てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

君主論②

君主論①の続きになります。

 なぜアレクサンドロスの支配が安定したものになったか。それは君主制・官僚制の特質による。仏のような封建諸侯の国では彼らを味方につけること、侵入することや敵中作敵は容易であるが、戦場の一度の勝利で支配を維持することは難しい。次から次へと新しい支配者に諸侯が名乗りを上げるからである。

 同じ理由でローマはギリシャ・スペイン・フランスで数多くの困難に直面した。その支配が安定するためには、彼らの統治の記憶が消え去るまで長い時間をかけなければならなかったのである。旧来の支配者の血筋、権力構造が微塵もなくなって初めて統治は安定するのである。

 エピロスの王ピュロスがギリシャシチリアで支配において困難に直面したのもまた同じ理屈による。これは征服者の力量の多寡によると言うよりは運命・置かれた状況に左右されるものである。以上、第四章中途半端だったので、ここまで第四章。君主はいかにすれば支配を安定させられるか。

 第五章自由都市、固有の法によって暮らすことに慣れている民を支配するにはどうすべきか?第一は壊滅させること、第二は自らそこに移り住むこと、第三は寡頭政権を樹立し、租税を取り立てること。そのような政権は君主の庇護がなければ支配が出来ないことを知っているので統治のためにはなんでも従う。

 スパルタはアテネとテーパイに寡頭政権を樹立したがいずれもそれを失った。ローマはカルタゴヌマンシアを維持するために都市を破壊した。のちギリシアでスパルタ同様の支配を行うも反乱を起こしたため、コリントスを破壊し属州に編入した。現存する都市を確実に支配するためには破壊しか無い。

 なぜなら都市は反逆の隠れ家という性質を持っているから。自由の記憶を何時まで経っても忘れることはなく、固有の制度が独立を取り戻そうという慣性を持つ。あたかもピーサが100年近くのちフィレンツェの支配から独立したように。よって破壊するか、君主自ら住むしかない。

 比べて君主制では反逆の基礎である自由はないし、立てる君主もすぐに決まらずなかなか立てる君主について一致しない。時間がたってしまい、素早くない反乱は中から寝返りを工作するのも容易い。君主制は容易い、共和制の支配は難しいのである。

 第六章自己の軍備と力量で獲得した君主について。運命によったか力量によったか、同じ君主でも君主政体の性質を全く違うものにする。力量によって君主となった特筆すべき人物はモーセ、キュロス、ロムルステセウスである。もちろん運命から好機を与えられた。しかし力量あってこその好機なのである。

 力量によって君主になるものは困難にぶつかるが、それを得たあと君主の地位を維持することは容易い。なぜ困難か?それは新制度導入で旧制度で支配する者=既得権益が猛反発するためだ。新制度で恩恵を受ける者もその抵抗を恐れ、成功・恩恵の実感がないために強力な支持となりにくいのだ。

 このとき直面する状況を生ぬるい味方と表現するのは面白い。論を進めると、改革をしようとする人達が自分の力で立っているのか、他者の力に依存しているかどうかがまた大事なこととなる。自分の事業の遂行に祈ってるだけか、実力を行使できるのかは大きな違いだ。実力があれば危機に瀕することはない。

 軍備ある預言者は皆勝利したが、軍備なき預言者は滅んだ。人民の本性は変わりやすいものである。人を信じたままにさせるのは難しい。信じなくなっても実力があれば彼らをつなぎとめておくことができる。偉大な指導者も実力がなければ律法・制度をそのままにさせておくことは出来なかっただろう。

 サヴォナローラのように自らを信じる多数の者が彼の言葉を疑いはじめた時、まさに彼自身の新しい制度のもとで滅亡したのである。改革には困難が待つ、目の前にはあらゆる危険が立ちはだかる。それ故に実力が必要なのである。力量でこれらを乗り越えた場合、安定と名誉と賞賛と権力が君主の身に残る。

 以上述べたことを実現したのがシラクーサのヒエローンである。「この人にかけているのは君主権だけである」と論じられたほど、一私人から身を起こし、古い軍・古い関係から手を切り、新しいものを築いた。無論それゆえに多くの困難にあったが、自分の味方と兵を築いた後それを維持するのは容易かった。

 以上、マキャベリの論じたことを見れば、自民党の過去の首相達・今の民主党の首相達がいかに政治学から乏しいかがよくわかるのではないか?自己の力量でトップに上り詰めなかったもの、新しい関係から権力を取りに行かなければ、その椅子から転げ落ちるのはニュートンのりんごより間違い無いだろう。

 まず自己の権力を確固たるものにすること、絶対失脚することのないようにすること。その基礎を見失っている政治家がかくも多いのは何故なのか?学問が死んでいるからだろう。本当にもう、見てて学習能力ないのか貴様らとしか言いようが無いですもんね。

続く…