てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

食品偽装の話 食事という「物語」&職人という時代の終わり


 阪急阪神ホテルズなど、提供している料理について実際の説明とは違うものが提供されていた事件の話です。一連の食品偽装で思ったちょっとした話を一つしてみたいと思います。美食・美味しいものを追求する現代の食に対する方向性は格闘技で言うと「バーリトゥード」みたいなもの。だけど僕は食には物語や思いを求める「プロレス」派―というのを目にして思ったこと。

 やっぱり食事を提供する個人店ってそこに「物語」があるわけだよね。そこの店主・店員の思想が提供される食事に反映される。チェーン店で画一化された料理を出すってことは「物語」を根絶するとまでは言えないんだけど、確実にその要素をなくしていくよね。

 食事はただ栄養をとるものではなく、一緒の卓を囲む=その人の関係性を示唆するもの。社会性が反映される行為でもある。王様と同じテーブルにつけることが身分の上昇を意味したりね。ただ美味いもの&高いものを食べたい!というよりステータスを手に入れたい!という背景が昔は大きかったわけで。

 美味しんぼなんかが、何故流行ったかといえば、食通がそういうステータスになるから詳しくなりたい!って当時の需要があったからだろうしね。食事には階級や階層を表す要素があって、そこには「物語」が本来あるべき。階級とかステータスに対する希薄化がこの問題の根底にあるのかもね。

 そういう意味で、食通という文化的価値でハイステータスを手に入れた人がなんで高級料理店でそういうことに気づかなかったのか疑問なんですよね。まあ、口だけで大したことない人が殆どとか。流石にそんな細かいことは注意しないとわからないとかかな?なんか美味しんぼでも信頼している料理人、岡さんだっけ?が提供した料理が間違って出されたものだった、質の悪いものを後で自分たち用に使うはずのものを間違って客に出してしまったんだけど、山岡達がそれに気づかなかったとかあったしね。そういうことなんですかね?


※短いので二本まとめです。以下、食品偽装表示の原因は社会の変化についていけない法にあり―で書いたものです。

 虚偽表示、立件にハードル=行政処分も「切りない」-法改正求める声も という時事通の記事を読みましたが、やっぱり思ったとおりでしたね。本文には書かなかったんですけど、コメで「大工が手抜きをすることなんかありえなかった。だから作り手優位な法体系だったのが、そういう環境が変わって会社が手抜きして欠陥工事が頻発したみたいに、昔だと料理人がそういうことをすることが考えられなかったんでしょうね。だからチェックが疎かという流れかもしれません」

 ―という事を書いたんですが、やっぱり住宅建築で手抜きをするということが考えられない時代を前提にした法律(大工・職人時代前提の法律)というものが昔はあったわけですよね。変な話大工ってのは徒弟制度で成り立っているある種のギルドで、秘密結社みたいな性格がありました。だからまあ、○○組のようにほとんどヤクザみたいなこともあるわけです。無論、時代が経つに連れほとんどの大工は純粋な建築に携わるだけというふうになるんですけどね。そういう大工社会、職人社会というのは全員が全員繋がっているということはないにしても、ネットワークがあるんで、有名なトップの人に尋ねれば、どこどこの誰で腕がどうとか一発でわかるわけですよね。だから手抜き工事なんかしたらもう生きていけないわけです。だから昔は手抜き工事は考えられなかったわけです。

 しかし現代のサラリーマン的な時代になって住宅会社も別に職人が作るものじゃなくなった。常識が変わったが故にそういう法律に付け込んでバンバン不正・手抜きが一時期横行したわけですね。ちゃんとやらなくても、2000万かかるところを1000万で作っちゃってインチキして儲けても罪にならない、もしくは罪が軽いならそういうことをやる人間が参入するのはまあ当たり前なわけですね。

 で、今回の問題も、不正競争防止法JAS法、景品表示法のどれにもひっかからないわけですね。どの法律に触れるか?と言われると触れないわけです。まあ触れないわけではないですが、立件が難しい(※)。裁判所も判決を書くのにやりづらいことは確かですね。最高裁持って行って、不正競争防止法の解釈変えるという手もありますけど、こういう小さい刑事罰のためにわざわざ最高裁まで持っていくのか?という感じもしますしね。
 ※これまでの法律だと食品、材料についての偽装は法律対象内・裁くことができるんですけど、調理をした料理=レストランで提供するようなものは対象になってないから裁けないということみたいですね。

 国会でキッチリ法を作っておくべきでしょうね。そして抜き打ち調査と、罰金・罰則をキッチリやっておくべきでしょう。むしろ今までずーっと慣例としてあった気がしますねぇ。罰則ないんじゃやったほうが得しますからね。船場吉兆であったようなことも、結局ここに行き着くんでしょうね。あのとき、しっかり法規制しといたらこんな問題は起こらなかったんじゃないでしょうか?

 これもコメ返で書きましたが、消費者庁で万引きGメンみたいに食べて偽装を暴くGメンみたいのをやったり、疑われないようにレストランの方でも高級品と偽装品を出して味比べするようなメニューを出したら面白いと思いますね。よくテレビでどっちが本物!?みたいのやってますし、ニーズありそうですけどね。

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