てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

転覆事故で朴槿恵を責める非理性的な韓国世論


 転覆事故についてあまり知らないのですが、韓国世論で朴槿恵批判が高まっているとのこと。これはかなり疑問、というか理解できない反応ですね。事件・事故について彼女に責任があるはずがない。これまでの行政に不作為があったからこその話で、彼女に求められるのはその事実究明と再発防止でしょう。

 かなり昔に過積載による転覆事故があった。その教訓が生かされていればこんな事にはならなかったというのを見ましたが、悪質な船舶会社の放置・監督体制の不備が問題なわけであって、過去の政権の対応や議会での法整備、官僚組織の実務運営こそが問題でしょうになんで彼女の責任になるのでしょうか?

 青瓦台、大統領府からの垂直的な政治構造が柔軟な対応が出来ないという理由・批判を見ましたが、それが今回の事件とどういう関係が?顔が見えない、トップが何を考えているか国民にわかりづらく不安だという指摘もありましたが、そもそも出来る対策が限られていて、事故が起こった直後はもうどうしようもない状態だったと思いますが…。ああいう海域では事故が起きたらどうするか、ではなく事故が徹底して起こらないようにしない限り、あのような大惨事になるエリアだと思いますが。今回の事故ではなく、何らかの事件・事故が起こった際に、情報が得られない。国民の生命・身体・財産を守るのに相応しい態度・対策になっていない、それを改めろ!という批判なら的を得たものだと理解できますけどね。

 津波原発事故の時、菅直人に詰め寄った男性を失礼だ!と以前指摘したことがありますが、きちんと責任を全うしていないのなら一国民が不満をぶつけるのは当然の行為ですが、誰に・どのポストの人間に責任があるかをしっかり理解しないで、ただ怒りをぶつけるというのはそれこそ無責任きわまりないですよ。なんで自分の職務の責任範囲を超えたものまで責められなくてはならないのか理解不能です。

 GKの責任はゴールを守ること、失点を防ぐことなのに、試合に負けたのはGKが点を取らないからだ!と責めるようなもんですね。そんなバカな責任の問い方があってたまるかという話です。どうも国民の民意が成熟していない社会では「お上」意識で、その時の最高責任者を何でもかんでも叩く傾向があるように思えます。何でもかんでも責任が取れる存在というのは独裁者以外ありえませんよ。何考えてるんでしょうかね…。

 彼女の政治キャリアの中で、立法過程でこのような事故の管轄に及ぶものを取り扱っていたとか、大臣などのなんらかの役職についていて行政に携わっていて、その時にきちんと改革をしてこなかったとかならわかりますが、「彼女が大統領であるから」という理由で叩くのは前近代国家の発想でしょうね。

 また、「セウォル号事故」で韓国が日本の支援を断ったのは「反日」だからではないというのでは、安保上の理由から本来同盟国である日本の救助要求を無視したとあります。が、これは彼女一人だけがおかしいのではなく、国民も反日で日本を無視して中国との関係強化を選ぶ人が多かったわけでしょ?中国との関係強化なんか論外だ!日米との関係強化をすべきだ!彼女は外交オンチだ!反日なんかどうでもいい!という主張をしている人が朴槿恵を批判しているわけではないでしょう。

 今回のことを有事かどうかはさておき、このような「有事」で日本と上手くやれることは難しいと前々からわかっていたはず。それを無視して彼女に責任を押し付けるのは無理があります。PKOで弾丸供給がどうしたこうしたとかいうくだらないことで大騒ぎしていたことを見れば言うまでもありませんね。

 彼女の責任を追求できるのは、事前にわかっていた人。このような行政・外交政策を続ければコストを払うことになると理解していた人だけです。それを理解せずに我が身に火の粉が降りかかってきた時に、糾弾するなんてのは虫のいい話でしょう。