てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

訣別―大前研一の新・国家戦略論/朝日新聞出版

訣別―大前研一の新・国家戦略論/朝日新聞出版

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 から、書いていきます。今回試しに先につぶやいて、どういうリアクションあるか試してみました。もう一回くらいやってみようと思ってます。一回呟いたやつをまとめ直す感じですね。今回はページ数もないんでわかりにくい事この上ないですが、大前さんはだいたい読んでいるので、殆ど読み流しになるんですよね。国富論とか新資本論とかまあ、そっちを読めばだいたい大前さんの根本的ロジックがわかりますからね。後は応用ですから。

第一章迷走する日本より。

 東電の財務状況を見れば、倒産・破綻整理して再生させるしかない。未だ政府はGM方式かチッソ方式かはっきりさせていないが、新会社が発電・配電事業を継続し国鉄清算事業団のように補償を行う。つまりツケは国民が背負う形

 2000年三宅島の強制避難のように帰宅するまで4年もかかったように必要以上に統制しすぎ。迅速に情報公開して、ここだけは危険だからダメ、必要なら届出制にしても良い。一律強制避難は保身による責任逃れのため。だから農家のように被害が必要以上に拡大し、補償がかさむことになった。

 本来家畜など安全に移動できたはずなのに、三千頭の牛・三十万匹の豚・六十万羽の鶏が餓死・処分を強いられた。ほうれん草の出荷処分停止も説明に乏しいから福島・茨木はアウトだと風評被害が広がった。一年間通して食べないようにと警告するだけ、農家に基準値を超えたものを自粛させるだけで済んだ話。

 無能な政府が思いつきで行動するとそのツケは国民・納税者に帰ってくる。あとからレベルをあげて諸外国から情報隠蔽の不信を抱かれた。放射能汚染水の海洋投棄にいたっては同情から怒りに変わった。ロンドン条約原子力潜水艦で海洋汚染を念頭に締結されたもの。元々日本が立役者となって結ばれたもの。アメリカの原子力空母・潜水艦により海洋汚染されることを懸念したからこその1972年のロンドン条約であったはずなのに、それよりはるかに高い放射線汚染水を海洋投棄したのだから…。その言い訳はロンドン条約は移動中の船舶のそれを禁止しているから、条約には抵触しないである。

 <拙意見>海洋汚染が問題なのに、船舶じゃないからセーフなんていう馬鹿な言い分が通用するはずないだろうに(#゚Д゚)ゴルァ!!。こういうのはまさに居座っても法には抵触しない。―で押し通そうとした当時の政権菅直人及びその仲間たちのメンタリティをよく表してますね。法の精神・本質を考えたらダメに決まっているということがわからない。法を自分の都合のいいように解釈するのは官僚のそれ、法匪官僚の発想に近い。
 思うに法・ルールというものを何らかの一技術と勘違いしていないだろうか?技術・テクニック次第でなんとでも解釈ができるのなら、行なってもよい。つまり法に詳しい者であればあるほど、そういう行為を行なっていい―と認識しているのではないか?法の精神を無視して、法に携わる者が自由に解釈していいというのはルールの執行者・法の担い手という理解ではなく、法によって高位の身分・地位を獲得したと認識していることになる。

 ということはつまり、その身分に就いた後はそれを好き勝手に解釈して統治をするのだと、意識的であれ、無意識であれ、そう捉えて実行している。彼らは身分の論理で行動しているとみえますよね。官僚・裁判官と並んで、弁護士は職業ではなく、身分なわけです。身分であるから後はお上に任せよ!っていう精神ではないでしょうか?

 つまり司法試験は大学試験と並んで科挙として機能している可能性が高いですね(無論、言うまでもなく、どんな社会でも階層が必ず存在して、上位階層にあたる職業が存在する。ただ日本の場合はそれが職業による階層ではなく、身分になってしまっている。高位の身分なのだから逆らうなというロジックとなってしまっている。職業なら当然職務に反する行為だからダメだろ!と当たり前の論理が働きますが、身分として機能してしまっているためそういう当たり前のロジックが働かなくなっているということですね。

 だから同じく社会の上位の階層・任務を担っているメディアなんかも、職業としてではなく、それに身分制が加わってしまって機能しているんでしょう。一旦就職したら、はい一生安心みたいな身分保障があるのもそのためでしょう。その人間・能力で評価されるのではなく、身分として)。関係ないところから日本のあらゆる試験は身分制・科挙として機能して、身分制を形成するという発見をしました(笑)。まあ、昔から日本の大学試験は科挙だといってきましたけどね~

 有害廃棄物の国境を超えた移動を禁じるバーゼル条約にも違反する。こういう場合国際的な専門家を集めて最高のチームを組んで対策を練るべきだった。原子炉の冷却に汚染水が出ることは必然だから、そういうトップの判断にコンセンサスを得て説明した結果なら、これほど非難されることはなかっただろう。

 ブラックアウトを抑えるためにはピークダウンこそ本質。そこを管理すれば計画停電など必要なかった。東電にそれを管理する能力もなかったし、三時間も止められてやっていけないところは本社を移してしまい、アフター5どころではないから消費者マインドを冷え込ませて、経済にはかりしれないダメージを与えた。

 賢い政府なら電力の受給の推移と余力を把握して、公開する。残り10%で警告・5%で政府の責任において電力を断つ。昼間に緊急放送以外のテレビを止めても困る人などいないのだから。きちんとした対応を取っていれば、計画停電など必要なかったのである。

 官房長官がよくやったと評価されて、首相にふさわしい人物と評価されているが理解できない。単に役人が書いた原稿を真摯に読んだだけだろう。首相の能力が役人が書いた原稿を真摯に読むことを指すならともかく。本来このような東電・安全委員会・保安院のインチキを暴くことこそが首相にふさわしい能力であって、それで評価され無くてはならない。こんな事で次の総理などと評価されてはね…。

政権交代から首相三人目という異常事態。4つ議院内閣制としておかしいことを上げる。①宮沢政権以後第一党を尻目に細川連立政権が誕生したこと。そして選んでもいない羽田政権ができたこと。選んでいない首相が出て、なにもしないうちに高い評価をし、密室で決められても有権者の文句がなかったこと。

 ②その後自社さ連立政権で村山→橋本政権となったこと。同じ選挙で四人もの首相が輩出されてしまい選挙の意義がわからないこと。これでは首相は権謀術数の結果でしかない。③同じく郵政選挙で大勝したのにもかかわらず、任期途中で小泉は辞任し、その後政権は郵政とは逆方向へ。これでまた選挙の意味がなくなった。

 ④政権交代で必要のない国社連立政権。本流の英の保守党と自民党連立政権ではキャメロンとニック・グレッグ両党首が一週間連立政策を煮詰めてから統一政策合意に取り付けた。だから日本のように矛盾をきたして連立政権が破綻することもない。日本は与党が勝手にそれぞれ有権者にアピールするからおかしくなる。以上、同じような問題が起こっているのに反省がない。

 国のリーダーを選ぶのに明確なルールがないという深刻な事態に感覚が麻痺している。政局で大臣になる機会があるからと与党でも足を引っ張り合う。政権のたらい回しで政治が全く動かない。よって病気などやむを得ない事情を考慮し、一選挙で首相二人までにする。同一選挙で二人以上出す政党は立法措置で解党にしてもいい。一つの選挙でリーダーを三人以上だすというのは政権担当能力がないのだから、次の総選挙で与党にならないように解党させる。

 <拙感想>この選挙についての話は日本の政治制度、立法府が官僚なしでは動かないという構造的欠陥が先んじると思うが、それらはひとまずおいておく

 アルゼンチンもアメリカも、牛肉を僅かなケースを以って全面禁輸にされた。それで悔しい思いをしているのは間違いない。今日本が稚拙な情報公開で全面禁輸という悔しい自体に陥っているのは、実は自分たちが他国にしたことなのである。このような失礼なことを、まず自分たちが先にやったことを知るべし。

 米危機の時はいち早く備蓄を提供してくれたタイに対し、ねずみの糞が出たという風評被害などで大量に破棄し、今回の震災でタイ最大の食品会社CPフーズが被災地に鶏の唐揚げを二五万トンも提供してくれたのにそれが報道されることはなかった。台湾の馬大統領の義援金手持ちも同様報道されなかった。

 <拙感想>台湾ありがとう~的なのはネットでよく見かけたから向こうの人も知ってると思うが、タイは知らなかった。タイの皆さん有難う>ω<)ノ~。よし、みんなこのツイートRTしてタイまで届けるんだ!(笑)

 毒ギョーザ事件の時も同じ、ほとんどの食品工場を直に見て衛生管理もしっかり行われており、問題はないといえるレベルだった。にもかかわらず中国全土から一斉に禁止をした。中国野菜の残留農薬で一時スーパーから消えたのもそう。日本の無農薬野菜の多くは禁止されていない他の薬品を使っているだけで安全基準を満たしていても、一概に安全だと言い切れない面があるのに、海外に対してはこのザル対応である。

 結局、本質そっちのけで国産よし、外国産は危ない!このような偏見で対応しているからこういうおかしな対応になる。鳥インフル口蹄疫で宮崎以外までの鳥を禁じたりしないのに外国になると一律全て禁止にする。アメリカ産・中国産と偏見で対応してきた日本が一律禁止を食らうのも当然ではないか。

 細川政権以降二十年、日本はまともな政府を持ったことがない(それ以前にあったかしらん?田中・中曽根くらい?)。石油危機・円高不況と圧倒的な危機で日本は成長した。今回の震災を危機として再び生まれ変わるかもしれない。そうでなければ外圧に頼るしかない。外からの管理下におかれるか…。

 第二章では内務省などの例を取り、バブル前までの官僚の肯定をする。私鉄沿線に沿って住宅開発を進めその結果人口が分散して、都市に貧困部が残り、スラム化するようなことはなかった。産業構造転換の主導も見事であった。しかしバブル期大蔵官僚はおごりが目立つようになっていた。

 あなたのような人間が騒ぐからクラッシュが起こる。我々が日本経済を無事軟着陸させるから黙っててくれという有様。その後政治主導の機運が高まる。しかし経験も勉強も不足な政治家では到底運営できず、政治主導などというべきではなかったと枝野氏が吐露し、こっそり事務次官会議を復活させる有様。

 官僚も二十年以上叩かれかつてのようなグランドビジョンを描く力をなくした(これは利権に抵触するからできないだけだと個人的に思う)。大蔵省主計局がビジョンを描き、各省庁の計画課長・企画課長が事業を考え予算を一から組み上げていた。しかし今は去年の予算プラマイ5%でいじる程度の仕事しかやったことのない役人ばかりで全てを一から零ベースで見直すという発想ができない。そして組織が肥大化・専門化しすぎて全体像を見ないセクショナリズムがはびこる。外交も私の専門は米ですからと日本の外交をどうすべきかという基本も考えない。

 厚労省という組織一つとっても巨大化しすぎて何も問題解決ができない。少子化の解決を聞いても、全体像がないからろくな答えが帰ってこない。働きながら子育てをするには預かってくれる施設が必要だという発想もない。せいぜいハコモノを作り、夜間スタッフの手当のための予算をつけようというくらい。

 あるいは施設ではなく、地域の高齢者に面倒を見てもらうという制度を作るのも良い。しかし総務省からもそんな発想は出てこない。役人が害を及ぼすことすらある。戦後植林行政で住宅のために生育の早い杉を首都圏に植えた。結果安価な外材に対抗できずに放置され、国民の三人に一人が花粉症で苦しむ有様。

 未だに林野庁は杉に補助金をかけ続け育成し続けている(!)。全く必要がなくなったのだから全部処分すれば花粉症で苦しむ国民のためにもなるのにそういう発想がない。逆に花粉予報とか、花粉を出さない研究とか本末転倒なことに力を注いでいる。政治家にも三千万票のために杉を伐れ!という発想がない。

 <拙感想>まず初めに役所ありき―とよく言うが、花粉症って全くの人災だったのか…。杉じゃなくて別の木に数十年単位で植え替えていけば花粉症なんかなくなるのにバカだろうとしか言いようが無い。薬品とか病院のためにわざと病気を増やしているんじゃないかと邪推したくなる愚かさだ。最近はツイッターで政治家が窓口を開いているから、花粉症の方は政治家のアカウントに、花粉症の根源スギをなくしてくれ!と林野庁に訴えてもらう。林野庁と渡り合える政治家を支援すれば、花粉症に苦しまなくなりますよ。さあ!RTして政治家に陳情だ!(笑)

 大局観を持たず、成功体験に引きずられ前例踏襲主義でやってきた結果、成長期には五年先を行っていた政策も、今や30年後を行くようになった。経産省の役人に、昔の通産省の役人のように五カ年計画を作ったら?と問うと、私らがビジョン書いても誰も信じないでしょうの有様。

 天下国家を論じられない官僚に五年先のビジョンもないし、作る気もない。せいぜい外注してシンクタンクに作らせる予算を取ってくる程度だろう。<拙感想>後に偏差値教育の弊害を発想を殺すそれとして厳しく非難するのだが、そもそも天下国家を論じない、大局観がないことのほうが問題ではなかろうか

 本来法律を作るのが立法府・政治家の仕事であるが、日本の国会議員は法律を作れない。日本にはサンセット法のような古い法律を廃止する法律がないためである。普通法律には寿命があるが、景気対策のようなモラトリアム法でさえ、期間が来たら延長してしまう。複雑な法体系で新しい法律を作るのが難しい。

 新しい法律を作るには古いそれに抵触しないように作らねばならない。明治以来の法律が多く残っており、六法全書の半分以上が戦前のもの。それらすべてに抵触しないように法律を作るのは専門家でも困難な作業。であるから内閣法制局という「法の番人」が存在する。彼ら抜きで行政府は法を作れないのだ。

 <拙感想>大前さんは時にあーだーこーだー言うのだが、全ての問題は畢竟ここに尽きる。日本の問題の本質というのは立法が自由にできないという狂った法体系にこそある。己にすると、どうしてみんなここに注目しないのか理解ができない。今の民主党執行部が官僚に阿る、公約を裏切るのもここにある。

 彼らが無能でクソ野郎だから公約を平気で踏みにじるわけではない。無論公約を破る政治家などウンコ扱いされて当然だが。能力に乏しいから行政運営ができないのではなく、官僚が拒否権を握っており、彼らの意思に逆らって立法ができないからである。内閣法制局がVETOを持つのは自民以来変わらない。

 明治以来の古い法に支配される状況は朕が新儀は未来の先例なりと言った後醍醐天皇を連想させる。近代化以前の政治では先例が絶対、前例踏襲主義で既存利権を脅かすことは許されなかった。議会が何故生まれたか?前例にとらわれて何も進まない停滞の打破、利害調整のためだ。これでは議会の意味が無い。

 民主主義政治・議会政治というものの革新的な点は前例を重んじ、何事も自由な意思決定ができない政治から、議会においては先例を破棄して何でも自由に決められるという点である。古い法律に縛られて何事も自由に立法できないという時点で、日本の議会政治というものは死んでいると言って過言ではない。

 今の停滞した政治状況を打破するのは政権交代でも、政界再編でも、維新政権でもない。法治国家としてあるべき姿、特定の階層・法律を操る人間の支配から、国民の代表である政治家が自由に立法をできる本来の姿に戻ることである。前述のサンセット法を作れば官僚の法の支配は大きく崩れる。

 余談、というわけで現在法律ではなく、「政治判断」と言う名の下に夏だけ再稼働という原発はともかく、消費税増税法案は一時的・特定の条件をつけて成立でもしようものなら、間違いなくなんやかんや理屈をつけて恒久化されること間違いなしである。

 ※ちょっとサンセット法に対する理解があやふやだったので整理。本質は新法ができた時点で旧法はそのまま廃止、新法のほうが優先して自動的に廃案にならない制度。旧法が有効か無効か判断するのも普通は裁判所がするものですからね。そもそもサンセット法って特定事業に適用される時限を決める制度で、新法が旧法に優先するという当たり前の現象とはちょっと話が正確ではないようですね。例えとして、サンセットを大前さんも持ちだしたんでね

 平成維新の会で生活者主権を実現する法案を提出しようとした時、まず既存政党の反対があり頓挫。それを乗り越えた議員には内閣法制局から待ったがかかった。彼らに「どうすれば実現できるか」という発想はない。なぜ「法案成立が難しいか」を説明するばかり。

 この法律とぶつかるから成立しませんと言われ、じゃあこうしましょうと提案された法律は見事なまでに換骨奪胎され、何の法案か意味がわからないものになる。小泉特区も本来、規制を撤廃して成功したら全国に波及させるモデルケースのはずだった。それが単なるお目こぼしになっている。決して波及しない。

 政治家に改革という美味しいところを味あわせておいて、数年たってほとぼりが冷めてからもとに戻すというのが役人の常套手段。郵政も道路も今では元通り、解体分割された組織も天下り機関として綺麗に整備され直した。どうせ一年で首相が辞めるから、そのあとで取り戻せばいいとしか官僚は考えていない。

 一年待てば次か次の次の首相が改革反対派になる。その首相になるまで時間を稼いでおけばいい。既存省庁を復興させた東北復興院構想も組織を超えて20兆という予算を担当するから、大反対。成立するはずがない。担当省庁の監督下に置かれない限り官僚が賛成するはずがないから。

 原発事故で官邸に請われて説明に行ったが、民主党には政局しか頭にない議員ばかり。マニフェストも思いつきの寄せ集めに過ぎず、なんとしても実現させようという使命感のかけらもない。無論自民党も同じ。政局にすればマスコミが取り上げてくれるから。マスコミも政局・新政権はネタになるから食いつく。

 日本は有力政治家のぶら下がり記者がいるから、その政治家が出世するかしないかで社内の出世に関わるから、応援する。担当政治家との恣意的な記事が乱立する。小沢一郎が政局の中心で在り続けるのも、彼の番記者がまだ健在だから。英ではそんな担当記者などというシステムはない。

昔は権力と距離を置いていた新聞記者も出世すると、審議会などに声が掛かリ、取り込まれるようになった。3つも4つも掛け持ちしている例すらある。引退したあとそういう経歴があれば、雑誌・講演・なんとか大学の教授だってある。当然そんなメディアから報道能力など期待できない。

 小泉の初選挙の時保岡議員に請われて、マニフェスト案を作成し23ページに及ぶものを提出。長いからと断られ、2ページに何とかまとめた。ところが小泉氏はペラペラ眺めて、「やーめた。俺の強みは勘だから、勉強したら勘が鈍くなってダメだ」という始末。本当に今の政治家は政局しか興味が無いのだ。

 石原都知事も似たタイプ。一千万以上の保障がない都市銀行に9兆円に登る東京都のお金を預けて大丈夫なのか?第一勧銀の格付けも危なかったから、いざというときのためにバランスシートが健全な小さな銀行を買収するか、都民が利用しやすい決済機能だけの銀行を創設か、東京で銀行を作っては?と提案。

 翌日にはもう銀行の見出しが出ていた。この行動力はさすが。しかし中小企業の支援と、ベンチャー支援に拘り、そこで手を引いた。それは銀行が軌道に乗ってからやるべきことであり、役人に大企業でも難しいそれができるはずがないから。結局その後は本末転倒の形で当初の構想と似ても似つかないものに。

 新銀行東京は三年で1000億の赤字を出して破綻。絶対に役人・政治家にやらせないように、プロにやらせるようにと釘をさしたのにこの結果。石原都知事は経営陣の責任にしていたが、ベンチャー支援・中小企業支援に拘った。ここに大きな原因があり、都知事の責任があることは言うまでもない。

 知の衰退とかぶっている部分があるので、パス。偏差値教育が人間から創造性を奪った。かつて首相経験者から日本は愚民化教育を行なっていると聞いたことがあるとか…。まあたしかに今の教育は家畜生産教育ですからねぇ。若いうちに頭角を現す人間もいれば、大器晩成する人間もいる。

 千差万別であるのに、今の教育は可能性を摘んでいる。今の40代と話をすると偏差値絶対で、自分たちと同じ高校であれほど優秀だった人間が間違えるはずがないという有様。自分の頭で考えられない人間ばかり(偏差値は頭の良さではなく、官僚に必要なペーパーテスト技能があるってだけなんですけどね、本来)。

 今必要な教育とはデンマークノルウェーのようにいかに発想するか、答えのないものから答えを考えだす能力。ゆとり教育を辞めても工業化社会の大量生産に適した人材が育つだけ。そこのところがわかっていない。入試問題投稿事件はそれを露呈した。答えを聞けば返ってくるような能力を試してどうする?

 たかだか入試で自治権・教育権を放棄して警察に駆け込んだのも大学として不適切であるし、受験料を取りながら不正一つ取り締まれないのは怠慢。だいたい証拠が残らない不正を放置してきた可能性が高い。これまでの入試に対する公平性が疑われてしかるべき。

 我がBBT大学ではそんなカンニングが通用するような甘い試験・大学じゃないから、ルールを守る限り、倫理性を確認できる限り、彼を受け入れるっていう声明を出すところが大前さん及びその門下生らしくていいですね。しかしこういったウェルカム発言を出せないところが他大学の情けないところやね…。

 多分こっから四章。新興国に煽られるのは成熟国の運命などではない。明らかに日本だけが一人沈みになっている。英米仏どの国も家計所得は20年前から倍か、2.5倍になっている。減っているのは日本だけ。原因は少子高齢化と中央集権的統治機構にある。あるべき改革を放棄したツケが今きている。

 若者世代だけが沈んでいるのではなく、全世代共通した現象。一昔前は高齢者は金を持っていたが、高齢者も資産が目減りしている。所得のM字型現象、二極化が給与別で見ると全体的に左になった=一億総下流現象の到来である。他国の非金融資産が倍になっているのに日本だけ20年前から45%もダウン。

 成長期の提供者の論理で家も車も価格が見積もられているから、初物でないと資産価値が著しく低下するようになっている。メーカーがディラーを抑えているから新車万能で中古車は安く見積もられる。ピークに比べ住宅は30%もダウン。ローンの支払いは増えるは、売ろうにも売れないは最悪の状況。

 住宅の耐用年数は30年と約英・米の1/3~1/2。またロケーション、住宅の周囲の景観を維持して資産価値を高めよう、保全しようという発想が自治体にない。だから中古住宅が新築に比べやすくなってしまう。米8割/仏6~8割が中古住宅なのに日本はわずか1割。

 ピークの時には往復三時間かけて通勤する獰猛性があったが、今の世代はせいぜい片道40分。それ以上通勤に時間をかける意味などない。45歳を中心に7000万近いサラリーマンが債務超過を抱えながら長距離通勤をしているのだから日本に元気が無いのは当たり前である。

 草食系。逆に考えるんだ。昔の世代が獰猛なだけだったと。獰猛系日本人。が普通になっただけだと。本当に馬鹿じゃないかと思いますよね。サブプライムは論外として、住宅市場整備してやれば、国民の資産は今後倍加するんですから、あっという間に貧困問題も解決するのにね~。

 梶原が母のローン負担のために生活保護ってのがあったけど、住宅を買ったらあっという間に借金まみれでござるの巻という問題が背景にあるわけで。生活保護を受けるのはけしからん!というより、住宅市場を早く整備してみんなが豊かになれる社会にしよう!という声が上がらない不思議

 外国人所有は僅か6%に過ぎないが、一斉に手放せば当然パニックになる。国債が買われている限りは回り続けるが、貯蓄率は下がり続けており、国民の純貯蓄は120兆円程度で毎年30兆円の赤字国債発行×四年が限界。税収を倍にするか、支出を半減するかしないと無理。

 消費税20%と歳出20%減でようやく債務返済のスタートラインに立てる。毎年20兆円返済するとしても全額返済に50年はかかる。超高齢化社会で到底無理。法人税所得税を上げると海外に出ていってしまうから消費税(つまり改革しないで税収増やすのに一番当たり障りのないのが消費税ですな)。

 最近三年でプライマリーバランスと主張していた財政再建派の谷垣さんがそう言わなくなったのは、どこをどうやってもそんなことが不可能だとわかったから。社会保障費の自然増を考えても小手先の改革で何とかなるレベルではない(だいたい国家危機レベルの財政危機を増税で解決した例は史上にない)。

 余談:善政の代表的特徴は税が安いこと。史上どんなケースを見ても良い政治と褒め称えられた政治は税金が安い政治。財政危機を増税で乗り切った例はないのも、増税して国が滅んだケースが殆んどだから。増税は亡国の道なり

 今どの世代でも単身化が進んでいる(31%で一番多い)。少子化・高齢化・単身化の3つの問題が重なり合っている。社会から家族・家が消えつつある。毎年40万人の労働者が消えているために40万人の移民受け入れは将来必ず避けられなくなる。

 しかし、今の日本社会の少子高齢単身化を見ると、結局のところ社会の変容に個人がついていけないという現実があるわけで。移民もいいんだけどまず先に連帯が失われつつある社会をどうにかしないと話しにならないと思うが。日本という国家は残り続けても、日本人いずれいなくなっちゃうぞ

 日本には水利権なるものもあって、小さな町単位で分けられて夏場水不足になっても回さないことがある。農業用水が65%で次工業、生活という順。我々は下流のまずい水を飲んでいる。普通に上流の水にすればミネラルウォーターを日常的に飲める。民営化すれば行政の無駄は減り、料金は半額くらいになる。

 そういや神奈川は相模原市川崎市横浜市と3つも政令指定都市を抱えているんだなぁ。大阪府みたいに一括行政やろうとしたら、橋下さんみたいな人が出てきて、三回くらい県知事→市長にならなきゃあかんのやな。四人組で一気に立候補するとかそういう時が来るのだろうか

 憲法に個人としての関係しか書いていないのに、家の概念・婚姻関係のない子供を非嫡出子というもので最近まで差別していた。フランスでは56%の子供が未婚の夫婦からなり、デンマークでは生まれた瞬間国籍とIDが授けられる。そこまでしないと少子化というものは止まらない。大前さんは海外の女性と結婚していますから、籍も入れてなくて、息子のところで母某と書かれるだけだったとか。まあ確かに扱いひどいですわな。婚外子なんか存在しないというレベルで考えてますねぇ。

 ふむ、結局今の少子化を止めるために戦国時代みたいにかたっぽの親にだけ子供がいるだけのような家族形態に戻るのかね?変種の宗族制みたいな。根本的に金と時間がないってのが日本の少子化の問題のような気がするんだけどなぁ。子育てに金がかかりすぎることが本質だと思うけどね

 明治天皇が京都という名前を残したいから、東の京都で東京都になったか。本当の都は西にあるから、堂々と大阪都+京都で本京都と名乗ってしまえばいいか。2つ足せば、学園都市・世界的企業・商業都市・観光資源と文化の中心としても最適か。橋下さん言い出さないかなぁ。

 中国は環境問題、空気の汚さで散々叩かれている。よって今後電気自動車が急速に普及する可能性がある。スピードが出なくても、ガソリンの半分という安さに、乗り心地の悪さもこれまで車に乗ってなかったから気にしない。中国の電気自動車需要が世界のスタンダードになる可能性があるんだなぁ。

 イギリスが大きな政府・小さな政府ではなく、大きな社会big societyを提唱しだしたように、今後社会資産を有効に活用するようなシステムが重要。民間に任せて無駄な事業を減らす。要するに社会に貢献した人に特典・免税を与えて制度を簡素化・合理化していく方向が良い。

 こんなところで終えました。後は以前読んだ、資産税や特典を与えて年金とか放棄してもらうといった話でしたので飛ばしました。まあいつもの様にかいつまんだだけですからね、大前さんの本の紹介、へぇ~くらいになって読んでみようという宣伝になればいいレベルですね、今回書いたのは。