曹操の詩のテーマの変化について
二十代の若き日に詠んだ「対酒」 http://www2.oninet.ne.jp/kanzaki/fsou/su5-7.htm… と、晩年に詠んだ「陌上桑」 http://www2.oninet.ne.jp/kanzaki/fsou/su5-8.html…
現実の世界からあの世の世界へテーマが変わっているというのは、加齢に従い興味・関心に変化が芽生えたことが上げられますね。ただ、この陌上桑の世界観って当時の人の常識の範疇の話ですから、そこまで荒唐無稽という話でもないんですよね。その世界の実現のために始皇帝や武帝のように何か特別なことを実行したわけでもないですしね。
その二人の時代というのは統一した暁には実際にそういうこと、超常的な現象が起こりうると考えられていたからこそ、神仙になる準備だったり、不老不死になるためにいろんな事が試されました。ですが、曹操の時代には曹植が語っているように、そういう世界について実際に起こりうることはありえないという常識がありましたからね。
当時の政治リーダーが課題を達成した後は、そういう世界に向かう。偉人が死後に向かう世界があると言われていたことを考えると、曹操が死後そういう世界に向かうんだろうなという死・晩年に直面した時の心境を読みとれますね。
また自分も現実の世界で政治的にある程度の成果を成し遂げた。完全ではなかった。課題が少しまだ残っている故に、うーんここで自分の改革・事業は終わってしまったか~。もうちょっとやれた&やりたかったんだがなぁ―という残念な気持ちとそれでもここまでしっかり成果を残すことが出来た満足感入り混じった複雑な気持ちを感じ取ることができるんじゃないでしょうか?
いずれにせよ現世での自分の役割は終了、今後自分はそういう世界に行くんだというある種の満足感や達観を読み取ることができるかもしれませんね。