てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

溶ける雇用で国家と労働者の距離が近づき、ナショナリズムは高まる

 アベノミクス以後か、きっとそれ以前からの傾向でしょうが、正社員が100万人以上減って、その分アルバイト・パートになっている。雇用がドンドン不安定になっているというのを見てちょっと思ったこと。

 雇用が融解して、企業が社員を完全にケアする体制が崩れていくのはもう間違いない。企業が待遇を悪くするなら必然的にセーフティネットで、国家制度としてケアせざるを得ない。結局企業に増税で国家が労働者をケアする。その分国家がより近くなるだけになっていくでしょうね…。

 当然、国家と労働者の距離が近づくということは、国家と国民がより近づきやすくなるということ。ナショナリズム、「素晴らしい国家が素晴らしい国民を守るべき!(またその逆)」という思想がより力を持つことになりますね。ですから「愛国思想」が思想的潮流になるのもまた必然なのでしょうね。

 ですから、労働環境の悪化とナショナリズムの高揚はナチスの例を持ち出すまでもなく、よく言われる図式なのですね。しかし今の自民はそれを結びつける労働者の保護、企業の増税という視点がぽっかり落ちていますよね。救済される可能性がない愛国労働者が自民を支持するのは不思議な構図ですね。

 単純に過渡期ということなのでしょうか?みんなのように今は公務員が標的&ネトウヨ的なレイシズムにとどまる段階であって、いずれ企業から吸い上げる政策に自民党が転換する図式になるのでしょうかね?もしくは自民崩壊で、維新がそれを担うという図式になるのでしょうか?

 いずれにせよ、企業の収益改善、税収アップが成立しない限り、社会保障も財政健全化もできなくなるわけで。自民党も将来の政界地図も大変動が待っていると言わざるをえないですよね。個人的には企業収益増→税収増ということは考えにくいと思いますが。仮にそうなっても収入が低下している大部分の労働者が置き去りにされますからね。つまり自民政権が今後も持つとは己には思えないわけです。

 コメ返で書きましたが、そもそも55年体制見てわかるように自民VS社会・共産って農民VS労働者なんですよね。自民が行った政策は毛沢東もびっくりの「農村から都市を包囲する」戦術でしたから。GHQの農地解放で新しく生まれた新興階級と見事に結びついた自民党が、労働者を組織化出来なかった社会・共産を打ち破ってきたという流れですから。んで、今は社会党民主党になって同じ過ちを繰り返している。大前さんがいってたとおり、大部分がサラリーマンなんですからそこにウケるような政党にならないと勝てっこないんですが…。

 当時は農地解放でほとんど農民でした。自民党がその新興階級の上に乗っかって進めた政治は真に理にかなっていました。「サラリーマン解放」して、新興階級の上に新しい政治を始めるというビジョンを持った政治家は出てこないものか…。

 まあ、だからこそ今のような労働者の不遇、労働環境の異常性が放置され続けているというわけなんですけども。だからこそブログ炎上で自殺者が出てネット規制されるのに、労働者が自殺しても労働環境を規制しようという動きの欠片もないわけで。今の与党・自民が労働者を人間としてみなしていないという感覚はあるんでしょうね。まあそれはなくとも、票田じゃないからどうでもいいのかと。あと規制したら競争力落ちるから(震え声)といういつものお決まりの言い訳するくらいですね。

 まあ、ワタミさんが自民党から立候補するということがすんなり自民党で通ってしまう現状を見ても「労働者」という視点が日本の政治でいかに軽いのかわかりますよね。さっさと労働党作れって何度も言っているのになんで労働党は出来ないのか?米見習って民主党じゃなくて英見習って労働党でしょ?普通。

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政権交代の政治力学: イギリス労働党の軌跡 1994-2010