てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

2014都知事選挙 後編 細川元首相はなぜ敗れたか


 都知事選の続きです。何故細川さんは敗れたかの解説。

 その前に、舛添さんが勝利して安倍政権が安泰になった、名護市長選挙に続いての敗北で憲法解釈の変更などを巡って与党内に亀裂が走り~という図式もなくなりましたしね。立命大の人のダイヤモンドだったかな?分析でこのまま財務省・外務省の既定路線で言いなりになるから東京五輪地方分権と逆行した中央集権の強化に行くだろうと論じてましたけど、まあそのとおりですよね。東京五輪というのは迷惑な存在でしかないですね。このまま行くならば。

 脱原発地方分権、国政にとって重要なテーマがまず進まないと決まった今回の都知事選の影響は大きいと言わざるをえないでしょう。名護市長選挙で安倍政権が敗北、そして都知事選でまた敗北となれば、国政でも与党内でもその影響は軽視できなくなるという流れになると期待していましたがダメでした。細川さんが勝つと思ったんですけどね。舛添さんが勝ちました。

 まず宇都宮氏が降りて、脱原発派、反自民&舛添としての対象が細川氏で一本化されなかったこと。公明票が安倍政権との距離もあって今回必ずしも舛添支持とは限らなかった。そこに目をつけて公明票を引き込めば充分勝ち目はありました。また都内の自民党員の協力も名簿提出などでちょっともめていたところもあったようですし、小泉Jrが言っていたように舛添支持の大義が必ずしもないですからね。

 公明党が自分達の存在意義を示すために自民に逆らって細川支援をする可能性は大きそうと見ていました。こんなの(※NEWSポストwww.news-postseven.com/archives/20140 公表は控えているが、学会の首脳部が首相経験者を通して、内々に細川支持を打診。学会はもともと脱原発。加えて、婦人部が女性遍歴の激しい舛添氏に強い反感を抱いている。それに安倍自民党の右傾化へのアレルギーもある。)もありましたし。公明票が選挙を左右するかもしれないと思ってもいたんですが、結局事前に細川・舛添五分五分、細川優勢という形にもっていけなかったことが致命的でしたね。

 なぜ細川支持が伸びなかったのか?やっぱりブランクが開きすぎたことでしょうね。同じく舛添さんとケツ割った同士でイメージが良くないにしても、舛添さんは東京都知事立候補経歴があり、比較的政策対応も容易かったでしょうし。何よりずーっと選挙運動をやっているわけですから、組織基盤も充分。短いスケジュールでもさほど混乱はしなかったでしょう。

 もし、原発事故直後から脱原発運動やら評論活動、政治活動を熱心に行って、猪瀬の任期全う後を見据えて東京都知事選をやっていたという状況だったとしたら、また多少は違ったんでしょうけどね。やはり突発的なイメージが拭えない。悪い言い方をすると、言われた通り殿ご乱心。どんな知名度があっても、これからのニューリーダーならともかく、古い人ですからね。政策を浸透させるための時間・下地が足りなかったことと合わせて、さほどこの人が将来政界にどういうインパクトを与えてくれるのか!?といった橋下さんのような期待にならなかった。宇都宮さんとそんな差がついてない、というか低投票率もあって競り負けて3位に甘んじたこともそれを象徴しているでしょう。

 日本新党時代のブレーンと木内さんら、古いブレーンと新しいブレーンがぶつかったなんていう報道もありました。上杉さん広報として参加していたんですね。上杉さんが内情を暴露とかありましたが、どんないざこざがあったにせよ、選挙に関わった以上勝たせなきゃいけない。まだ今後があるのにそんなことやってたら上杉さんと仕事を一緒にしたいという人はいなくなるでしょうね。去り際はキレイにが出来ない人はダメですね。

 結局準備不足の一言に尽きるのでしょうか?投票データ色んな数字がありましたが、細川さんの支持はかなりおぼつかないものだったという感じがしました。投票率50%台なら舛添、70%台なら細川当選というのもありましたが、仮に70%でもどうだったでしょうか?仮に雪が降らなかったことを最大限評価して+10%見込めたとしても、56%ですから、雪がなくても負けていたでしょう。そもそも天候くらいで支持率が多少落ちて負けるということは、その程度の実力ということですからね。どうしても入れたい、まあ入れたい、入れてもいいよ―という層を開拓できなかったということです。

 準備不足以外に選挙スタッフの稚拙さを上げる声があります。これもそうなんでしょうが、結局、低投票率・自由選挙が保証されていない日本の選挙において無党派頼りは厳しいということですね。それぞれ首相を務めながら選挙自由化に手を付けてこなかった。金がなくても勝てる、自由な選挙活動が認められ、70%台が当たり前という選挙制度・選挙の土壌を築いてこなかった。それに尽きるでしょうね。70%なら細川?じゃなくて、70%にどうしても到達しない日本の選挙事情を放置してきたこと、そして今回の選挙でどうしても!選挙に!行かなきゃ!と興味・関心を小泉総裁選挙・小泉フィーバーのように起こせなかったこと。世論を喚起できなかったことでしょうね。

 今回の選挙結果で、小泉(劇場)は死んだ!なんて声もありましたが、それは違うと思います。そもそも小泉フィーバーは既存組織、自民党という基盤あって、更にそこに無党派の支持を得たからこそのもの。今回無党派層だけから支持をえていたとしても、しっかりとした基盤がない。要するに小泉さんもまた準備不足だったわけです。脱原発が出来る!なんて言っときながら、その後新党なり新組織づくりなりを怠っていただけですね。

 そもそも、今回はその無党派層が以前の小泉フィーバー程支持しなかったでしょう。それは脱原発に郵政の時の自民党をぶっ壊すという色が消えたから。安部総理が決断すれば出来るといったように、また会談をしていたように、対決姿勢が鮮明ではなかった。また以前の小泉政権時代に、彼によって恩恵を受けた国民が大勢いて、小泉カムバック!という根強い支持があるわけでもない事が大きかったでしょう。ですから半死ですね。そのポイントを踏まえて行動すれば小泉劇場復活は十分ありえます。

 投票率は46%、まあこの数字で田母神さんが組織票無しで50万取れるのなら、次は自公推薦あれば参院選間違いなく通るでしょうね。プレ選挙戦ということではタモちゃん大勝利ですね。宇都宮さんも選挙区次第では通るのではないでしょうか?

 細川さんはこれをプレ選挙戦として次の一手をどうするかが鍵になるでしょう。脱原発の戦いというのは仮に都知事選で勝っていたとしてもずーっと長く続くもの。そして都知事のイスが必要不可欠というわけでもない。今回の失敗を活かして次どうするかが鍵。もしこれで細川さんがまた「やーめた」となったとするなら政治・選挙をなめているとしか言いようが無いでしょうね。無論、世の中を変えよう!と意気込んで立ち上がったその姿勢には拍手したいですが。

 彼の政見放送見てダメだと思ったのは、脱原発の話ばっかりだったんですよね。実際は彼の公約には色んな要素もきちんと詰めてあったらしいのですが、やっぱり脱原発だけの人だと思われてしまう。脱原発は小泉さんに任せて、それもやるけど、自分は都政の重要なものをきちんと抑えているよ!脱原発オンリーじゃないよ!と訴えないといけなかった。そこがわかっていなかった時点で、ああこりゃダメだなと思いました。

 小泉が脱原発を訴え、続く細川の演説でまた脱原発。ものすごくバランスが悪い。エースと4番ではなく大型投手(もしくは野手)だけコンビ―とでもいったような歪な構成でしたね。相互補完構造になっていなかった。細川さんが脱原発の扇動を小泉さんに任せて、そのサポート後押しを自分はする。そのためにも都政の重要課題のあれとこれをやりたいということを訴えていたら、きっともっと票は伸びたと思います。都民にとっては脱原発よりも、肝心要の都政をどうするかということのほうが関心が高かったでしょうからね。これからの東京都をどうしていくかという当たり前の視点が欠落していたように思える戦い方でしたね。

 高橋洋一自民党ウォッチ 都知事選で「都が原発買い取り」議論せよ 「脱原発」への現実的な道筋が見えてくる (1/2) : J-CASTニュース www.j-cast.com/2014/01/231948  なるほど確かに都が買い取ったら面白いね。領土問題の次はエネルギー問題で都が国政を上回るのか。まあ是非はともかくこのようなインパクトある話題・政策を提供しないとダメだったでしょうね。注目・関心を集めて話題を独占、お茶の間を引っ掻き回してこその劇場ですからね。

 Reading:去年の貿易収支 過去最大の赤字に NHKニュース nhk.jp/N4Bd6Cgc こんな数字があったように、貿易収支の黒字・赤字、また経常収支の黒字・赤字が実際の経済成長に意味ある指標とはいえないにしても、膨大な国債を発行している日本に危機が!と言えば脱原発路線だと日本は危ないかも?と思う人が増えて、脱原発路線は難しくなる気がしてましたしね。経済成長や都民の福祉、介護や子育てについてのPRをしなくてはいけませんでしたね。舛添さんがその道の通だというのが勝利に大きく貢献したのは間違いないですし。

 まあ、そんな所に尽きるのではないでしょうか?都知事選は。

 ※そういえばIT関係の家入さんが立候補していましたね。ホリエモンも支持していたみたいですが。政策として煮詰まっていない感じがするので今の所はどうとも言えません。ネットで意見聞いてそれをやるとかちょっと?ですが。ちゃんと政治や戦略のブレーンとかいるんですかね?まあ立候補者で唯一若い人で83000票ですか。泡沫候補としては大健闘ですよね。欲を言えば10万取りたかったところですがね。いずれにせよ、勝った負けた以外にもそこそこ票を集めた候補者は次どうするかということが問われる、ポイントになるので次回の選挙や政治活動次第というところでしょうね、彼にかぎらず。