てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

浅羽祐樹著 したたかな韓国

したたかな韓国―朴槿恵(パク・クネ)時代の戦略を探る (NHK出版新書 402)/NHK出版

¥777 Amazon.co.jp
Kindle版
 ツイッターで拝見していて面白いなぁと思っていた浅羽祐樹さんの『したたかな韓国』を読みました。そのちょっとしたメモ程度の感想を。

 まず、朴槿恵が大統領に至る戦略的行動の話。与党内野党として拒否権を行使し、李明博政権と自らを差別化し、次期大統領のための布石を打っていたという説明。しかしそうすると、自分も同じように与党内野党に苦しめられそうな気がするのだが、それはどうなのだろうか?レームダック化しなければ乗りきれるのかもしれないが、今まで政権末期にならなかった例ってないですしね。

 大統領選挙において、投票率が7割を越せば野党候補が有利のはずだったが、実際は朴槿恵が勝った。実際は高齢者層の相対的重要性が増しており、そこを抑えた彼女の戦略勝ち。後述するが、そうすると朴槿恵には意外と戦略性というものが豊かな策士なのだろうか?国内の政治力学を熟知するという能力があっても、国外・国際的な政治力学を抑えているというのはまた異なるのでそれ次第で彼女の外交の評価は変わってきますから、そこは気になるところですよね。

 竹島問題において悪魔の代弁人を立てよという提言をする。カトリック教会で聖人認定の際に、あえて疑問や反論、批判だけを提示する役回りのことを言う。そうすることで、批判されるポイントを理解する。それを克服しさえすれば、こちら側のロジックに問題がなくなるから論戦で有利に立てる。外交交渉の際に、相手の主張を正確に把握せねば、論点を抑えなければ、勝ちはない。

 韓国には憲法より上位の法として国民情緒法が存在するという。個人的にこれは法よりも空気が優先してしまうという山本七平氏の言葉を連想するし、韓国の事後法も辞さずと言った態度は、法治国家として大丈夫なのか?と思わずにはいられないのだが…。ここのところの解説が個人的にもっと欲しかったところでした。

 氏は、朴槿恵が法の支配を強調しており、その国民情緒法に否定的であるという。ということは、彼女の「反日」戦略というのは、国民情緒法=韓国版「空気の支配」が暴走しないため―という計算の上で「歴史認識」を持ちだしているという要素があるのかもしれないと思った。そうであるならば彼女の策士の性質はそういう方向に使われていると見ることも出来る。国内の政治、国外の外交について、彼女の戦略・策がどのように使われるのかというのは朴槿恵政権を見る上で重要なポイントと思われる。既存の「反日」という流れ以上に、そこに独自の戦略があるなら尚更日本としてはそれを抑えておかなくてはならないだろうから。

 日韓外交ゲームの勝敗の裁定は第三国にある。その論点は最早、強制連行の有無ではなく、戦時下の女性の人権侵害と言う韓国に有利な論点に移行している。これを理解しないと慰安婦問題で、韓国に負けるでしょうね。 個人的にはもっと違う所に興味があったので違うまとめ方にして欲しかったですね。

 この本だと、韓国政治に興味がある人はいいんでしょうけど、最近の韓国の「反日」だったり、トピックに興味がある人はそこまで食い付かないんじゃないかな?とか思いました。まあツイッター見てても有意義な事を言う人なんで、次の本を読まなきゃって感じですかね。

 ―とまあ、ツイッターでそんなことをつぶやいたらリプを頂きました。氏の次回作に期待大ですね。しかし返信あると思っていなかったから、テキトーに書いてましたけど、今見ると最後の一文とか、なんかウエメセっぽくてアカンですな。こういうのも本人がご覧になる可能性があると考えてつぶやかないといけませんね。猛省。

 ※追記、共同韓国版で日本統治時代の徴用の「損害賠償」に、韓国政府と国会が支援財団設立の予算を通したというツイートを見ました。ちょっと他の新聞では確認できなかったんで、本当かどうかはっきりしなかったんですけど、韓国国内の反発を恐れたがゆえに取扱が小さかったというのは本当なのでしょうか?

 今ググったら47Newsでこんなのがありました→【韓国徴用訴訟】 近づく敗訴、浮かばぬ妙案  対日賠償の蒸し返し警戒とするとやっぱり本当だったんですね。今まで言われてきたように、司法が国家間で結ばれた条約(請求権協定)、これを無視しろと政府に外交圧力を掛け、政府サイドがそれを必死になって止めようとするという図式になっています。

 韓国の最高裁が訴訟で日本企業敗訴の判決を出してしまうと、彼らの韓国国内の財産が差し押さえられてしまう。もしそんなことになれば、韓国の国際社会での信用がガタ落ちになるため、どうにかしてその「司法の暴走」を朴槿恵政権は止めたい。国内で支払いをする財団を作れば、元徴用工の補償がされるので差し押さえは防ぐことが出来ます。そうすると当然、財団の設立が日本への譲歩・対日弱腰外交だという避難を浴びかねない。そのために慰安婦問題にのみ絞って日本を叩いているのかもしれないですね。

 そんなところにも朴槿恵の戦略を見いだせるのではないでしょうか?

 しかし、このような賠償制度がようやく整備され、行われていくというのなら、それは必然的に朝鮮戦争のそれにも繋がるだろう。日本時代の賠償は行われたのに、対北・中・米における民間被害を賠償してくれ!―という民間の声が高まるような気がするが…。どうなんだろ?