てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

<PC用> 【つぶやきまとめ】 中国人と近代化について

せっかくツイッターで呟いたから、こっちにまとめ直して載っけます。中国も「近代化」が場合によっては可能だったという話を目にして、ちょっとそれは違うんじゃないか?というところから拡大したものです。

 「中国人」の誕生について、明治維新から日清戦争くらいまでには「日本人」はもう生まれていただろう。日露戦争の勝利で天皇はカリスマ化が完成した。戦勝ほど物語、歴史=民族を作るものはない。では中国はどうだろうか?辛亥革命中華民国で「中国人」は生まれただろうか?

 これはかなり微妙なところ。常識で考えると中華民国誕生で「中国人」が生まれたと考えるのは無理がある。しかしそこは「歴史」を持つ中国のこと、偉大なる中国・中華観念が「中国人」を形成したと考えられなくもない。まあいずれにせよ、100か0かで簡単に割り切れる概念ではない。

 変な話だが、逆進的に現在の中国人を完成された中国人=100としてさかのぼって、当時の中国人はいくつくらいの完成度か?と考えてみるのが良かろう。30%中国人とか、70%中国人とか。その完成度の度合は中華民国時点でそれほど高くないと考えられる。

 国を作りました。今日からあなたは何何人です。なんて言われてもよし!俺は何人だ!―なんてなるわけない。重要なのは国家としての機能により国民に、国家というシステムのありがたさを実感をさせること。失敗すれば別の概念にたやすく人は引きづられる。帰属意識は簡単に変わる。諸国家萌芽初期なら尚更。

 重要なのは日本という強国の登場と、欧米列強の連戦連敗。英仏日に負け、露・独には戦争以前に領土を掠め取られた。中華=領土の広さ、支配領域・圏の広さであるから、これが脅かされた時、「中国人」は私達は今後一体どうなってしまうのかという強烈な危機感を覚えたのは間違いない。

 第一次世界大戦の時も戦勝の味を味わってない。むしろ日本に対する抵抗運動レベル。日本と比較して重要なのは東亜のもう一方の大国は戦勝を経験していないということ。それどころか抵抗運動がやっとのレベル。民族意識国民意識の根源は反日運動を起こして満足するレベルであったことは強調しすぎてもしすぎることはないだろう。

 反日運動レジスタンスこそが中国人の初期の民族意識形成に大きな影響を与えた。日本人が戦勝・独立保全大正デモクラシーとトントン拍子にステップアップしていったのとはまさに対蹠的。強い中国を作りたい!世界の一等国の仲間入りをしたい。それこそが現「中国人」の中核であろう。

 ※追記些細なコメントを追加すると、初期中国のナショナリズム、中国人という意識を発露する手段としての反日運動、抗議運動としてそれを行うことは一定の理があったことは言うまでもない。しかし今現在そんなことをしても全く中国側にとって理はない。むしろ不利益があるだけ。国内で反日運動が高まれば高まるほど異常な国として世界に写る。ターゲットにされる日本はなおさらだ。中国脅威論に火に油を自ら注いでいるのだから。

 これは身近に日本と関係がないからそういうことをやっているのだろうけども、隣国にある大国はどうしたって経済的に密接な関係を築く。陰に陽に日本経済と密接な関係を築いていることは論をまたない。それを知っていれば、日本も傷付くが、同じくらい自分たち中国も傷つくにきまっている。こんな単純なことにも気づかないレベルなのである。

 また、ここに我々は伝統主義を見ることができる。昨日起こったことは今日においても正しい。昨日反日運動を起こして英雄とされた。それは意味を失った今でも続き、無条件で今日においても英雄となる。水面下ではそういうことに気づいていたとしても、おい、それはもう違うぞ!という声が上がらない。変えることができない。このことに注目しておく必要があるだろう。

 強い国に豊かな生活、まさに富国強兵こそ中国人の望み。共産党政権で土地改革も行われ、中華人民共和国は「中国人」を形作った大きなイベントであっただろう。また朝鮮戦争でのアメリカの撃退も彼らを鼓舞する物語としては十分だ。問題は文化大革命。これは「中国人」に大きな影を落とすことになる

 それだけではなく、共産主義というイデオロギーを事実上放棄してしまい、路線転向をした。これもまた大きい。なぜなら共産主義=正義、その正義物語が失われたからだ。「中国人」にとって今重要なのはもはや中国は成長をし続け、世界に冠たる大国であるということだけ。意義は米を抜くという野望のみ。

 誰がどう見ても「中国人」という観念は強固で、明日になくなってしまうものだとは思わないが、極めて危うい状態であるといえる。成長が止まれば「中国人」という物語を支える軸がなくなってしまう。外からの敵に負けるのではなく、内からの自生的な内部要因によって行き詰まったなら中国はどうなるか…

 列強以前の中華帝国なら、その経済力で周辺諸国を属国として自然に従えさせることが出来た。今はそうではないから武力で無理やりという点がある。大英帝国の資本の原子畜産(畜産ってなんだ…蓄積だろうが…)のための世界中からの収奪はよく知られており、今の中国はその列強型の帝国となっている。

 注目すべきは今もはやそんな大英帝国のような強奪して資本主義の基盤にするという必要がないということ。世界経済に組み込まれて、そこで十分やっているのにもかかわらず大英帝国またはソ連帝国のようなことをやっている。なぜそんな古臭いことをやるのか?

 一つには彼らはもう民主主義的な制度を導入して国家システムをそういうものに変えなくてはならないという認識が浅い、またその素養がない。やり方が分からない。次に根本的に「恐れ」があるんでしょうね。怖いから力で支配する、そうしないと滅ぶと誤認してるのだろう。

 ※追記、根本的には作為の契機がないから、民主主義=資本主義という理解が浅いから、すべき改革・起こる危機がわかっていないのだろう。問題が起こるたびに力で押さえつけ、その後アメを配ってなんとか不満を抜いていこうというその場しのぎで抜本的解決を選択できないのだろう。官僚化する政治家は我が国でもそうだが、中国のリーダーも日本のように決断をすることを仕事として、育成されているのだろうか…?どうもそうとは思えない。学者としての優秀さを備えていることはあっても、そういう人間としての力を備えているとは到底思えない。

 そしてまた、これをすべき・あれをすべきという規範で終わっていればいいのだが、これは絶対してはならないという制約が大きすぎる。改革を口にする前に、論外という空気があるから、改革に取り組む前に会議すること相談すらできないのではないか?という気がしますなぁ。そこら辺の現状がどうなってるか是非知りたいところですね。