てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

フォーリン・アフェアーズ・リポート 2012/8

フォーリン・アフェアーズ・リポート2012年8月10日発売号/フォーリン・アフェアーズ・ジャパン

¥2,200 Amazon.co.jp

資源と環境は本当に脅かされているのか― 環境・資源保護か、経済成長か

/ビョルン・ロンボルグ

 『成長の限界』で数十年後、資源が枯渇すると言われた。汚染・人口が増大し、資源・農業産品・工業産品が減少し経済成長が限界に達する。つまり既存経済モデルが破綻する。多くの資源が枯渇すると言われていたが、実際は技術革新で使う資源の量が減り、取れる資源の量も増えた。技術革新のスピードを計算に入れていなかった故の誤った試算になった。丁度かつてはアルミニウムが金・プラチナよりも採取が難しく高価だったようなもの(ナポレオン三世は仏王冠にアルミを使うことを禁止し、大切な客にアルミ製のフォーク・ナイフを使い、普通の客には金のそれを使っていた)。当然今ではアルミは大量に出回っている。

 紙のリサイクルはコストの無駄。その分教育やインフラに向けたほうが有意義。森林資源の価値を下げてしまいかえって農地や都市開発に転嫁されてしまう。森を守りたかったら紙を大事にしたら逆効果なんですね、紙が安くなる=森林の経済価値が下がっちゃうから。オーガニックな農業はコストを上げる。途上国では農薬禁止で数百万の人間が命を落とした。先進国でも農産物の値段を上げ、消費を低下させ、ガンの犠牲者が数万人で増える(これについてはケースバイケース、アメリカのようなと先進国でも貧しい人間が多いならそれは深刻な問題になるだろうが、完全にオーガニックオンリーな農産物になるわけがないだろうし、オーガニックが高騰するだけで安いものは依然安いもので流通するだろうから、先進国の例えはちょっと疑問)。

 『成長の限界』や沈黙の春』が農薬に集中してしまったためにもっと危険性があった大気汚染の問題がスルーされてしまった。途上国は屋内の空気汚染で毎年200万人が命を落としていた。途上国はまず食料がなく命を落とすことがほとんど、すなわち最良の処方箋は経済成長だった。多くの問題を解決するのは環境ではなく、経済成長。京都議定書よりもドーハ・ラウンドこそ途上国の命を救うと。

北米エネルギー安全保障の衝撃

― 中東石油への依存度が半減すれば /レックス・W・ティラーソン

 エネルギー安全保障とは安定供給のことで、自給とは意味が違う(特にアメリカの場合は自国のみだけではなく世界中への安定供給という視点がありますからね)。石油はサウジ・ロシアに次ぐ第三位で、天然ガスはロシアと第一位を争っている、アメリカは資源大国。今後天然ガスが主流となる。新しい採掘技術にはリスクもあるが、それへの対策も進んでおり目処が立っている。

 米がエネルギーを北米で自給できるようになると、中東から関与しなくなるみたいな話をたまに目にしますけど、ここに書いてもあるように、そんなことありえませんね。地域への優先順位が変わる可能性はありますけどね。大体そんなことしたら世界へのエネルギーを提供して安定をもたらすという米の覇権の放棄と一緒ですからね。そんなコトするはずないでしょう、覇権の主催者として多大な利益を享受している米が。なんでそんな発想になるんでしょうかね…?

<特集 北朝鮮、中国、イランへの強硬策を>

北朝鮮、中国、イランに対する毅然たる対応を

キューバミサイル危機の教訓 /グレアム・アリソン

 有名な『決定の本質』を書いた人ですね。キューバ危機で核戦争の現実化はありえた。いかにそれは回避されたか?それはイランにおける核武装を認めるか軍事攻撃をするかという今の選択に似ている。しかし実際には攻撃かキューバの配備を認めるかだけではなく、第三の選択をした。ソがミサイル撤去をすればキューバに侵攻しないこと。受け入れなければ24時間以内にキューバを攻撃する。そして危機が解決すれば六ヶ月以内にトルコに配備されているミサイルを撤去することを約束した。

 イランの核武装空爆も魅力的な選択肢ではない(ウォルトと違って核拡散・破滅的な戦争が起こると見ていますね。己もそうなる可能性はあまりないにしてもイラン核武装による核拡散と核戦争のリスクを容認するのは非常に怖いし、困難だと思いますね。)。よって核武装の放棄と合意逸脱の発見が容易な透明性の確保。そして逸脱の場合には体制転覆を目的とした空爆をすること、守る場合には体制の維持を約束することであろうと(トルコからのミサイル撤去を約束したようにイスラエルからの核撤去とかを組み合わせないとキューバ危機のプロセスにならないと思うのだが…。イスラエルの一方的なイラン空爆に反発する一方、イスラエルが穏健派になってイラン攻撃をしない可能性が高まることも良くないとしている。ここがちょっと理解できないですね…。国際的な条約、何らかの体制を作って核放棄&非戦を双方に飲ませる。違反したら叩くという制度が一番公平であると思いますが…)。

 プレーヤーがフルシチョフケネディということが大きく作用した。ここにカストロが入っていたら危機はより一層深刻になっただろう(カストロはフルシチョフが撤去を決めた時に、ミサイル発射を要求した)。ケネディキューバワイルドカードになる可能性を熟知していたため、いかなる攻撃もクレムリンに責任を取らせると明言していた。キューバからミサイルが発射された場合、いかなる理由でもソ連に報復すると。

 長期的な戦争のリスクを下げるためにはデフコンのレベルを上げ短期的な戦争のリスクを上げる必要があった(デフコン2になってトルコ人パイロットが操縦するNATO爆撃機が個人で判断してモスクワへ向かい核を投下する可能性があった)。もしこの要求を飲んでしまえば、米ソ対立でフルシチョフはより大胆になり、ベルリン問題でより強行に出るリスクが増え、西ベルリンを守れなくなる。または守るために核を使用しなければならなくなるリスクが高まる。そのためにもケネディはここで引かなかった。

 キューバ危機では「レッドライン」を明確に設定した。北はそうではないから、相手が警告を平気で無視するようになってしまっている。

 中国でも似たようなことが起こっている。大統領候補ロムニーが就任一日目で真っ先にやるべきことは中国を為替操作国として制裁をすることだと述べた。殆どの人はこれを壊滅的な貿易戦争を起こしかねないものと批判したが、このような措置をしない限り中国は貿易戦争のリスクがない限り、公然と今までどおりのやり方で行動を改めないかもしれない。

 ケネディは「現状維持のために必要である慎重な行動ルール」をソ連は踏み外していると批判したが、この危機で「現状維持のために必要である慎重な行動ルール」が米ソで共有されたために、ツキジデスの罠から逃れられた。だからこそ冷戦もソの崩壊という選択ができた(米がソ連崩壊に際しても、それに乗じて止めを刺さない、息の根を止めないというソ連側の確信のことですね)。米中もこの「現状維持のために必要である慎重な行動ルール」を作らなければならない(そしてそれは冷戦時とは違って、前述通り経済上の領域も含まれることになるだろう)。台湾海峡危機での学習以降、双方の「レッドライン」の認識は進んでいる。

 キューバ危機の最後の教訓は情報管理の重要性について。核がキューバに入ったと知ったケネディは情報がリークされるまで猶予はどれくらいかと真っ先に尋ねた。それが長くて一週間と聞き、側近と対応決定する期間を6日とした。その間に数回考えが変わっている。ケネディは「もし最初の48時間で決定を下さなければならなかったら、海上封鎖よりも空爆を選んぢただろう」と語っている。であれば核戦争へとエスカレートしていたかもしれない。

 現在のワシントンではこのリークが一週間どころか数時間になっている。就任一年目のオバマはアフガン政策をめぐる政権内の議論がリークされ、世論レベルでの論争により選択の柔軟性も一般的でない選択をする可能性も奪われてしまった。よって新しい政策決定プロセスを導入し、関与する人間を小さくし、情報管理を徹底した(当然少数による決定の選択ということは間違いの可能性・リスクが大きくなるということでもある)。結果ビンラディン殺害まで5ヶ月にわたって作戦は秘匿された。

 このことに関してはウィキリークスの有益性と同時に、意思決定を奪うという危険性・有害性もまたあるということ。ウィキリークスという機関が、トップの重要な意思決定を尊重することをしなければ、つまりそのリークによってトップの意思決定を操作しかねないような危険なことを行った場合は、ウィキリークスという存在について国際的弾圧を与えてしまうということ。ウィキリークスがここは伝えるべきだが、ここは伝えてはならない!という適切な判断をすることが出来なければ存続し続けることは難しいだろう。

朝鮮半島で何が起きているか

― もう韓国が挑発行為に耐えることはない /玄仁沢、金泰栄

 あんまりないですね。金正恩は何をするにも叔母とその夫・張成沢の支持を仰がなくてはならない。そういう点で独裁者とはまだ言えない。権力を完全に掌握するためにはいずれ権力抗争は不可避となると予見されてますね。見事的中してますが、これほど早い時期になると考えていたのでしょうか?

 ビルマの軟化についてふれられていますが、これについてはまた別記事で。ベトナムミャンマー民主化というか改革開放という路線に進んでいますが、北には民主化の要素が全くないですからね。張成沢処刑で改革開放路線は完全に潰えましたし、体制変革を進める親米・日みたいな派閥もありませんから、時が解決することはまずありえませんね。イランでさえ改革派(新米欧派)がありますからね、全くない北というのは国家体制の異様さは突出していますね。見事な全体主義ですからね。

<特集 戦略的ビジネス外交の薦め>

ハイテク企業の政治的・外交的影響力強化を ― シリコンバレー外交政策

/アーネスト・J・ウィルソン

 今までハイテク企業が公的圧力、政治力を発揮したことがなかった。それが著作権強化(SOPA)に反対する動きで初めて影響力を発揮した。インターネットの自由を求める勝利となる画期的な事件だった。だがハイテク企業はロビイングなど消極的で政治的影響力が小さい。今後重要なこの産業において米の戦略を形成する上でも強固な関係性が必要。政治も企業も歩み寄って相応しい成長戦略のコンセンサスを―ッて感じなんでしょうが、果たしてどうなのでしょうか?通産省の例のように適切な成長戦略が日本の自動車産業の成長を生み出した!なんてのは幻想で結構負の面が大きかったといいますしね。今そんなこと言える段階なんですかね?政治と企業が結びつくということは規制が強化されるということでもありますしねぇ。ちょっとわからないですね。

戦略的ビジネス外交の薦め ― 途上国経済を支配する中国企業への対抗策を

/アレキサンダー・バーナード

 新興市場での米企業の進出の遅れ。中国や独英仏のように国家的後押しをすべきだと。最近の安倍外交での外遊先での売り込み、ビジネス外交もこの影響を受けてのものでしょうね。アフガン・イラクでの戦争の結果、商売目的で戦争をしたんだろう!という非難が怖くて米企業を後押しすることが出来なかったと。帝国主義と言われるのが怖いから。逆に言うと帝国主義を放棄した独英仏は気兼ねなく出来るということですね。

 で、話題になっている中国企業の中央アジア・中東・アフリカの進出。中国政府の後押しがある。中国の条件のほうが米欧よりいい。が、中国は今や現地労働者を雇うのではなく、自国の労働者を採用し、環境への配慮をせず、古い技術で資源にダメージを与えるというマイナスイメージが定着している。大抵、依存をしたくないために、各国とも取引相手国は多様化させる多様化戦略が取られるから中国のシェアも落ちていくだろう。

 関係ないけど、外国の政府関係者への賄賂を禁止する対外的腐敗防止法(FCPA)は単に途上国の腐敗に関与するからアカンってことだけなのかしら?米人の意識、ピルグリム・ファーザーズの例のアレで、米=聖地&欧などの聖地を侵害しようとする勢力と考えるやつの延長にあったりするのかな。対外不干渉主義みたいなものの影響を見ることが出来るのかしら?

 または、過去の政治腐敗・汚職事件化なんかの後遺症で、賄賂ダメ!絶対!みたいなものがあるのか

Classic Selection 2006

アフリカでの影響力を模索する中国/CFRタスクフォース・リポート

 北京コンセンサスの話ですね。途上国の味方!というキャッチフレーズでアフリカの懐に入り込むと。ジンバブエでソの支援するヌコモに対し、ムガベを支援。そして選挙でムガベが勝ち、今の緊密な関係まで至る。

 アフリカ成長機会法で米はMFAマルチファイバー合意でアフリカの繊維を割り当て輸入した。05年にそれが失効すると中国繊維が急増し、そのシェアを奪ったと。これは面白いですね、対中圧力・制裁とアフリカへの支援が同時に行えるのであれば、多分近いうちこれがまた米で出てくるんじゃないでしょうか?

 中国の外交部副部長周文重は米欧はまだ受け入れる体制が出来ていない国に市場経済複数政党制と民主主義を押し付けようとしている。中国はそういうことはしないというようなことを述べていますが、これは確かにその通りで中国に理がありますが、じゃあ中国は後ろ二つの準備はいつ整うのか?その見通しは?今の所度の段階でいつ達成するのか?とぜひ突っ込んでもらいたいポイントですよね。

<特集 シリア紛争の長期化と国際的対応>

アラウィ派はシリア沿海部を目指す― 内戦の長期化とアラウィ国家の誕生?

/ケイティ・ポール

 沿海部のタルタスにアラウィ派が避難地として逃げこんできている。仏の庇護を得た緩衝地帯化とか興味深い話だが、ちょっと良く理解できなかった。

有志同盟でシリア紛争への対応を

/リチャード・ハース

 特になし

インド経済の政治不況

/プラタップ・バーヌ・メータ

 州政治と中央政治がうまく結びついておらず、州政治の意見をうまく組み上げられない。国民会議派は長くインドで与党だったのにもかかわらず州選挙で勝利したことがない。地方に基盤ある政治家を信頼せず、中央からコントロールしようとする。地方に基盤がないからその都度地方の有力者と組み、情勢が安定しない。社会上層の出身者が等の運営を握り透明性がない党運営。ラフル・ガンジーは2007年党内の若手組織インド青年会議の改革に手を付け、ここの運営を透明化したが、全体に大きな変化はない。未だ能力よりガンジー家への忠誠が重要という状態。

 社会活動家アルナ・ロイの動きもあり、2005情報公開法が成立。これまでガバガバ。中央集権から市民・社会運動が影響を与える流れが出てきている。憲法上の統治者はマンモハン・シンだが権力を握っているのはガンジー家という状態。インド人民党は後継者と組織問題で混乱、2014の総選挙次第と。

金融危機で揺るがされるEUの政治的未来

/チャールズ・クプチャン

 特になし

偽造医薬品の恐怖

/ティム・マッケイ、ブライアン・A・リャン、トマス・T・キュービック

 同上