てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

書評― 知事抹殺 つくられた福島県汚職事件/佐藤 栄佐久

知事抹殺 つくられた福島県汚職事件/佐藤 栄佐久

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 さて、ようやくこれを書きませう。今回のレヴューはいつものように該当ページから抜書きするきちんとしたもの(?)ではなく、パーッと記憶に残っているものだけ書きます。本書が重要なのはこの本がこれまでは単に改革派知事が潰されたいわゆる検察問題としてだけ重要だったものが、今回の一連の原発不祥事で原発問題として必読の書となってしまったというところでしょう。まあ、日本の問題は腐朽官僚制官僚支配の一言に集約されるために、全ての問題は数珠繋ぎのように、芋づる式でつながりますからそうなることは当然なんですけどね。

ただ一言、必読の書ではありますが、重要事実・ロジックのオンパレード読んでいて面白くて仕方ないというレベルではありません。政治家ですから魅せる文章でないことはしょうがないでしょうか。

玄葉さんが佐藤氏の女婿なんですね。地方分権に精通しているというけども、ホントなんでしょうかね?官僚の言いなりの菅さんを支持しているところを見ると出来るのかいな?と思ってしまうんですけどね。まあ、本人は松下政経塾の岡田派なんでしょうけど。

 そういえばこの著作では福島県への首都機能移転の話は触れられていませんでしたね。ちょっとでもそれについて触れられてしかるべきだと思うんですが。

 さらに同年11月に和歌山県知事木村良樹氏が、12月には宮崎県知事安藤忠恕氏が、同じく官製談合事件で逮捕起訴されています。一年に三人の県知事が「談合」で逮捕・失脚しているんです。すいません、全然知りませんでした。これはどう見ても改革は知事、ちゅうおうにとって不都合な県知事を抹殺しているでしょう。こんなことが許されるのか!?田中角栄小沢一郎のが特捜により殺されたことは誰もが知っていても、このような県知事の事件を誰が知っていようか…。冤罪は監督義務を怠った裁判官の罪が何よりも重いが、今回はそれを報じないマスコミの罪は極めて重い。いや、今回「も」か…。マスコミのMはモンスターのMですね。

 木村さんや安藤さんがいったいどういう改革をした、あるいは志した人なのかググってみました。なにもでてきませんね(´-ω-`)。木村さんは本があるみたいです。安藤さんは佐藤さん同じくローラー作戦で地元の支持を集めたという人。つまり県知事というのはプリンキパトゥスを実行しやすい唯一の行政単位。戸別訪問が禁止されている全体主義国家のわが国できわめて独裁者、それも民衆の望む政策を遂行してくれる唯一の突破口なわけです。わかりにくいか、戸別訪問=個人と政治家の契約が履行しやすい=民主主義の、金のかからない政治の最低条件。必要条件ですからね。それが履行しやすい県知事選挙は国政選挙より遥かに健全でしょう。まあ、それでも政治家が訪問できませんから、限界があり、このような汚職報道であっという間にパージされてしまうんですけどね。

 佐藤さんだけではなく、この両氏が何をやろうとしたのか知らなくてはならないな…。しかも安藤さんは去年亡くなられたという。またしても検察に殺されたか…。

 今なぜ大阪の橋下氏や、宮崎のそのまんま氏が出てくるか、それは彼らTVタレントが戸別訪問せずに民衆の支持を取れるから=金のかからない選挙を出来て、談合の可能性が著しく低いからでしょうね。まんまさんはともかく、橋下さんはわかってるな~ということをいいますから、このような人物が将来総理になるのもやむをえないでしょうね。まんまさんは安藤の冤罪を晴らす!敵討ちだ!となったら、もう最高でしょうけども。ピントはずれなことばっかりやってますからね。改革派知事の先兵・一子分ならともかく、菅直人みたいに権力欲ばっかりですからだめですね。

 内容で印象に残ったのは東大で、米軍人として日本と闘ったけども東京裁判の違法性を訴えて、日本側に立って弁護した人のゼミに所属していたこと。ローラー作戦で支持を取り付けて、分裂選挙を勝ち取ったこと。かの角栄に選挙、支持めぐりは佐藤君のようにやらなくてはだめなんだと称されたこと。金丸時代の中央主導選挙で嫌気が差して半ば離党気味になっていたこと。金丸さんも特捜にやられたのだから、その線で、絡めて書いてほしかったなぁ。

 東電原発の無責任体質、不祥事隠し体質が氏によって述べられています。俗に一つの事故の際には、100の事故未満があって、その下にまたヒャッとする細かいミスが400くらいあるといわれています。原発利権まずありきで、ずさんな管理・危険な体質があってから佐藤氏は原発に反対するようになりました。事故があっても報告しない。東電原子力行政は政府直轄であって、どんなに危ないことがあっても県は直接タッチできないという体制から不信感を決定的にしたようです。一番危ないのは当事者の福島なのに、福島の意見が反映されないのではそれも当然のことでしょう。プルトニウムなどもノーだと言っているのに、関係ないとばかりに再開を前提に東電や霞ヶ関が動いているところなどきわめて利権の匂いがしますね。

 印象的なセリフとして原発で自治体を立て直そうとしても決定的な対策にはならない。またさらに原発を建設して、原発に依存しなくてはならなくなる。麻薬みたいな構造になっていることですね。中央集権で、地方に霞ヶ関がハコモノを作る。ヒモ付きであり、霞ヶ関役人が肥え太る。それと瓜二つですね。

 己が疑問だった、というかみんなそうだと思うんですが、改革派知事であるのに道州制に反対するという点ですね。これは道州制をやると完全に地方は中央の奴隷にされるという主張でした。北海道が道州制のテストケースとして特区としてあげられましたが、84の権限委譲を求めたのにたった8つ。これでどうやって独立できるのか!?官僚は決して利権を手放さない。である以上、道州という無駄な政治機構が出来るだけ。先に道州制ありきではない。権限を移せ!と。それはわかるのですが道州を作って、事実上独立して中央の息のかかった人間を追放する。半ば独立・反乱を起こすくらいの気概が無いと改革は出来ないでしょう。まあ、橋下さんと違い誰もが注目して、みなが話を聞いてくれるという状況に全体主義国家の日ではないですから、仕方がないんですけど。せめて権限が委譲された後すぐ実行できるように周辺知事とそういう会談・環境作りをやっていてほしかったですね。

 地方が原発に依存する環境を、夕張を例に出して述べていました。あそこまで疲弊したら、中央の言いなりにならざるをえないと。ちょっと前に何で東京が夕張を支援?と書きましたが、原発派=石原と結んで考えると限界集落ならぬ、限界自治体を支配において、将来の原発建設地候補としてピックアップしているのではないでしょうか?この疑念がぬぐえないのですけどね…。夕張の環境は原発の立地としてどのくらい最適なのでしょうか?少なくとも過疎ってるところから見ると結構いいのではないかという気がするのですが…。

 さらにまた、なにがなんでも原発を推進しようとした背景に官僚の利権構造だけでなく、背景に京都議定書・国際条約があったこと。どうしてもCO2減らすためには原発を進めざるをえなくなる。原発に逆らう佐藤をなんとかしたい!という外務省や内閣関連の意向が働いたのは至極当然でしょう。これこそまさに「天の声」でしょうね。さらにもう一つ麻生政権でこれまでの自由化・民営化路線がひっくり返されて電力自由化の路線も消え、官僚が利権復活にうごめいた事も原発政策を見るうえで避けて通れない転換点なんでしょう。

 高裁の前で本書は終わっていますので、触れられていませんが、レヴューなどで1億7千万の賄賂がゼロになって、収賄なき汚職事件という極めておかしな事実になったといいます。これはどう考えてもおかしいこと。特捜の面子を立てて無罪には出来ないけど、被害・損害がないことにしようということなのか!?最高裁はこの件を絶対に取り上げて無罪にしなければ全員クビですね。国民の弾劾審査が機能しないからこういうことになる。悔しいなぁ…。マスコミがこの事件をこう裁いたとか、この事件を取り扱わなかったと報道すれば、民主主義が進歩するのに、いかんせん全体主義の手先ですからどうしようもないです。

 本書である検察の横暴はもう言うまでもないでしょう。周辺関係者を脅しにとって、自白・都合のいい検事のストーリーを構築していくのはこれまでどおりです。ゼネコンの談合なんて70年代、建築ラッシュのときに問題になったものでしょう。この談合=「天の声」での汚職なんていう筋書きを今の国民誰が望んでいるのか?この天の声」を振りかざしたらどんな政治家でも抹殺できる。伝家の宝刀ですよ。だって直接今回の工事はどこどこにしろ!と明言しなくても、秘書とか下の部下がそういうことだと解釈したとして、実行したというストーリーが描けるのですからね。今回どう見ても弟さんが汚職をしたとするのが最低ラインで、佐藤氏本人が汚職をしたとするのはムチャクチャですよ。

 最も首をかしげたのは裁判で会っていないことを証明しなければ無罪にならないということ。そんなばかな!近代裁判は疑わしきは罰せずということ。ないことを証明するなんて悪魔の証明ではないか。どう証明しろというのか!?検事が立証出来て始めて罰することが出来るに決まっているではないか!?挙証責任どうなっているのだ?日本の裁判は死んでいる。

 小沢ケースで言うまでもなく、特捜は天の声」というものを振りかざし、いかようにも政治家を殺すことが出来る。不起訴になってわかるように失敗してもかまわない。なぜなら全体主義国家である以上、マスコミが勝手に殺してくれるからだ。決して官僚の犯罪には手を出さない特捜・マスコミ。これが全体主義国家でなくて、何であろうか?

 以上、適当に気になったところ、覚えているところだけかいつまんで紹介してみました。もっとこの事件が知られて、その背景を日本人が理解し全体主義国家妥当に動いてほしいですね。

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