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てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

欧州秩序と東ア秩序の比較

外交関係

ヨーロッパ国際関係史の続きになります。

 ここで見た、欧州外交つまり近代外交の基本構造・図式を見た上で半島の統一、東ア冷戦はどうなるか?ということを書いてみたいと思います。

 欧州では二度の世界大戦の悲劇から、絶対に二度と戦争を起こさないという暗黙の了解がありました。暗黙ですらないかもしれません。米ソという二大国が衝突するリスクが行くどかありながらも、それが現実化しなかったのは東西両陣営においてこの思いが強かったことは言うまでもないでしょう。

 それに対して、東アでは主権国家同士で日VS半島国家、及び現中国のような大陸国家での戦争という形が存在しませんでした。よって過去の大戦の悲劇を防ごう!となるのではなく、「日本の侵略」こそが悲劇であり、その悲劇の再現を防ごうということになります。日本ですら、その価値観に一時賛同していたくらいですしね。そういう価値観を前提とした構造が90年代位までは東アの基本であり、現代では日本の価値観が変化して、もはや通じなくなってきているというのはこれまでに述べてきたとおりです。

 つまり、欧州が冷戦を終わらせたような形で、東アもそういう制度、地域機構、システムを構築していくことは考えにくいということです。

 次に、ハルシュタイン原則をドイツが放棄したことが、最終的なドイツ統一に向かったこと。分断をまず認めて、不安定な国家間関係を安定化させ、ドイツを欧州という地域に組み込んでいく。ドイツが不安定化して欧州情勢が不安定化することは、国際力学から絶対に許されないという、場の状況(国際秩序)を理解した上での外交がありました。

 金大中なんかはそういう研究者だったかなんかで、そのメカニズムを理解しており、中ロとの国交樹立を図り、半島周辺の安定化・北の地域秩序への組み込みを志向していました。北の米日との国交正常化交渉というのもこの流れにあるわけですね。そういう観点からは露日間で国交が設けられていないというのは非常にまずいとも言えるわけですがね…。

 この頃までは、韓国は外交力学を理解していたように思えますが、最近のチャイナシフトなどは少し怪しい・危ない行動に思えます。無論、北との関係上、統一ということになれば、中国の理解・了承が絶対条件。中国がノーといえば達成され得ない問題ですから、「平壌への道は北京を経由する」という発想は間違いではありません。

 しかし、ドイツの統一が東の崩壊という形になったように、半島も北の崩壊になるのは間違いない。生き残りを至上命題とする北にとって、これは自殺に等しい選択ですから、まず彼らに統一という選択肢はありえない。開放は自分たちの体制を揺るがさない範囲で、つまり自分たちの得になるからやるという北の戦略を見て分かる通り、統一という外交方針も自分たちのメリットになる限りにおいて許容するでしょう。

 ですからよく言われる、開放をしてもらって程々に成長して、統一による韓国経済への負の影響がなくなってから統一をするというプランはまず現実味のないプランであると言っていいでしょう。まあ、これは相手に軟化を促す政策であり、実際には軍事的能力を韓国が強化しつつあるように、有事による決着の可能性のほうがまだ現実味があると言っていいでしょう(韓国に戦時統制権はないので韓国主体で決断できず、また米がそれを許容する可能性もまずありませんが)。

 昨年の日韓政府の非公式協議という場において日本側が、半島の有事の際、日本は事前協議において、安保条約における基地使用を拒否する可能性を示したと産経が報じてます(というか今までベトナム戦争イラク戦争においてそういう議論が怒らなかったことが異常なんですけどね…)。

 このように、韓国は米の属国であり、日本も同じく米の属国でありながら、基地貸与という貢献があるのでまだ日本のほうが優位な条件になっています。属国としてのランクが高いわけですね。昔の中華秩序の価値観で、朝鮮が一番の部下で、日本はその下だ。いわば兄と弟の関係だ―という意識が朝鮮にありましたが、ちょうどその真逆になった感じと言いましょうか。「米華秩序」の兄と弟の関係なんですね。日韓関係というのは。

 韓国の今の反日外交、日本を仮想敵国として封じ込めようというプランは、「米華秩序」の枠組みにおいては通用しない論理・価値観、むしろ中国を中心とした新「中華秩序」の発想です。中韓米で日本を封じ込めるという発想は、新「中華秩序」に米が後追いしてこないとありえない。そして「米華秩序」のターゲットは中や北なのでそんなことはありえません。

 「米華秩序」、今そこにある外交力学を無視して日本を軽視することは、半島を解決する上では致命的なミスになるでしょう。

 また、北というtrouble stateは生き残りのために軍事的な手段、核開発を絶対に放棄しませんから、相互信頼情勢のためのプロセスなども発達しようがありませんので、欧州が行ったようなプロセスはまず辿れないと見てよいでしょう。

 中国のバブル崩壊など、一大イベントがなにか起こらない限りはこの東アの地域秩序はしばらく塩漬けという形になりそうです。冷戦崩壊後から今までずっとそうであったように、このままということでしょうね。