てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

原発ジプシー

世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)/ウィリアム・H. マクニール

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世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)/ウィリアム・H. マクニール

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YAHOOのトップページに不人気世界史が人気!やったねたえちゃん!的なものがあったので、一応乗せておきますが、tsutayaとか大量に並べてあったので見たんですけど、全然よくない。まあ普通。そんなにヒットするようなものでもないと思うんですけどね。読んだって、ぼんぼん人は普通にわかったような、わからないような、面白くもなんとも思わないと思うんですがね。なんで今さら?確か東大・京大で一位とかそんな帯びがあったし、例の東大・京大詐欺か?まあ、そんなことはさておき今日のご紹介はこの本。

原発ジプシー 増補改訂版 ―被曝下請け労働者の記録/堀江 邦夫

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原発ジプシー (講談社文庫)/堀江 邦夫

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原発労働記 (講談社文庫)/堀江 邦夫

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 例のごとくチラ見なんですが、読んでいて思ったのは蟹工船に似ているなぁというもの。まあ蟹工船まともに読んではいませんが。そこまでひどい状況だとは言えなくても、社会の下層にあるもの、人にしろ地域にしろそこに原発という汚れ仕事を押し付けているというのが印象に残りました。

 今とこの筆者が潜入ルポをした1979年かな?では状況が大きく違うんじゃないか?という疑問もたしかにありますが、原発で働く労働者がかのような状況にあったのだということは非常に貴重な記録ですし、今後を考える上でも重要でしょう。

 組が労働者を員数揃えて、当然身体検査でこの人は過去にやったことがあるからダメとか、そういう票のチェックなんかみると、戦争そのも何だなぁと実感。戦争というのは人・モノを揃えること、行軍することが全てといっても過言じゃない。戦闘というのは戦争の極僅かなもの、一現象形態にすぎないわけです。アホな人は戦場での戦闘行為だけを過度に強調しますけどね。

 現場の担当官がその人が不合格でイライラしているところなんか現場の下士官とか、兵隊管理をするそれとダブって見えました。

 ケガをしたら東電の人に謝りに行って下さいとかあって、なんでや!現場責任者が悪いんやろ!ケガしたくてするもんちゃうわ!なんで謝りに行くねん!という話。また労災をおろすのではなく、怪我をしたことを隠して、その代わり何割増の日当を払って、休ませる。自己とかケガとかがあると信頼に関わるから徹底的に隠す。現場作業というのは東電の下請けの下請け、孫請けなど小さいところはそれで吹っ飛んでしまう。実際に倒産の話もありましたしね。

 内部被曝の数字が高い、なのにシャワー洗ってもう一度測りなおしてオッケーとか。作業着とかテキトーに測って、ハイおしまいとかずさんさも目立ちます。

 またこういう近代技術の最先端とも言える原子力発電に携わる末端の作業員は何をやっているかわかっていない。そういうところが、近代化の象徴的なところ、中央司令部と末端の労働者・現場との乖離を象徴していてなんかやっぱりなぁ、と改めて近代社会のシステムを実感しましたね。

 そういう作業員のために説明するスライドショー、なんでしょうか?あの免許の更新の説明のムービーみたいなやつを連想しました。結局、ああいうわかりやすい映像は馬鹿でも納得させられるように絵で理解させようという紙芝居なんですね。北が将軍様の映画を作って洗脳しよう・統制しようというのと同じなんだなあと思いましたね。

 とりあげた事例はむしろいい例だ。もっとひどい例がいくらでもあるという報告もあとから出てきたそうです。さもありなん。反原発運動があって過剰に隠して、結果スパイラルしあって不透明な原子力政策になったという点があるような気がします。

 とまあ、こんなテキトーな感じで書いてみました。原発の作業員に注目が集まった去年、そして今でも働いている作業員のことを知るのに目を通してみるのもいいかもしれません。