てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

有吉弘行の話芸・技術について 計算された毒舌は達人の太刀筋の如し

 ちょっとどうでもいい話をひとつ。怒り新党という番組から思ったこと。マツコ・デラックスと有吉の番組の話です。マツコ・デラックスって面白いですよね。彼(?彼女?)のすごさは、赤鬼と青鬼の青鬼的なモノ、人に忌み嫌われる怖い生き物でありながら、実はものすごい愛情・優しさを持っているといいますか、となりのトトロって感じの独特の存在感がいいんでしょうね。毒を吐くにしても必ず傷つけないというか、人に恨まれない話し方は天性のもの。こういう毒の吐き方なら相手の嫌なところ言っても、嫌な感じにさせない。後に引きづらないという言い方を心得ているんでしょうね。本人がどういうパターンで毒を吐こうと計算してやっているのか、かなり気になるところ。

 有吉はもう職人芸ですね。毒舌というか、よくある日常のいやな出来事に「なんだよ~!」とフラストレーションをぶちまけるレベルから、ささいなあるある話まで、キレるというより、ちょこっと毒づく。一昔前のカンニングたけやまのキレ芸を繊細かつ慎重にしたとでも言いましょうか。

 何より本人が自分は毒を吐くぞ、やさぐれるぞ―というキャラを確立したのが大きいでしょうね。毒を吐いても、何だこいつ、失礼なやつだな!と思われてしまえば成立しないですからね。普通なら嫌われてしまうことでも有吉なら言っても許される。そういう空気・キャラを作った時点でもう勝ちですからね。少し前の太田光毒蝮三太夫を好んで使っていたように、クソババアということがお約束となってしまえば、もうこっちのもんで、言いたい放題できますからね。
 料理で言ったら仕込み、下ごしらえというか、それをしてしまえばもう終わったも同然。本人の地道な下積みの成果でしょう。そのとき、そのときで困らない対応ができる。一言ボソっと言って切り抜けたり、笑いが取れるレベルになってますからね。ピンでああいうレベルの高いことができるのは、今だと千原ジュニアと有吉くらいでしょうね。

 そのきっかけとなったアメトークの「おしゃべりクソ野郎」を生み出した品川との絡みは最高でしたね。

有吉:「クソ野郎ですよ、おしゃべりクソ野郎」
       ↓
品川:「おしゃべりクソ野郎ってなんなんすか~!」
 このかけあいは本当に最高でした。うまい、言い回しが要求されるお笑いの舞台で、端的に相手を切って捨てるというスタイル。ただ、相手の嫌な所を言うのではなく、そこから一つ必ずおもしろいという話を膨らませられる言葉で表現するのはすごいですよね。

 あれなんですよね。日本刀で思いっきり斬り付けられて、血も結構出ているのに痛くないし、当然致命傷にもならないという凄さがあります。本来いきなり傷つけられたほうは怒り狂って当然。そのはずなのに、「エッ!どうして死んでもおかしくないのにこんな軽症ですんじゃうの?」という職人芸への賛嘆が先に来ちゃうんですよね。街頭マジックでいきなり距離詰められても、マジックでびっくりさせられるからその違和感が吹っ飛んでしまう感じですかね。

 また、例えるなら100~120キロのボールが来るフォームなのに140キロのボールが来るからタイミングがとれずに打てない杉内の投球術とでも言いますか。本来傷つけられて痛いはずなのに、怒り狂うはずなのに技術に驚いて喜んでしまうんですね。杉内の投球術のように摩訶不思議さに尊敬の念を抱いてしまいます。

 みねうちならぬ、皮だけ斬り。有吉の絶妙なトークは素晴らしいものがありますね。(敬称略)

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