てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

靖国批判に見るオバマ外交の稚拙さ

 靖国系のつぶやきがたまっているのでその消化がしばらく続きます。かなり時間経ってしまいましたがご容赦を。今回はオバマ政権の対応の稚拙さについてです。

 ダボス会議で安倍首相が今の日中関係は英独関係のような―発言で欧諸国から注目されたように、中日間の対立が戦争になるのか!?というような関心が今高まっています。個人的にどちらも想定外の衝突というのはあっても、それを機に戦争にしてしまえい!みたいなことは考えにくいと思います。現状維持の力学が働いて引くに引けない事態にまで行くとは思えないのですけどね。中国がもっと軍拡してパワーバランスを決定的に変化させるまでは。

 中国の金融危機が!?なんてのをチラッと見ましたし、もしそれ関係で中国不安定化→軍事手段で国内の不満をそらすなんていうリスクがあればまた話は違ってくるのですけどね。日中衝突の危険性が高い故にオバマが日本に警告を発したというのであれば、以下の分析は無用になりますが、まあ多分ないと思うのでまとめて残しておきます。

 安倍首相の靖国参拝、米国は「心から失望」 分析(AFP=時事)headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131227- マイケル・グリーンにはオバマの外交姿勢への疑問がない。日本という重要なパートナーに対して軽率に「失望」という表現を使用したことに対する謝罪や、軽率だという指摘はないと…。舐められてますね。

 外交用語で非難を表明する順は、憂慮concern(gravely concernedもありかも)、遺憾regret、失望dissapoint、そして敵対国に使われる非難condemnという順になるようですね。(※参照―①米国の “Disappointed” はどれくらいの事態か | The Long Wait knagayama.net/blog/2013/12/2 ②語義と相場観 - BLOGOS)

 米が望んだ行動を相手が取らなかった時に使う用語のようですね、dissapointは。同盟国にはまず使われない表現のようです。イラク戦争に反対するドイツには使われなかった。英加にはクリティカルなイシューだったため使われた。またイスラエルにはdeeply dissapointとして使われました。東エルサレムの入植支援が地域の安定を壊しかねないためですね。要するに周辺地域との関係を悪化させかねないことに対しては同盟国にも使われるということでしょう。

 ①米の国益に関する重要な問題、②地域の不安定化に繋がる。既存の外交路線・ロジックへの反逆行為―この二つに関するものであるならば、同盟国にも使われるということのようですね。今回はもちろん後者ということですね。

 関係諸国との緊張を招くから失望を表現したと言うのは分かりますが、dissapointedの上にdeeply dissapointedという上の表現があるとはいえ(ロシアのスノーデン庇護にはextremely dissapointedが使われていますが)、この件について東アでの最大の同盟国である日本に使う言葉ではないと当初思いました。靖国参拝がどうとかいう以前に、オバマ外交スタッフのセンスの無さに驚き呆れました。

 無論参拝というカードを戦略性もなく切った安倍外交の失点・ミスは言うまでもありません。ですが、日本だけではなく米国も外交的失点をしたと個人的には思います。この地域での緊張が起こる愚行としても、事の収め方として公式声明以外のやり方があったでしょうからね。

 外交力学を考えると、靖国参拝を否定するのは本来難しいはずです。TPP・基地問題・集団自衛権と米に協調を進める政権にマイナスシグナルを公式に送るのは本来ありえない行為です。外交は贈答関係みたいなもので贈り物に対しては謝礼を返さなくてはならないですからね。

 ブッシュだって小泉に参拝止めてということは水面下で言ってましたが、同盟国であるが故に許容せざるを得ませんでした。米に好ましい、対中東戦争で全面的に支援をしてくれる政権でしたからね。靖国が好ましくなければ日中に要人派遣で会談してその席で否定的メッセージを伝えるなど、公式声明でなく直接的な意図を伝えることで一段表現を落として配慮すべきなんですよね。

 外交力学を見れば親米的な政権に対して非礼で応えた。友人を敵のように扱ったようなものですから、愚行以外の何物でもないと思います。もし米が失望と言わなければ日本国内の参拝懸念の声はもっと低かったでしょう。米同盟圏の友好政権の足を引っ張るような行為をすれば、日本国内の反米派・対米協力消極派に勢いを与えますからね…。何やってるんでしょうかね。

 誤解する人がいるので書いておきますが、靖国参拝が正しい・正しくないという価値判断は別です。事実と当為を分けて、事実から導かれる結果を考えると、どうなるかという話です。んで、そこから外交力学を加えて考えると、オバマ政権の対日批判はありえない外交的ミス。自分から日本国内の反米政権の支持をしているようなものですから。敵に塩を送る愚行ですからね。

 では、どうしてこのような愚行・愚かな判断をするのか?ということを考えると、アメリカの見方・価値観からするとむしろ当然のことで、むしろこれこそ普通の判断のように見えてきました。それについてはまた次回。

 しかし、東アジアの国々は、なんというかもう外交的失敗の競争みたいな様相を呈していますからもう何とも言えませんね。対ロシアで中日米三国が友好であった時代に、こんな外交情勢になるよと教えたら当時の専門家はびっくりするんじゃないでしょうか?

 よく考えたら(考えなくても)、東ア諸国って政権不安定なのばっかですね。ロシア以外(まあ露はユーラシアですけど関係国として一応)。米は支持率落下の一途、韓はあれだし、北は新指導者の若造の権威固めの時期だし、中も新指導体制でしかも反乱や失脚という大事件があったばかり。日の安倍政権は対抗勢力がないとはいえ一年後は?って感じですしね…。

 こんな不安定な国内政治情勢を抱える、足元の基盤が疎かな政権だらけで、何か不測の事態があったらと考えると怖くて仕方がないですね…。

靖国関係の記事一覧

日本の声を聞かない米は反米派を育成している 

The economistから安倍外交の失策について 

靖国参拝について日本国際問題研究所の小谷哲男さんの分析 

オバマの参拝批判に見る米の対日観  

この記事は時系列的にココです。

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