てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

ボストンテロ、ミリシアの犯行?

 ボストンのテロは、イスラム過激派などの反米勢力より、ミリシアなど国内の反体制右派と言われているようです。捜査当局は両方でたぶんまだ絞りきれていないという所なのでしょうけど。ミリシアは大小色々なグループがあって、有名なのがオクラホマ連邦政府ビル爆破。炭疽菌散布などもあると。一時期9.11の時有名になった炭疽菌というのは、むしろ彼らによる犯行だったんですかね。犯行声明も何もなかったのが、あれですけど。

 アメリカで拡大する武装市民団「ミリシア」 ―なるほど、今回の事件はオクラホマに似ていると思いましたが、やっぱり原因も同じような類型に分類できるものなのでしょうか?正式な民兵のことをミリシアというが、その憲法で定められた州兵ではなく勝手に名乗っていると。いわば国内で自警団レベルでとどまるのものがアメリカならではの事情で、ある種独立勢力に簡単に発展しやすいということでしょうね。しかもそこに変な宗教思想が入りこんだら、じゃじゃーんオウム真理教の出来上がりって感じですね。

 カルトっていうのは信者を食い物にして金集めするだけならともかく、そこから末法思想・終末思想が入り込むと本物の超危険なカルトになる。そういう教団は「世の中は滅ぶ。だから新しい世の中に再生するためにいったん既存秩序を破壊しなくちゃいけない!」という論理を以て社会に革命戦争(ハルマゲドン)を仕掛けますからね。無差別殺戮を行いますから非常に怖い存在になります。オクラホマの犯人もその新興宗教の影響が強いと言いますしね(正確にはその新興宗教が弾圧されて、その報復だと主張しています)。

 白人主義だったり、キリスト教右派だったり、まあそういう人間が武装化して、ミリシア武装勢力になると。確かデッド ライジング でもそういう白人ボスキャラがいて、白人以外はけがれており、そういうやつらを駆逐しないといけない!みたいなことを言ってましたね。

 ペイトリオット愛国者の記念日、独立戦争の記念日に行われたというのは、まさにアメリカを作ったのは俺たち白人だ!自分たちが武装することで、民兵たちの手によって守られたんだ!ということでしょうか。これは勝ち取った独立を守るための戦いなんだ!ということでしょうか。

 リンクにあったとおり、ミリシアが一気に広がっていったのは政府の農業政策の失敗にもかかわらず、農家を補てんしなかった。落伍した彼らの心の隙間に新興宗教が付け込んだという典型的なパターンですからね。多様化するアメリカにあって、多数を占めてきた白人の権利が侵害されている!そう感じている人が増えているということなのでしょう。

 昔の帝国なら、上層の少数白人はきっちりしていてゆるがないというところになるのでしょうが、そこは自由競争の国アメリカのこと、白人すらもきっちり落伍する。問題はそれに対する保証、セーフティネットが整備されていないこと。社会流動性、競争圧力で成長の要素は大きくても、一気に没落するリスクがあるから安定はしない。ヒスパニックが今やアメリカの大多数を占めるように、下落してしまう白人層の存在、彼らは非常に恐怖感を抱いているというのはアメリカの現状を認識する上で頭に入れておかれるのがよろしいかと思います。

 アラブ・イスラム系ではなく、白人系による犯行だったら、アメリカは彼らの根絶に一体いかなる手を取るのか興味深い所ですね。ミリシア系のテロだと判明したら、9・11のときアラブ系やムスリムへの偏見が強まったように、白人やクリスチャンへの偏見が強まったりするのでしょうかねぇ?テロとの戦い!と言って内戦も辞さない強硬手段に出るか?アメリカがWスタンダードに出るかどうか、アメリカの真価が試されるような気がしますねぇ。

 内憂外患という言葉通り、内からも外からもテロとの戦いに苦しむことになりますなぁ。これまでは単純に海外の頭の悪い奴らということで処理できましたが、国内の負の側面、白人至上主義だったり、特に軍事がもたらす負の側面、戦争は人を狂わせるというアメリカ国家の本質を揺るがしかねないところにぶつかることになりますね。

 オバマはある種戦争をどうやって止めるか、アメリカが戦争と決別するにはどうしたらいいかというテーマで選ばれた側面がある大統領なわけで。彼がアメリカを軍国主義からどうやって次のアメリカを動かすシステムを導くか問われていたわけですよね、最初の大統領選では。だからこそ彼が選ばれたという点が大きかったんですが、二期目では経済問題が全面にでてしまいそれがどこかに行ってしまった気がしますね。

 ブッシュという???な大統領を選出して、一極だ!おれたちは世界最強だ!欧州なんかいらない!おれたちで世界をもっと安全にできる!と浮かれてホイホイ戦争に走ったザマ、ツケが見事に反映されているわけですが、今後その負債がどれだけ膨らんで、どうなってしまうことやら…。この前言った「太平洋国家」に、銃乱射事件に、アメリカのありようが問われているオバマ時代ですが、今回のミリシアのテロで思いっきりアメリカの古い価値観にメスが入るかもしれないですね。戦争(軍隊)と銃武装、それらからスパッと手を切る。それは無理でしょうから、必要最小限に縮小すること。その課題に真剣に向き合わなくてはならなくなるでしょう。*1


 また、日本にとってはこの事件によって東アジア情勢が不安定になるということが考えられるので、厄介なところです。朝鮮近辺で墜落した事件と今回のボストン事件の関係があるかどうか気になる所ですね。北の挑発行為はこのテロを事前に知っていたからという要素もあるかもしれませんね。そこまで諜報能力高いのかという疑問はあるんですが、何らかの情報を得ていて底をついたのだとしたら面白い。いずれにせよ、間違いなくこれでしばらく米は北に強硬な態度はとれなくなりましたからね。三代目が自己のカリスマ確立につながるとほくそ笑んでいるころでしょうか

アイキャッチ用画像

Militia

 

*1:普通はこういう事件を受けて自分たちの歪んだ価値観にメスを入れようとなるはずがならないのが流石アメリカクオリティ…って感じですね