てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

黒人「どうして日本のアニメや漫画に黒人でないの?」

※小ネタですが一応アニメ・マンガカテに転載。ブラックフェイスの話*1を書いたこともあって残しといたほうが良いかなと。文量があんまなかったのでせっかくなので加筆。元ネタはかなり短いコネタだったのに、色々思いついたことが出てきて倍・3倍くらいになりました。

 黒人「どうして日本のアニメや漫画に黒人でないの?」alfalfalfa.com/archives/68310 ―というものを見て呟いたことを少し。マンガだといちいちトーン貼るのがめんどくさいという要素があるでしょうね。超サイヤ人がベタ塗るの面倒臭いからああなったって鳥山先生言ってましたからね。規制云々という面倒くさい話があること。それに加えて、個人的にはアニメ・漫画が現実よりも抽象的な物語を描く傾向にあるからだと思います。

■黒人を描くとしたらまずは被差別キャラ
 そういうファンタジーな世界観を書く時、差別の問題に触れることはあっても、あんまり人種差別的なものを描いたりしないんですよね。黒人を描く・出すとしたら差別させる対象として、与えられる役割といえばまず被差別対象という役割。しかし、ファンタジーではそのために黒人を描く必要性が殆ど無い。
 今のアニメだとアウトブレイク・カンパニーですか?あれもエルフが差別対象として描かれていますからね。*2黒人を出す必要性がないんですよね。差別のテーマを描くとしても、現実の人種差別を描くよりも、異人種・亜人だったり、架空の民族を描く。獣人のようなものを描くことで十分話が作れる。むしろそういう架空のものを対象にするほうがより深く差別の話・本質を描ける。
 黒人が描かれるとしたら、まず差別される対象として描かれる。しかし日本のフィクションという領域において今や黒人が入り込む余地がそもそも無いんですよね。作者が描きたい差別の問題・苦しんだテーマ・社会に改善を訴えたいテーマというのはフィクションを通じて描かれるわけですが、ファンタジーにおいて黒人を使って描く必要性がない。故に黒人が登場する余地がない。病気だったり、障害者だったり、弱者だったりを描けばそれで十分テーマが描ける訳で、黒人が描かれることがまずないわけですね。作者が黒人クリエイターでもない限り、黒人をメインキャラクターの1人として描く人は出てこないのではないかとすら思います。

■黒人というキャラのバックグラウンド文化的背景がない
 他に黒人として役割・役どころがあるかと言えばない。あるとしたら歌手・ダンサー・アスリートですかね?そういう作品でない限り優れた技量を持つ黒人~~というキャラを出す必要性がまずないわけですね。魔女だったり、賢者だったりのキャラクター、そういった魔法使いや知恵モノというキャラクター・アイコンで、このキャラといえばまず黒人で表現したいというものがない。あのキャラと言えば黒人だよね!といった、そういう土壌が日本の文化にはそもそもないので、出てきようがないんですよね

■黒人と接する機会が普通の人にはない。故に日常モノに出てこない
 んで日常系アニメなんか見ると、日本の社会・世界観の自分周囲の半径ンメートルの世界が描かれることが多いんですね。作者が特に黒人やそういう社会と関係していない限り、そこに黒人を出そうということにならないのは当たり前ですね。そういうアニメじゃなくても最近のラノベやアニメの舞台は、主な読み手・読者層である学生や青年を主人公に設定しているために扱われるテーマがファンタジー異世界モノ以外は、そういった平凡なものになりやすい。
 自分周囲の社会、もしくはその延長で描かれるし。問題としていじめとかひきこもりとか対人恐怖症とか、コミュ症だとか、そういう問題が悩みとして選ばれる傾向にあるんですよね。
 人種差別が喫緊の課題とか、日常生活でよく目にするとかなら、それも数多く描かれるのでしょうけどね。そういうことを経験して、これをテーマに作品描きたいという作家がそもそもいないということだと思います。
 ブラックラグーンという海外が舞台、それも主に裏社会やダークな世界をテーマにしたようなものでもないと白人や黒人がホイホイ描かれないのが当然ではないかと思いますね。

■世界・海外をテーマにしたものでないと外国人が出てこない
 そもそも外人自体そんなに日本のフィクション・作品に描かれてこなかったという気がしますね。日本人が日本社会をテーマにする以上、外国人犯罪を取り扱う警察モノくらいしか出てこないイメージがありますね。前述通り世界を舞台にした作品でないと中々出てこないのではないかと思います。そういった作品ってなんでしょうね?あんまり思いつかないですよね。外国人がガンガン出てくる作品といえばブラックラグーン以外に何かあるかパッと思いつかない。他にはルパン三世とかですかね?*3

■スポーツモノにおいては今後登場してくる可能性が高い
 最近はハーフだったり、移民(?)だったりでたまに日本人じゃない子・人を見かけたりするんですけどね。プロ野球でもヤマヤスとか、オコエとかちらほら目につくようになってきましたし、相撲でも高安とかいますからね。ダイヤのエースでカルロスという選手がいたかと思いますが、そういう傾向が強まるに連れ、徐々に作品に外国人が増えてくる。従来の作品が日本人ばかりというのと際立って変わってくることになるかと思いますね。
 きんいろモザイクだったかな?あれもそんなに英人娘ってキャラやイメージを前面に押し出してるって感じがしないですけどね。一応、英人・白人が出てきますね。

■漫画・アニメのキャラは白人ではない
 よく白人崇拝的な批判があるんですけど、ファンタジーで描かれる人間って、どう見ても白人とは関係ないんですけどね。スタイルがいいから白人だみたいなことを言う人がいますが、あれは、ファンタジー人種・民族で作者の理想や美しい・カッコいいを投影したもので、白人をモデル・意識したものではない。特に白人だ黒人だを日本人はあまり考えないということが世界的には理解されないということだと思います。
 コスプレの写真なんかで「こういうコスプレはやっぱ白人だよな~」みたいなコメントをたまに見るんですけど、スタイルはともかく、顔は作品で描かれているオリジナルのキャラと全然似ても似つかないんですよね。白人の顔には物凄い堀の深いという特徴があってゴツゴツするものですが、そういう特徴が二次元キャラには明らかにありませんからね(明らかに白人を意識して堀を深く描いたキャラは当然別ですが)。少なくとも一般的に日本人はその白人の特徴を美しいとあまり感じないので。逆にそれをかっこいいとか、美しいと感じる人は白人が美的であるというスタンスになるんでしょうけど。
 大抵の人は、自分の人種・民族の特徴からかけ離れた構造を美しいとあまり感じない。それは生まれて同族に囲まれて人間の認識パターンが刷り込まれていくから。幼少時代に美的感覚が形成されて、その基準ができるのでそこから離れる異民族・異人種を美しいとは感じないようになるから。エキゾチックと言って異国情緒に憧れる・思い入れを抱くというのも、自分の価値観・美的感覚の裏返しでもありますし。

■二次元キャラは漫画・アニメ人であり、白人でも東洋人でもない
 まあ、そんな美的センスや価値基準の話は置いといて、マンガやアニメのキャラというのはデフォルメをして描かれているので、特定の人種や民族からはかけ離れたものになる。要素要素で、このデフォルメは白人や黄色人種のいい所・特長だというのがあっても、いくつかを抜き出して、「だからこのキャラは白人だ」なんて安易な決めつけはそう簡単には出来ないはず。少なくとも日本の価値観、アニメ・マンガ文化を理解していればそんなことは決して言えないはず。
 そもそも実際の人間としては不自然極まりない顔や体型であって、アニメ・漫画のキャラはアニメ人・漫画人と言っていいくらい、特定の人種からかけ離れている。そこがわからないと「どうして日本の漫画・アニメに黒人が出てこないのか」という話は理解できないと思いますね。

■日本人・日本の社会は人種意識が希薄
 つまり、もともと日本の漫画・アニメ文化というものには人種概念がないということなんですよね。そもそも日本人は黄色人種だ、白人だ黒人だという人種の違い、人種意識に乏しい民族なので。
 他所の国や民族からは理解しがたいことなのでしょうけど、日本人は~~民族や~~人種という対立・軋轢を殆ど経験していない。無論あることはあったのですが、そういうことを意識しないで済むほどに「単一民族」という神話に慣れきっている特殊な歴史があります。なので世界的スタンダードである、黒人・白人対立とか人種的対立や民族対立だったり、宗教対立という要因の話、政治や歴史の基本的要素となっているそういう対立構造に致命的に疎いんですよね。
 世界のニュースを見ていて、国家内でその図式がある国での選挙で今回は「白人政権」を「黒人」がひっくり返したとか、そういう話がわからないんですよね。世界の価値観・常識が日本人にはピンとこないことになるわけですね。

■世界の常識は人種・人種対立ありき
 世界ではそれが常識なので、どうしてもフィクションを見る・読む時ですら、まずその視点・枠組みでどうしても見てしまう、「このキャラは白人なのか?それとも黒人なのか?」とね。世界の人間の殆どは作品に人種や人種対立を自然と投影してしまうということなんでしょうね。
 進撃の巨人なんか見てもわかるように、マンガ・アニメだと白人や黄色人種の違いがあまりわからない。一目瞭然でこれは白人、これは東洋人みたいな区別はつかない。これは決して作者の画の技量の問題ではないんですよね。誰に描かせても白人と東洋人はさほど違いは出ない。せいぜい目と髪の色が違うくらいで描かれる。日本人クリエイターにとって白人や東洋人を意識して描き分ける必要性がない。日本人は人種を描き分けるという意識にそもそも乏しいということなんですよね。いちいちキャラクターを別物・別人種だと強調して表現する意識が日本文化・日本人作家にはないということは面白いポイントなので頭の片隅に入れて置かれるかと言いと思います。

■「黒人」が出てくると人種の説明をしなくてはいけなくなる故に明確な「黒人」は出しづらい
 そういうことを考えると黒人が出てこないというのは、黒人が出てくると明確にわかってしまうからでしょうね。黒人やアラブ系だったり、褐色の人間を出すと一目瞭然で違うそれだとわかってしまう。キャラが際立って目立ってしまう。となると、単なる地黒の日本人ならともかく、どういうキャラなのか説明が必要になってくる。作品中で「異人種」がいるということを描くものでない限り、黒人を出す意味がない。その構造・図式を説明する必要が出てきてしまうので邪魔になる。描きづらいということなのでしょう。
 まあ褐色くらいなら別なのでしょうが。明らかにこのキャラは黒人だなというキャラは中々出しづらい。作者が映画などでエディ・マーフィーのファンだから、それににたキャラを出したいとか明確なこだわりがないと中々意図して描くことはないかと思われます。実際ググったらなんで進撃の巨人には黒人が出てこないの?というものがありましたからね。あの世界観だと黒人がいても全然おかしくないはずなのに、出てきませんからね。

■世界的なヒットを狙う日本人が出てこない限り黒人キャラは出てこない?
 日本の市場をメインではなく、世界の市場をメインとして、世界的に大ヒットさせるという目的で作品を作るのならばそういう要素を取り入れた作品を作るクリエイターが今後出てくるのでしょうが、殆どの日本人作家は日本人市場をメインに作品を作るので今後もそういう作品が出てくることは考えにくいのではないかなと思います。
 あと黒人とか、アラビア系とか何系でもいいんですけど、そういった文化圏と日本社会・文化は馴染みが薄い。そういう世界・話がわからない・知らないから描かれにくいということだけじゃなくて、下手なこと書いてトラブルになるのが怖いってことでしょう。そこら辺に精通していて、なおかつ面白いものを描けるって人が日本のクリエイターにはまずいないと思いますからね。今後出てくるかと言われると…う~んとなる話ですからね。今後そういうテーマを扱える天才が出てくれば面白いんですけどね。

アイキャッチ用画像

The Black Lagoon

*1:ブラックフェイスの話 米英ではタブーでも日本では差別表現に値しない

*2:今見たら、なんだっけ?このアニメと思ってググってから気づきました。ああ、こんなアニメあったなと。最近のラノベのタイトルが~~な件とか、~~なわけがないとか独特なタイトルが多いですが、一発でどんな作品かタイトル聞いただけでわかるような仕組みになっているんですね。この最近の傾向・流行りは、正解・大正解でしょうね。タイトルが奇抜すぎて聞いた瞬間はキワモノ感あって引くんですが、ラノベだ小説だアニメだゲームだ漫画だ動画だ映画だ、コンテンツがくさるほど溢れている現代では、聞いて一発で「ああ、あの作品ね」とわかるようなものじゃないといけないですからね。3年・5年経ってタイトル聞いて思い出せないとやっぱりコンテンツとしてはマズいですよね。社会現象起こすくらい大ヒットした作品、またはヒットメーカー・売れっ子の作品なら話は別なんでしょうけど

*3:ああ、ど忘れしていましたが、からくりサーカスがありましたね。中国人に仏人がメインキャラとして出てきますね。ティンババティもいましたね。ファティマはエジプト人なので黒人ではないのかな?どう分類されるかよくわかんないや。かくも日本人は人種意識に疎いということですね