てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

アメリカの財政危機と戦争

―の話。

 

別に取り立てて言うことでもないけど、アメリカは地上最強軍隊を誇っていた。軍事革命を経て単独でも、ひょっとしたら連合国を組んでも、アメリカ軍にかなう国家はないのではないかという圧倒的軍事力を誇った。

 

しかし気づくべきだった。一人が突出してしまうと残りのメンバー全員はルール変えようぜーと小学生の遊びのようにみんなが楽しめる、実力が拮抗するゲームを考えてルールを変える。これまでは戦争に強いやつがすべてであり、それがルールを主導することとなった。国際秩序は覇権国が決める。その定理の下に動いていた。

 

今回その定理が揺らいでいる。国際秩序は覇権国が決める。これがなくなるかもしれない。もちろん2~3年といった短期間ではありえないけど、10・20年見たらありえない話ではなくなった。そのむちゃくちゃな財政運営で、基軸通貨ドルの信用が問われだしたからだ。

 

今回の財政危機でアメリカオワタ\(^o^)/的なことを言う人が増えたけど、もうレーガン時代から言われてきたことで、今回も上限を引き上げるという抜本的対策なしでクリアしたように、日本の特例公債が結局議会内で合意が得られれば、ひとまずは財政問題があさってに行ってしまうように、クリアされてしまうだけ。特にアメリカのように覇権国で世界中の要衝を押さえたり、強いファンダメンタルがある国はアメリカ大丈夫か?といわれてもそう簡単に崩れたりはしない。ハッキリ言って中国のほうがよっぽど怖い。

 

国債踏みにじられるんじゃない!?なんてバカなツイートも数限りなく見たけど、アメリカ国債は1400兆近くあったっけ?それを全部なしにしてゼロにしてなんていうはずがない。徳政令じゃないんだから(笑)。そんなことして経済・金融次誰がアメリカを信頼しますかって。あるとしたら元の7割とか、元本割れすること。日本とか欧州とか同盟国と会談を繰り返して来るべき金融秩序を同盟国内で相談して決めますよ。問題は日本を越える米国債を所有する中国であってね。それに参加するかどうか、もしくはできるかどうか。案外100兆やるから、台湾攻めるの黙殺してとかあるかもしれません。台湾にとって悪夢のシナリオですね。

 

 まあ、そんなことはおいといて、今回史上初めてアメリカは戦争に敗れた。アフガン&イラク戦争アメリカの完全な敗北となった。攻めて行って負ける。ベトナムでいったい何を学んだのか?馬鹿丸出しである。「戦闘」・「戦場」ではことごく勝ったし、その後傀儡政権といってもいいアメリカ主導政権を樹立することにも成功した。しかし統治は上手くいかなかった。

 

 この場合上手くいかなかったとはアメリカの経済・財政を立て直すという点で。戦争とはどんな戦争でも目的を達成することが目標である。目標なき戦争などない。ただなんとなく戦争は起こらない。戦争事由があって始めて成立する、まあある種のゲームといっていい。そのゲームの後の交渉によって戦勝国は戦争事由=目的を達成するわけだ。

 

 アメリカは中東の安定・民主化をその目的に掲げた。外から敵が攻めて政権作って民主主義など出来るはずがない。当然失敗したイラクは今独自で秩序を模索している。おそらくアメリカの声は限りなく小さくなるだろう。結局何のための戦争かわからない。ただ無駄に金だけをつぎ込んだ戦争となった。

 

 中東の安定化・民主化に失敗してもつぎ込んだ金がPMCに流れたり、米企業に流れたりで、経済成長を促進すればまた話は別であったが、皮肉なことにRMAで発達しすぎた軍事能力は想定内の消費しか生み出さず、war boosts economy戦争による消費押し上げは起こらなかった。パワポやインターネットに代表されるように戦争の研究で軍が生み出す新技術の影響は大きい。しかし今回の戦争でそれが生まれたとしても結果ははるか先になるだろうし、何より出費が多すぎる。

 

 中東をアメリカの言うことを聞く民主国家で埋め尽くす。石油が入り、米の製品を大量に購入してくれる、新興国が誕生する。経済成長とともに、世界問題の中枢である中東を事実上支配化において覇権を確固たるものにする。アメリカの威信を獲得し、軍事・経済・威信という三つでアメリカの地位を沖天させる。まあこんなもんでしょう、あんだけおめでたい彼らが考えるプランなんて、逆に全てそれが駄目になって三つ全部傷ついた結果となった。軍隊がいくら強くても戦争に負ければ、その正当性にダメージを追う。まあまだアメリカ国内でアメリカ軍の信用は大きいけれども。

 

 軍隊を打ち破られ、首都を落とされる。そのような図式は起こらないが、いつまでも問題が解決せずズルズルと長引いて出費だけがかさむ。その結果財政危機を招くことになった。誰もが知っている。戦争なんかに金使うなら教育に回して地道にまっとうに効果がある方に政府の予算を人材投資に回すべきだ。

 

 そういうことがわからない。アレほど軍事能力があるのに、数千年前から説かれてきた軍事哲学すら知らない。戦争は始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しい。戦わずして勝つ。軍隊は容易に動かすべきではない。そしてもし動かすならスピーディーに動かし、最速で終わらせる。金食い虫の軍隊をいつまでも使うなど言語道断。そしてその間中、国をあけて戦争をしていれば、本国で変事が起こってろくなことにならない。別に孫子ではなくてもどこの文明でも戦争をしてきてその哲学を発達させているのだから似たようなのはどこでもあるだろう。

 

 戦争に強いことなどもはや先進国の間では無意味。無意味はちょっと言いすぎだが、少なくとも決定的要因ではなくなった。重要な一要素。他のさまざまな諸要因を考慮すべきなのに、戦争で叩けばそれですべてが解決するなどと思い込んでいたアメリカ人の自己像と世界像がいかに歪んでいたかを如実に証明するものであろう。敵も己も知らないアメリカ人が戦争をすれば百戦して百敗するわ。

 

 今回の財政危機で明らかなこと。戦争を止める事。軍事費を削減すること。誰が見てもこれしかない。無駄な出費はこの軍事費以外ない。そして教育など充実させて平等に競争できる開かれた市場を持つアメリカの強みを最大限に生かすこと。幸いアメリカは人口という経済成長の基本であるファンダメンタルが伸びている。やりようによっては経済成長はたやすいだろう。無論それに伴う人種の坩堝、国家の分裂・断裂がさらに深刻になるだろうが。

 

 今回の戦争の敗北はアメリカ、アメリカ人とは何か、新しいアメリカはどうあるべきかを問うことになっている。はたしてアメリカが選ぶ道とは…。

 

 まあオバマは戦争とめられないし、軍事費削減も出来ないでしょうね。再立候補すら出来ないのではないでしょうか?なんか民主党・黒人大統領のイメージダウンのために選ばれたのでは?という陰謀論めいたことを連想してしまいます。それこそ元軍のトップであり、軍事費削減を私なら出来る!という大統領でも出てこない限り、アメリカの未来はかなり危機的でしょう。ニクソンキッシンジャー的なコンビが出てこないとかなりキツいですね。