てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

外交における人脈・パイプについて

ツイッターで呟いた人気があった外交における人脈・パイプについて。
 
 唐家旋が日中友好協会会長=日本担当者に就任したことから火がついて書きました。もっとこういう外交が動く!っていう細かい情報に注目して欲しい!という気持ちがね、突き動かしたのです(笑)。

 政治家の能力の一つに人脈というものがある。外交の場合要人とつながりがあることを俗にパイプという。どれだけパイプがあるかということは政治家の外交力を示す指標といって良い。無論単なる顔見知りは論外。政策・外交方針を相手が知っていて、敵中作敵=シンパといっても良い存在がいること。
 かのように考えると、日本の政治家というのはパイプがないものが殆ど。である以上必然的に外交ができない。できない・わからない=官僚のいいなり。中小政治家は斯くの如し。典型的な例は小泉純一郎保守本流を歩いて来なかった彼は人脈不在でことごとく言いなりになった(今振り返ってみると靖国の強硬態度はその言いなりイメージを払拭するためのものとも思える)。
 何もこれは外交だけではない。内政においても日の当たらない道を歩んできた彼には、これといった国内に同盟・有力者の支援がなかった。ポピュリストとして一気にのし上がってから初めて構築したものがほとんど。結果財務省の言いなり・傀儡になったのも当然。日本にはパイプなき政治家ばかり。
 翻ってみるに、石原慎太郎氏はどれくらいパイプがあるのだろうか?アメリカに物言う政治家のようだが、旧知の仲の政治家・学者と毎年意見交換するとか聞いたことがない。また北・中など仮想敵国と唱える彼ほど、特に敵国の外務省・外交担当官僚とのパイプを必要とする。彼にはその努力が見えない。なぜか?
 戦争というのは外交の一手段。軍事を論じるならば、何より出口、いかに終わらせるかということに最も執着しなくてはならない。そのためには相手担当の人格・能力・意図を正確に知っておく必要がある。国内における最強硬派というのは、実は尤も妥協を引き出すことが長けた存在でもある。国内に妥協・妥結を納得させやすい。強硬派の最も重要な仕事とは利害が衝突している当該国との妥協の準備である。
 軍人は戦争をするのが仕事だが、政治家の場合は始めること、そして何より終わらせることが仕事。終わらせるための最大努力として、普段から強硬発言を吐くのは実は理にかなっている。が、それと同時に落とし所を見つけるパイプ作りというものも重要なのである。それがない政治家というのは結局目立ちたいだけ、ナショナリズムを煽って私利私欲を満たそうとする扇動政治家にすぎない。
 対外的強硬発言は国内の指示を得る上で必要不可欠。内政上の要請として理解できる。しかし、万一戦争に発展したならば、それ以上の紛争解決能力、将来の戦略像に最もふさわしい妥協を選択する能力。またそれを相手方に認めさせる交渉能力が要求される。両輪の車のように普通どちらが欠けてもいけないものである。
 プロスポーツ選手でいうとパフォーマンス=集客のための能力と、選手としてのアスリートの能力とでも例えようか。両方備わった人物こそが外交を担当する政治家としてふさわしいと言えよう。どうも日本の政治家は石原氏のごとくパフォーマンス能力だけが突出している人が多いようにみえてならない。
 思うに戦後占領期を経て、外交・軍事・戦略というものを放棄して、安保等に無知になって、政治家のレベルが一気に低下した。そしてその反動から安保・軍事への関心が一気に強まった結果なのだろう。願わくばその先にある政治家はパフォーマンス能力だけでなく、実務能力に長けた人物が出て欲しいものだ。

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柘製作所(tsuge) パイプ イースター・ナイン・スポーツ #40999

外交青書〈2018(平成30年版)〉