てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

フォーリン・アフェアーズ・リポート 2012/9

フォーリン・アフェアーズ・リポート2012年9月10日発売号/フォーリン・アフェアーズ・ジャパン

¥2,200 Amazon.co.jp

投資バブルの崩壊で中国経済は長期停滞へ

/パトリック・チョバネック

 中国経済の停滞。外需主導から内需主導への転換を。リバランスのためには消費を抑えこみ投資させた企業>家計ではなく、家計>企業の政策を取るべし。しかし輸出と投資というこれまで成長を担ってきた支柱を取り外すことを誰も望んでいないという問題がある。90年代の日本は景気刺激策でGDPの急激な低下は食い止められても成長を維持できなくなった。その日本に似てきている。調製プロセスによって投資で恩恵を受けている国・企業はマイナスだが、富を消費に回すため、消費財の企業はプラスになると。

債務ブレーキとドイツ経済のジレンマ ― 国内投資か債務削減か

/アダム・トーズ

 持続可能ではないドイツ経済。企業はドイツ製品の輸入を支えようと外国投資へ資金を回している。これをドイツ国内に回すべき。今のドイツの繁栄は戦後の黄金期、メイドインジャーマニーと持て囃された時代と重ね合わされているが、あの時は戦後の荒廃により国内投資があった。現在はそうではない、今の経常黒字が国内ではなく、外国に向かっているという点で戦後経済モデルの解体を意味する。

 大恐慌期を例外とすれば、国内投資は史上最も低いレベルになっている。景気刺激策も中・米・韓よりも小さく、高齢化しているにもかかわらず教育、人的資本への投資を怠っている。今では国際大学ランキングで目立たない存在に。

 全ての原因は輸出主導型モデルにある。独は多文化主義を受け入れられていない、移民増ではなく、少子化対策に投資すべき。女性が働ける環境整備も重要。これまで進んでこなかったのはCDUなどの伝統的な価値観、女性は家庭にというものが大きかった。幸いメルケル子育て支援プロジェクトに取り組んでいる。

 そういえば、日本の少子化・女性が働ける社会というテーマは非常に重要なわけで、これを訴えれば女性首相あるんじゃないか?自民なんか小池さん担いでこれやらせたら面白そうだが…。普段女性を支持しない層も女性を中心に投票するだろうしなぁ。

 ドイツ国内需要で欧州経済を救うべき、多くのエコノミストも今の低金利を利用して国債を発行し国内投資すべきだと考えている。しかし、独の政治階級は公的債務を嫌うコンセンサスがある。09年の予算均衡の憲法修正条項も大きく作用している。北部・東部諸州の財政破綻問題が後を引いている。

 無論、国内労働者の賃金を下げて競争力をつけるという方法もある。しかし米寄りはマシだが、OECD平均の二倍のペースでジニ係数での所得格差が拡大している。最大の市場調査機関GfKグループの09年の世論調査ではドイツ社会を公正だと考えるわずか24.9%。有権者90%の支持を占めていた二大政党の支持も今は70%に低下し、小政党と連立を組まないといけない状況に。まだよくわからない海賊党などが全国区として台頭していることも有権者の怒りを読み取れる。これまでなら考えられなかった二大政党CDUとSPDが組むということも求められる。実際、債務ブレーキ条項を憲法に書き込んだ。今度は国内投資のために真逆のことで手を組めるか?

 もしヨーロッパが危機にあってより安全な国内投資に立ち返るということになれば解決することは解決するが、その被害が計り知れないことは言うまでもない。子孫のためにより少ない借金だけでなく、よりよい欧州をのこすべきだと。こう演説すれば支持されやすい気がするんですけどね…。

 そもそもなんですけど、経済大国の国が輸出主導型経済って相当考えづらいですよね。今の中国だって、経済大国としてその座を確立して外需から内需主導型への転換が求められているわけですし、日本だってアメリカだって巨大な内需がまずありますしね。ドイツの製品がいくら良くても、今や生産拠点を移していく時代ですから経済大国でどうしてそこまで出来るのか?ちょっと気になりますね。まあそれはおいといて、経済大国であるならば強い製造業をベースとしてそれ以上に、金融など次の段階にシフトするべきなのでは?欧州各国の製造業に投資・還流する資金を元に国内を欧州統合を前提としたものに大きく創り変える必要があるんじゃないでしょうか?事実上の欧州の経済のセンター化は不可避だと思うんですけどね。どうなんでしょうね。

<特集 21世紀のアジアと世界を左右する米中関係の行方>

強大化する中国への対抗策を /アーロン・フリードバーグ

 西太平洋での覇権を確立しようとするA2AD能力の強化。中国が民主化すれば、米が中国に地域的覇権を任せることもありうる。だがそれは大きな混乱を招くことだろう。民主化しない中国についてそれはありえない。アジア重視戦略、アジアピボットに具体的な中身はまだない。

 中国のA2AD(弾道ミサイル・巡航ミサイル)能力の強化で米への攻撃が自分たちの利益になると思わせないように対抗戦略をしっかりやること。中国の軍備増強に適切に対処しなければ、アジアの同盟職に提供している安保のクレディビリティが損なわれる。そうでなければ同盟国の離反を招く。対中宥和の誘惑に屈しかねない(韓国がすでにそうなって、日本の靖国参拝という「挑発」がまあそういった主旨であるという感じですかね、今の状況は靖国についてはそういう見方をした記事がありましたしね)。この点ニューヨーカー誌が指摘したオバマ外交の特質である「背後からリーダーシップを取る」という選択肢はありえない。

 米軍が必要としているのは空母や戦闘機ではなく、高高度ドローン、次世代爆撃機、新型の長距離ミサイル、そしておそらくは精密誘導兵器を搭載できるステルス型のアーセナルシップ。

 財政面の制約、政治目的、戦略的不確実性からみて、アメリカと同盟国が、中国のA2AD能力の強化に対抗できる効果的で説得力のある通常戦力を整備するのは難しいかも。

 同盟国のために核を使うことがあるという約束が米の安保のクレディビリティの中核をなしているが、中国のミサイルの射程が伸びて米本土に核が届くようになれば同盟国のために核を使うという選択肢は小さくならざるを得ない。

 A2ADに対して「水平的なエスカレーション戦略」。つまり、中国の攻撃に対して同盟国や友好国の海軍とともに、中国の海岸線のコミュニケーションラインを遮断する能力を強化すること。台湾や南シナ海で武力を行使すれば速やかな勝利を手にできると北京が考えても、中国は製品の輸出も資源を輸入することもできなくなる。

 この戦略に確実性を持たせるために、すでにかなりの優位を確立している海中戦争under sea warfare技術の進化に投資すべき。オーストラリア、インド、日本を含む各国の海軍との協力と連携を深めるとともに、東南アジア諸国が自国の領空・領海防衛に必要とする兵器を調達するのを支援する必要もある。

 対米貿易不均衡・人民元の過小評価についての是正。ハイテク技術が盗まれたり、軍事に応用されないようにすること。穏健に出てもタカ派が勢いづくだけ、強行的な交渉をすべき。最終的に中国は高齢化・政治腐敗・投資主導型経済モデルの限界でパワーを低下させる。新大統領の任務はその不確実な過渡期の舵取り。誰が選ばれても対中バランシングを適切に行い、同盟国に安保のクレディビリティを提供すること

北京はアメリカと世界をどうみているか

/アンドリュー・ネーサン、アンドリュー・スコベル

 中国の世界認識について、特に取り上げることなし。中国がアメリカをリビジョニスト(現状変革)と見ていることが象徴的でしょうか。世界を米の価値基準で作り変えていくと。過去にあったこと、伝統・歴史こそが正しく、その歴史観からはみ出るもの、踏み外れるものは間違いということですからね。あと共産主義を赤の革命、イスラム革命緑の革命、そして民主化をブルーと表現していました。なかなか面白い表現方法ですね。世界は三色とその他で分けられると。

<特集 波立つ日中韓関係>

東アジア安全保障の進化を阻む日韓の歴史問題― 竹島訪問前、韓国で何が起きていたか /ラルフ・A・コッサ

 CSISパシフィックフォーラム会長らしいですが…。日韓の協定調停を歴史問題を理由に韓国がそれを拒否したことについての話です。歴史問題で同盟国間の関係が揉めるのなら、双方が揉めないような予防外交をするのも一案だと。アメリカが仲介役の役割をかって出てもいいと。双方が受け入れられる宣言づくりにオバマは取り組むべきだと。

 まあ、問題を知らないといいますか、認識が浅い・甘い代表的典型例といいますか、米が間に立って解決する問題ならとっくに解決してますよ。良心の自由を知らないんでしょうかねぇ…、この人は。仮に日本が間違っているとして、一部の人間が戦前の日本は正しかったという妄言を吐くことが、どうして二国間関係を停滞させることを正当化出来るのか?それが間違っていることだとして、それを正したいのなら別の取り組みでやればいいだけの話でしょうに。政治・外交に絡めるなというあたりまえのことでしょうに。

 例えば今の安倍政権のように、安倍自信がそういう意見の持ち主だから会わないというのはまだ理解できますけど、日本の中にそういう意見の持ち主がいるという理由なら、政権内の責任者でもないのに、そういう人間を社会的に排除しろ、抹殺しろという事に応じなくてはならないのですよ?日本がナチスのような非道行為をしたのならともかく、これはそういう話ではない、ケースが違う。韓中は過去の日本をナチスのような例として扱いたい、戦前の日本を肯定するような思想を持つ人間を根絶したいと考えているわけです。明らかにケースが違うし、そんなことに政府が手をかせるわけないでしょうに。国家レベルで良心の自由を踏みにじれと言ってる等しいわけです。米人がそういった事の本質を理解せずに、そういう意見を平気で言ってしまうのがこの問題の恐ろしさですね。

 他にも書こうと思ったけど、不毛なんでやめます。どうせ戦前の日本=悪&加害者、韓国=被害者くらいの歴史観しかないんでしょうね。第二次大戦の歴史書とか読んだことないんでしょうかね…?

韓国の日本に対する「小さなこだわり」と「大きなビジョン」 ― グローバルコリアはどこへ行った /スコット・スナイダー

 米外交問題評議会の人、この人は大丈夫そうですね。タイトルそのまんまの話です、そしてそのとおりの文章だと思います。李明博竹島上陸パフォーマンスはポピュリズム。一国の視点しかない狭量な行動。グローバルコリアが取る相応しい策ではない。米がどちらか一方を選んでも、仲介に乗り出してもメリットはない。

 そもそもココがポイントなんですが、韓国が歴史や領土問題で何か主張しても、行動しても、それが実ることはありえないということ。日本が韓国の言い分を飲むなんてありえないという現実にいい加減気づくべきですね。その上でなにか有効な対策を他に考えだすとかならともかく、一番現実の国際政治で利益になるのは国家間の安定というセオリーを完全に無視してますからね。争うにしても二国間の政治の枠内において、決定的破綻をもたらさないように最小限にして争わなければいけないのに何やってるんですかね、全く。

 歴史・領土の主張はむしろ状況を悪化させるだけですよね。日韓関係が悪化するだけで国際政治にマイナスしかもたらさない事、ここを抑えないとダメですね。次の大統領がそのようなポピュリズムではなくより高い見地から行動することを望むとありますが、李明博よりも悪い結果になってしまったというね…。

 まあ、言うまでもなく領土係争中の島、そこを自分達が実行支配しているのに自分達の領土だ!なんて訴えることはなんのメリットもない、むしろ領土問題があるとPRするだけの自滅行為なんですが、そういうことがわかっていないのがアレですよね。こういう非理性的な行動を韓国が取ることでいかに韓国側の言い分、やってることがおかしいのかちゃんと世界の世論に訴えないといけないのですが…。

南シナ海対立の新構図と紛争の危機― 中国の影響力拡大とASEANの内部対立 /ジョシュア・クランジック

 南シナ海での中国の領有権主張の強化。コンセンサスと非干渉を重視するあまり東ティモールなどの事例を見ても、ASEANアフリカ連合などと違って地域機構としての機能が有効に機能していない。中国との関係が深化し、恩恵を受ける国も多い。ASEAN諸国内で親中国派とそうでない国で分裂してしまうか?ASEANという地域機構が対中国ということでその機能を進化出来るかどうかみものですね。また中国が南シナ海をコントロールし、それを通じてASEAN諸国を屈服というか圧服させて、支配圏に組み込んでしまうのかというところも見どころでしょうか。経済構造の転換と民主化という課題をクリアすれば有り得る話なんでしょうけどね。まあ今の所はありえない話でしょうね。

日本の電力危機とアジア・スーパーグリッド構想

/田中伸男

原発再稼働がなければ、400~500億ドルの石油・天然ガス購入費用がかかってしまう。12・02現在月間コストは19億ドルも高くなっている。EUのトランスヨーロピアンネットワークのように、電力供給天然ガス輸送を改善するという地域間のエネルギー安全保障が必要か。まあ、ただ言うまでもなくEUは同盟内でやってるわけで、日本の場合せいぜい、日韓台くらいしかないですからね。ASEAN/印とかはまあなんとかなっても、北・蒙・中・露辺りはそういうことが出来てエネルギー問題が解決しても、何かあったらパイプライン止められてしまいますしね。露のパイプラインを北・韓から日ってのは完全に北がそれを政治的に利用するんでまず無理だと思いますね。そして半島情勢に露の影響力を強めることはプラスになりうるか疑問ですしね。

 まあ結局、3.11はいかに日本のエネルギー政策がザルだったかということですよね。電力網の脆弱性、近隣諸国どころか国内でさえ統合されていないとかいう話ではなく、国内の電力企業の寡占問題でしょ?戦後から全く業界の変化がない。そして原発事故は安全神話から引き起こされた人為ミスだったと結論付けられているように、より透明性&責任性ある監視体制の確立。それなくして原発再稼働はありえないという話で、原発エネルギーは今の世界情勢(アジア諸国の石油事情に、中東の政情不安)から必要性が高い。安全な原発を動かすことに依存はないが、まず電力業界の自由化・透明化、そして原発運用の透明化とセットで攻めていくべきことですよね、野党としては。まあ、原発を何があろうと絶対動かすなでは、もう絶対勝てないし、無視されるだけでしょうね。脱原発派いいが、反原発はなんの意味ももたないでしょう。

 そもそも今回の原発事故の責任は自民党時代のザル管理政策にあるわけですから、電力業界&原発運営改革を自民党に任せようという投票行動はもう狂ってるとしか言いようが無いですよね。まあ、有力な政党・投票先がなかったというのが一番大きいんでしょうけどね。

石炭資源をクリーンに使用するには ― 温暖化の主犯から問題の解決策へ

/リチャード・モース

 途上国の石炭エネルギー増=二酸化炭素排出の増。先進国が技術を提供して、より二酸化炭素排出を抑えるべきという話。新しいコールプラントを提供すれば、途上国の排出量はグッと抑えられると。京都議定書のような排出割り当ての取り組みがストップしている以上、進めるべきと。今色んな技術発展で、地下でエネルギーに変えたりで、石炭でも排出量を抑えて電力にしようというものが進んでいるんですねぇ。

プーチン主義というシステム ― ロシア社会の変化にプーチンは適応できるか

/ジョシュア・ヨッファ

 プーチンの人物像について。世界的なPR会社ケッチャムと契約。そのコンサルタントいわく、あらゆる人と物は操作することが出来る。金さえ払えば、ウォール・ストリート・ジャーナルでさえ好意的な記事を掲載してくれると信じていた。そしてそのような技術の提供を望んでいたと。

 プーチンへの忠誠の代わりに領土の支配を認められるというシステム=プーチン主義(まんま封建主義ですな)。チェチェンのトップカディロフは彼に忠誠を誓い、彼を落胆させ、裏切ることなど絶対ありえないと述べているが、ここ10年の問題はプーチンにあると言う。完璧にプーチン主義の下、全てをコントロールできるわけではない。

 ロシアに登場した中間層は、プーチンの大統領再出馬と下院選挙の不正をきっかけに、2011年の大規模デモを起こした。デモの主体は豊かになった中間層・ホワイトカラー。プーチンはこれがヒラリー・アメリカの仕掛けによるものだとした。彼らのシンボル白いリボンをコンドームになぞらえて批判と(ココらへんは反同性愛などの保守思想と関係するものなのかな?)。本物のロシア人は労働者であり、エンジニアだと述べる。そこを支持基盤にしているというのがポイントですかね。これまでは都市と地方を分離して、地方の支持を得られたが、地方でも変わらない現状に、プーチンへの不満が高まっていると。

 エリツィンゴルバチョフを追い詰めていったように、地方政治家が地方の支持を基盤に中央・プーチンに反旗を翻すようになっていけば…とありますが、そうなる可能性はまだまだわからないような…?ちょっと先走ってる気がしますね。今回のウクライナで欧州都の関係悪化でダメージを受ける地方。その地方政治家が親欧的なスタンスでプーチンへの権力に挑戦していくなんて図式がありえるんでしょうか?うーん、ちょっとそこまでは行かない気がしますが…。

 最初に作られた建物=権力構造から、今のような新しい階層の興隆・時代の変化に合わせた次のプランがない。初めの建物をどうリフォームしていいのかわからないというのがプーチンの現状というのは言えてますね。当面の危機は回避できて、短期的な安定は得られても長期的にはわからないと。ポイントは次の大統領選で、プーチンに変わりそうな有力な新興階級・中間層を代表する政治家が出てくるかどうかじゃないでしょうかね?

<特集 銀行に規律を与えるには>

銀行に規律を与えるには― LIBORスキャンダルの三つの問題

/ジョナサン・メイシー

 銀行の不正操作の話。不正が起こりえないシステムづくりの必要性。話題は下に続く。

金融ビジネスに規律を与えるには―― 問題は金融が経済を支配していることだ /ジリアン・テット

 ジャーナリストの文章ですが、非常にいいものだと思いました。金融界に透明性・客観性がより一層必要になるということですね。サブプライムで刑事訴追されたものがいないと。これまでも金融危機で責任者が裁かれるということはなかったし、そうあるべきだという考えが常識でしたが、今後金融界が大きくなり続ける上で新規範・ルールが必要になるんでしょうね。次のサブプライム危機を起こさないためにも、金融のトップ・責任者は民事・刑事的責任が問われるんだということにしない限りなんどでも同じ問題が起こるでしょうからね。

 サブプライムローンなんか明らかに返済能力のない人にお金を貸して家を買わせていたわけですから。しかし、金融は虚業と実業の間にあって、そこに実体的裏付け、経済的体力がないにもかかわらず、成長という恩恵を与えるものでもあるわけです。実力がないのに実力以上の成長を達成できてしまうという性質があり、これには当然負の面も、正の面両方あるわけですね。たまに金融なんか虚業だ!卑怯だ!汗かかず稼ぎやがって!なんていう意味不明な否定をするわけですが、その恩恵で現代社会はあるわけですからね。乱暴な言い方をすると嘘から出た真、瓢箪から駒みたいなもんで、その得する範囲をどこまでが正常なものであると判定する基準が必要となってくるわけですね。そこをどうするか、どこまでをセーフ、アウトにするか指標づくりがポイントになるでしょう。

 素人考えで難しそうということはわかりますが、やはり新基準・ルールは大儲けできる可能性を放棄すること、少し厳し目な基準を作って、サブプライムのような危険性を防ぐことに最大の関心が置かれて作られるのではないでしょうか。頭としっぽは捨ててやれではないですが、安全を求めてるべきでしょうね。世界的な金融秩序が成立した現代においては、世界中を混乱に陥れますからね。

 ガルブレイスは『格差と不安定』において格差の研究も、金融の研究もそれぞれ十分にあるが、その連関を研究しているものはないと主張。なるほど!たしかにそのとおりですよね。今の問題のポイントはグローバル化と格差の拡大なのですから、その相互連関を研究しなければならないですよね。で、今ようやくその必要性が経済学でも広まってきたと。現代世界の金融化こそが格差拡大の本質、ウォール街占拠運動もそのため。金融の所得は他の産業に比べ所得が大きすぎる。80~90年代の格差拡大は富裕層の中の富裕層に所得と資産が集中したこと。トップ1%ではなく、0.01%の「ハイパー富裕層」に注視すべきと。

 ガルブレイスの本は素晴らしいが、学術的でわかりにくい。そしてこうすれば解決するという答えを提示できていないという問題があると。「格差メカニズムを変えようとする政治制度の能力や意志には、現状で限界がある」「一部の国が相対的に平等な所得配分と低失業率を実現しているのは政治構造ではなく経済制度の違いのため」というのがガルブレイスの見方。なるほどなるほど。とすると、確かに政策立案者にとっては解決策を考えて提示する上でどうしようもないですよね、政治制度をいじくってどうにもならないわけですから、経済構造を根本的に変えるしかないのでしょうか?アメリカはいくつかの国に割れたほうがいいんじゃないかな?州制度廃止して、4つとか5つとか(まあ数字は別にいくつでもいいですが)政治制度を再編し直すべきでは?と最近考えていますが、そういう段階に達しているんじゃないですかねぇ?裏付けはないんですけど、東西南北アメリカみたいな感じで国家として独立して、かつEUみたいな政治統合をして、政治・外交の一体性は保つという形で。

 他に注目すべきものは2つ。シラーとファーガソン。シラーの『金融と良い社会(Finance and the Good Society/Princeton University Press)』はモラルと再生を説く、金融のプロ・技術を活かして社会に有益になるように持っていくべき。対照的にファーガソンの『略奪国家』は厳罰を説くと(こちらの方はジャーナリスト的でセンセーショナルに問題を煽る感じなんでしょうか?)。まあやっぱり必要なのはその半々ですよね、どっちか一方だけでは片手落ちになる気がしますね。

 モラルの問題ってどうでしょうかね?金融のトップなんか人間のクズだ!なんて意見を持ってる人はそう多くないと思いますが、問題は悪意ある一人が入り込んだ時、被害が計り知れなくなるということだと思いますが。何かこの構造はテロの論理に似てますね。9割の優秀&モラルある人が社会に多大なメリットをもたらすも、残りの1割の無能or悪意ある人(またはその両方を兼ね備えた人物)が出てきた場合被害が計り知れなくなるということが、この問題の本質だと思うのですが、どうでしょうか?

 「野放しのハイパー金融化」ですか、なんでしょうね?あいつらは金融を扱う野獣だ!エコノミックアニマルならぬ、ファイナンスアニマルだ!なんてことで叩く風潮みたいなのが強くなっているんですかね?ゴールドマン・サックスのCEOが格付けの重要性を認識していなかったことなんてありえない!議会での偽証罪で逮捕すべきとか、大学のエコノミストモルガン・スタンレーの役員だったのにもかかわらず警告を発しなかったことを厳しく批判している。またビジネススクールの金融機関からの報酬が研究の中立性・独立性を失わせていると。

 また三つの著作を結びつけるものとして、シラーがエリートの特権が引き継がれる構造を「カースト」と呼んでいる、この「カースト」だろう。シラーは金融ツールではなく、ビジネス界の閉鎖性が問題だと。むしろ金融ツールの適切な利用はこれを打破するものだと、なるほどなるほど。

 金融犯罪が取り締まられるかわからないが、今当局には金融犯罪を取り締まるため、より多くの資金が投入されていると。しばらくは厳罰よりも、未然に監視して取り締まるというレベルになるのでしょうか?

 なかなか興味深いテーマであり、面白かったですね。ファイナンシャル・タイムズの編集長ですか。

 ※金融と格差が今後の政治テーマの最重要事項になることは間違いないのでしょうが、多国籍企業がタックスヘイブンなどで脱税するというのも規制されていくかも知れないですね。納税こそは民主主義の基本であり、命。多国籍企業も雇用を奪い、格差を拡大している!と叩かれるのも目に見えていますね。企業にも罰則が課せられるのはそうですし、そういった制度を採用している国にも国際的な罰則が出来るでしょうね。

慎重なミャンマー投資を― 急成長の弊害に目を向けよ

/ブラアン・P・クレイン

 総選挙で四分の1の軍への割り当て議席がありながらも、一応は公平な選挙が実施された。これで米欧日などが投資をする条件が整った。しかし、投資で経済成長を促しさらなる改革開放を進めようとしても、富が社会上層・一定にしか行き渡らないのであれば、政権が腐敗し社会が混乱するだけ。中間層に恩恵が行き渡るようなものにすべき。

 と言っても、そんな投資ができたらとっくにやってると思うのですが、どうやってやるのでしょうか?ブ厚い中間層が作れればアフリカでも中東でもまた話が変わってくるんでしょうけどねぇ。