てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

TPPについて

TPPについて書きます。まあ別に大したことではないのですが。

 TPPについてものすごい騒いでいる人が多いですね。ツイッターなんか見るともう反TPP一色。中野さんだっけ?反TPPの人。以前書評で取り上げたけど、あんまり印象には残りませんでしたね。だから?っていう程度で。

 ロイターのこの記事にあるように、TPPの問題はISD条項なわけで、これがある以上はアメリカの好き放題、やりたい放題なルールになる可能性がある。しかし、実態これが採用されるとは到底思えない。だいたいそんなもの採用したら、国内は無茶苦茶になる。TPP枠内で紛争中立やろうだなんて、結局EUだったり、WTOみたいなのをこの地域内だけでやろうってことでしょ?馬鹿じゃないの?そんなのできるわけ無いでしょ?

 こんなの交渉上のブラフ(駆け引き)で、この領域内でルールを作りたい。制度を作って、これを世界スタンダードにしたいわけでしょ?アメリカ以外のチリとかペルーだっけ?そこら辺は別にアメリカルールでも構わない。アメリカにそもそも対抗できるような基板がないからそれでいいかもしれないけど、日本は全く別。国内制度がある程度成熟している以上、金融でも保険でも法関係でもある程度すり合わせることができても、アメリカと全く同じ制度、もしくは紛争解決制度をつくろうなんて土台無理ですよ。慣行から法体系から何もかも違うんだから。

 結局内国民待遇なんて、アメリカは国を開いているのに、お前たち他所の国は閉鎖的だ、市場を開放していない!だからアメリカの経済成長が阻害されるのだ!国を開けってペリーばりの古い価値観でやってるわけで。日本叩きの典型ですよね。その面がゼロとは言わないけど、日本化して魅力的な商品を売れれば、なんで~~社に門戸を開かないんだ!ってなるんですから。まあ、大前さんが貿易摩擦時代から、違うんだ日本企業じゃないんだ、アメリカの企業が日本に投資して日本から輸出してるだけで、設けているのはアメリカの企業なんだ。―って言ったのと同じでしょう。

 まあ、上のロイターの記事とそんなにスタンスは変わらないですけど、ISDあるなら入らない。アメリカの不当性を指弾して、入らなければいいだけの話。TPPが成立しようが、しまいがこの様に世界的なルール作りはいづれ必ずまた起こるのだから、交渉自体に参加するのは当たり前。交渉しないということはありえない。

 そもそも世界の基本は自由貿易なんですよ。日本が戦争に乗り出したのもブロック経済自由貿易が終わったから。経済学見てもわかるように、学問の基本は自由貿易絶対。たまに市場原理主義が~~とかいうアホがいますけど、経済学は基本市場原理主義ですよ(^ ^;)。市場原理を否定して経済学は成立しませんよ。何言ってるんでしょうね?

 

 大学出ても平気でそういうことを言うような人がいるのが日本のレベルでね。まあ、手のつけようがない教育水準の低さですね。理系のレベルの高さも結局やれと言われたことを唯やってるだけのような気がしますね。だから、オウムみたいにホイホイ理系の人間が入信して、サリンばら撒くわけで。

 付け足すと、市場でも間違うことがある、時にその間違いを防止するための政策を取る必要がある。そういった観点はあるけども基本的に市場の力を最大限活用するのが経済学の基本ですからね。

【農業保護について】

 そんな当たり前の話は置いといて、自由貿易が基本であらゆる規制はないほうが経済的に正常である。大体そんなモデルがあって、あらゆるものはいずれ自由貿易に移っていく。それにもかかわらずウルグアイ・ラウンドの時のようにただ反対で、未来のヴィジョンがない。農業を過剰に保護すべきではないでしょう。

 TPPに入る入らないの話ではなく、農業を過剰に保護すべきではないということですね。今の農協は日本の農業政策にプラスではないですから。農協を無視して自由に作れないから、農家に競争原理が働かなくて迷惑しているなんて話はいくらでも聞きますからね。

 農業保護は先進国でも必ずやりますね。EUの補助金政策なんて有名でしょう。開放はしても、関税ないぶん、補助金つけて値段下げる&輸出するなんてレベルまで行ってますからね。輸出はともかく、高額産品に特化する戦術だけでなく、農業は安保の面がありますから、ゼロにはできないわけです。まあ、有事になったときにどうする!なんてのは置いといてね。

 そもそも石油がなくなったら日本は終わるんですから、半年から一年で日本社会はストップするでしょう?確か。有事において何より優先するのは石油なんですよ。一体何を勉強してきたんでしょうね?まあ、それはおいといて、農業の場合は気候変動とかイザ!という時のことを考えてゼロにはできないわけです。なにより自然から離れた人間は発狂水準が上がりますから、自然との共生という面でも農業をゼロにするということはありえないわけです。

 不当に自営業者を甘やかすようなのはダメですけどね。ある程度の農業経営者は必要になるわけで、農林業の技術は無形文化財的なものがありますからね。まあそれを置いといても、今のような体制は間違いなく問題なわけで、これを機会に農業改革をやってしまえい!なんて古賀さんが言うのも一理あります。

 ただTPPという形でやるとき、条約批准で先に枠が決まってしまう、ルールが決まってしまったあとで改革をすると制度設計に無理が生じる可能性があります。それが心配ですね。つーかそんなの外圧利用してやるのがそもそもおかしな話で、政治力で進めておく話。官僚に良いようにやられて既得権益存続しっぱなしのツケってやつですかね。

【戦略の話】

 戦略を考えるとまず有事で農業やら何やらが入ってこなくなる。つまりその前にどこの国と戦争をするのか、交戦に入るのかという事前想定が必要となる。何となくロシアが攻めてくるなんてのは論外。可能性は低くても北方領土をめぐって~とか交戦事由を想定して、その場合どこの国の貿易ルートが遮断されて…という想定が必要になる。中国と戦う場合・北・アメリカ、それぞれ想定しておかないといけない。それがない以上、そもそも戦略が成り立たない。有事の農業はいいが、そのプランなくしてどんな産品をどれくらい賄うかという戦略は立てられないだろう。この有事の場合、これが不足するから、この農産物をここで新たにつくって、何年賄うとか綿密に策定しておかねばならない。

 そんな基本を無視して何が農業の保護か、バカも休み休み言え。

 で、TPPに賛成・反対なんていうのは論外の話で自由貿易なくして日本はないわけですから、TPPなんて話が起こる前に日本はどうすべきかという戦略を制定しておいてアメリカが言う前に何PPでもいいからそういった日本Way!日本中心の自由貿易圏構想を打ち出しておくべきだった。何をやるにもアメリカ追従が今のTPPなんですから。そこにこそ怒るべきで、TPP云々じゃないでしょう。

 TPPはサブプライムでアメリカ経済不調、それの打破のためにアメリカ経済成長ではなく、太平洋にまで少し枠を伸ばして、域内経済成長を促進して、世界経済を主導しようという思惑がある。アメリカ経済=世界経済だったのが、外に目を向けだした。まあ付け焼刃中の付け焼刃ですね。

 そんなゴリ押しを通すために政治力を利用して経済力に転嫁しようというあざとい!春香さんあざとい!と言われるくらい露骨なやり方。安保で守ってやるから経済で貢げよこのやろうということでしょう。見え見え三重県です。

 TPPはブロック経済とは言わないまでも、そのルール設計の面でその可能性がある。中国排除が疑われて、中国が俺も入れろよなんて言ってましたけど、中国の場合、国内経済の制度が不透明すぎて入る以前の話ですからね。中国を牽制するための枠づくり。この前アジア重視ってやつで書いたとおりです。

 で、日本の戦略で考えるとASEAN+6でもTPPでも、つまり中国でもアメリカでもどちらでもいいわけです。中国にしろ、アメリカにしろ日本を取り込めるかどうかというのは死活的になるわけですから、この競争を利用して漁夫の利をえればいい。交渉を有利に進めればいいわけですから。

 中国が調子こいてきたら、今後もアメリカとの関係を深化せざるを得なくなるぞ!それでいいのか!と言えばいいですし、アメリカにはアジア連合作るぞ!と脅せばいいわけです。まあ今の中国をパートナーに選べるかといえば論外ですが、そもそもASEAN6だって、中国の制度が未成熟すぎて日本にとって域内一体化なんて到底無理ですからね。

 日本的にはそもそも米中対立を起こさせない様な「平和な海」路線。既存の綺麗事・おためごかしを軸に中立諸国を巻き込んでいくのが良いでしょう。日本の外交とは沖縄の基地と、北の拉致をどうするかですから、それを解決するために今の有利な状況を最大限利用すべきでしょうね。

 まあ、今の反TPPムーブメントでわからないでもないのは、野田さんがISD知らないというように、無能という一点に尽きるでしょう。無能ということはすなわち、官僚の言いなりでしょう。官僚を信頼できない。すなわち自分たちの利権主導で無茶苦茶やりますからね。無茶苦茶な条件で交渉締結してしまいかねないっていう懸念はたしかに己もあります。

 最終的には条約批准は国会の承認を必要としますから、馬鹿な条件で締結したらひっくり返されるでしょう。んで、今んところ一番それが現実的な路線じゃないでしょうかね?交渉するだけして、結局中途半端で良い条件もあるけど、変な条件・悪い条件が入る。それをめぐって内紛→国会否決。

 そんな感じになる気がしますね~。