てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

【追記:北の埃化】 北朝鮮の瀬戸際外交の狙いは中国牽制か?

アメリカにとって同盟とはなにか/中央公論新社

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 日本国際問題研究所の本があったから借りてきました。あとでちょくちょくコメントを書くとして、半島問題では一番参考にしている倉田氏の著述を見て思いついたことを書いてみたいと思います。

 ざっくり説明すると、これまでの半島における「米韓同盟」というのは局地的性格を持っていた。あくまでアメリカ主体で韓国は従、よって北は傀儡に過ぎない韓国相手に南北交渉はできない。平和条約(休戦から戦争を正式に終わらせること)も南北交渉もアメリカのみが交渉相手になるというスタンスで臨んでいる。そしてその戦争終結と南北間の国交正常化・統一という話もワンセットでとらえている。さらにはアメリカの予防攻撃先制攻撃路線で核武装を掲げて(本当はもっと前からあるんですけど端折ります)、核放棄という話もセットにしている。

 要するに北はアメリカと今でも戦争を継続していると考えており、休戦しているだけと考えている(最近、それを破棄したということで話題になりましたね。それによって緊張状態・チキンゲームをあおっているわけですが)。アメリカとの関係正常化は米朝国交正常化=アメリカにとっての半島情勢安定化(および対中関係をにらんだ軍事的な意味を持った友好関係もおそらく含まれるか?)、韓国との関係の好転、核放棄=NPT核レジームへの復活、すべてをセットにしているわけです。三点セット抱き合わせ商法ですね。

 ①対米終戦・国交正常化②対韓国③核―この三つをまとめることで交渉を釣り上げているわけです。迷惑極まりない国家ではありますが、取引が成立しさえすれば、極東情勢は一気に平穏化・安定化するわけです。これは米にとっても望ましいこと。だから北との交渉妥結の結果の対価を釣り上げているわけですね。米がほかの国際状況で行き詰れば行き詰るほど、否応なく妥結せざるを得なくなるわけですね。んで、北はどう見ても米は軍事的制裁に出られないと。チキンゲームに勝つ自信があるんでしょうね。

 ちなみに氏はここでは書いてないですけど、北は関係改善で攻撃されないという米からの安全保障を得て、かつ核武装という果実も手放さないと分析しています。よくばりですね。アホデスが、それがまかり通ると考えているのが北らしいですね。

 それはそれとして、これまで北がチキンゲームに手を出してきたのは、三代目の権力確立のための権威づくりとみていました。米は否応なく交渉に応じるか…といえば、そこまでは行き詰っていない。これがイランといよいよ戦争間近!ということでしたら一時しのぎだとしても、そうなると思うのですが、 まだその段階ではない。結構なカードを切ってギリギリな感じもするんですけど。なんでそんなにせっているのか不思議でしたが、一つ説を思いついたのでそれを書きたいと思います。

 まあ、例のごとく核実験がどのくらい進展しているかというお披露目。今回のミサイル発射でハワイとかグアムとか、そこらへん飛ばしておけば、あと~年後には米本土に核ミサイルが!という予測につながって、さらなる脅威になりますからね。そういうことと、あとは上で書いたように三代目の権威確立のための強硬方針、軍の上に成り立っているのでこういった強硬姿勢を取るしかありませんから。

 アメリカは同盟を「局地同盟」から「戦略同盟」に切り替えています。日本が中東までアメリカの戦争というか戦略に参加するように日米安保が変わったように、韓国も戦略的にアメリカのそれに参加するような安保に変わりました。ヨンピョンド砲撃事件の流れを受けて、米韓は軍事演習を黄海で行いましたが、それ以前の米韓軍事演習は中国の抗議を受けて黄海での演習は行わなかったんですね。中国に配慮して日本海で行っていました。それが北の攻撃で米韓は否応なく、中国が嫌がる黄海での演習を行わざるを得なくなった。

 否応なくというのは語弊がありまして、むしろ戦略同盟への切り替えを狙っていた米としては望ましいことでもありました。第七艦隊の説明は対北報復ではなく、米韓同盟の強化にあったとしているからです。ここから将来の対中軍事同盟強化の意味があることは言うまでもありません。

 すなわち、北が挑発行動を高めれば高めるほど、米韓同盟、さらには日米同盟が強化されてしまうわけですね。韓日同盟というものはありませんが、ひょっとしたら、正式ではないにせよ、そういうものにまで波及して米日韓三国対中同盟がさらに固まっていくかもしれない。核の傘を旗印に両国が日への依存を深めていくことも考えられますしね。

 ということで北はむしろ中国から譲歩を引きずり出そうとしているかもしれないとも考えられます。さらには三国同盟強化を促し、最終的に自身もそこに参加する四国同盟、対中同盟の先兵という戦略も視野に入れているかもしれませんね。まあ、それはさすがに中国崩壊&対米・対日強硬政権樹立!という流れにならないとまずあり得ないので難しい、現実味に乏しい選択肢なんですけどね。

 ―とまあそんなことを思いついたので書いてみました。

 ※追記、まとめていて書き忘れていたことを思い出しました。エジプトとアメリカは同盟関係と言えるのに、明確な条約はありません。面白いことに1978年のキャンプ・デービット合意と翌年の平和条約に基づいて同盟が成立したとみられています。これによってイスラエルを含めたほ「三国同盟条約」という形になっている。

 つまり、北の目的とは、このエジプトのケースを想定した三国同盟なのかもしれませんね。あるいは日本を加えた四国同盟か。平和条約&終戦合意で暗黙の同盟条約を成立させたいという思惑があるのかもしれません。北は中国が崩壊して混乱し、「反米アラブ化」した際のエジプトの役目を果たそうとしているのかもしれません。日韓台、そこら辺のアメリカの衛星国を保護する防波堤や先兵という役割くらいしか国体を護持する目途はないですからね。そう考えると実は北の挑発というのは中国を脅かすというというストーリーがより明確になります。

北の挑発

 

米韓・米日などの安保関係深化&日本の軍事強化

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中国軍の危機感→軍部の台頭・強硬派の勢力伸長=平和的台頭派・新しい政治構造を作ろうとする改革派の後退

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改革派が力を失うことで中国政治の混乱・停滞

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中国問題の爆発・不安定化

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北にとって対中国の戦略的価値が生まれる。

こんなヴィジョンを描いているのではないでしょうか?