ。後は石原慎太郎ぐらい。政治家の力量が伺える。小池にしろ、石破にしろ、離れていったのは、政党をまとめる強力なイデオロギーがなく、与党になれないから。民主党だって権力握っているうちは割れない。自民のほうが危ないとか、まさにそのとおりだと思う。
 雨宮さんのところで、運動について消極的になるのは、運動の結果が結局そのプロに持っていかれてしまう。自分たちの利益にならず、運動の上層にあるものの利益になるだけという諦観を説いている。一理あるが、戦いというのはいつもそういうもので、安保は非合理の面が数多くあったが、あれのおかげで日本は必要以上の対米軍事協力をせずにすんだという面がある。必ずメリット、見返りというものはある。デモのような大規模なものに効果はある。世の中の大きな流れに影響を与える。ま、ああいう安保闘争みたいな、学生運動のような非合理性が多くあるものを評価したくはないんですが。

 というところで終了です。気になったところのメモだけなんでね。ざっくりにもほどがあるなぁ(^ ^;)。

*1:結果的にはあたったことになりますね。ただ消費・漂流という感じだと離合集散の果てにグズグズ・グダグダになるという予想っぽいですけどね。特定の階級を見出さないかぎり根付くことは難しそうですね。ただまあ、特定の階級・階層に支持基盤をおいてもプラスαがないと政権を取るのは無理でしょうね。