てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

フォーリン・アフェアーズ・リポート 2011/09

フォーリン・アフェアーズ・リポート2011年9月10日発売号/フォーリン・アフェアーズ・ジャパン

新しい朝鮮半島を思い描く

― 毅然たる態度で南北間の信頼を形作る

 朴槿恵がアライメント政策、OSCEを参考に六者協議に信頼醸成を持ち込もうという主張をしていますが、米中の関係を悪化させないことばかりで日本が無いですねぇ。米日韓という同盟の力学がそこに働いているのにそれに対しても?ですし、中国に手を引かせて、国際社会で協力・協調し、韓国が援助によって発展したように北も同じプロセスを歩ませる。核放棄もその過程で行わせると。中国が強調することも、北の核放棄もありえませんから根本的に理解していないような…?というか韓国がいかに主体的に努力や主張をしても、まず国際構造・力学が最優先されますし、大国の都合が働くことですから、その彼らの意志・意図がどうなるかという話をしないと意味が無いんですけどね。敵を知り己を知ればの、敵の理解がなく自分たちの理想を勝手に思い描いてそれに従わせようとしているだけのような気がしますね。

メルトダウンの文化的背景

― 閉鎖的原子力文化とチェルノブイリ事故(1993年発表論文)

/セルゲイ・P・カピッツァ

 原子力施設は政治犯によって建設された。一九五七年に初めて原子力事故が起きた。キシュテムの事故は秘密にされた。能力よりも党への忠誠・人格が重視された。プロフェッショナリズムの文化が安全性にとって最も重要だが、それにかけていた。安全基準をしっかり守らなかっただけでなく、物理・技術の知識がエンジニア・責任者になかった。エンジニアの量は多くても、質・社会的地位は低かった。

日本の原発危機とチェルノブイリの教訓

/ローリー・ギャッレット

 一九八六年専門家は100万人以上が命を落とすと考えていた。そのような事態にはなってはいない。チェルノブイリを見て、放射能恐怖症と不感症。あらゆるものに放射能の影響を見て恐れる人と、全く考慮に入れない人。この二パターンが生まれる。

いずれギリシャはディフォルトを宣言する

― 欧米の自爆装置と化したグローバル金融システム

/マーク・ブリス

 マーク・ブリス膨大なドルを持つ中国はEUの財政危機で技術・宇宙工学技術、金融資産を破格の値段で買い漁る?天安門以来の軍事転用技術が解禁になるか?

食糧危機、ドル安、金融危機に翻弄される人道援助

/ローリー・ギャレット

 世銀が5億ドルだして食糧危機を救おうとしても、ドル安により買える食糧が減る。ドル安と食糧危機のリンクがあると。

欧州によるスマート・ディフェンスを提唱する

― 緊縮財政時代の大西洋同盟

/アナス・フォー・ラスムセン

 リビアでのNATOの話。アフガンがNATOにとって最後の域外活動になると主張していた人々―という記述がありますが、そんな楽観論があったんでしょうか?

 戦闘爆撃機や戦艦などの従来型のフロントライン兵器に加えて、ドローン(無人飛行機)、偵察機、空中給油機など、戦闘を支える「イネーブラー」が、近代の作戦行動には不可欠であることが明らかになった。

 リビアでの作戦を見るに、今後心配なのは軍事的制約ではなく、政治的制約。経済危機による軍縮、経済危機が安全保障問題になっていくことが今、最も懸念されること。

 台頭する新興国がこの穴を埋めてくれるのが望ましい。彼らが現行国際秩序をカバーしてくれる形がベスト。かといってリビアのケースを見ても、ブラジル、中国、インド、ロシアは国連安保理が決議を採択することに異を唱えなかったが、その後のリビア対策をめぐって軍事的貢献をしたわけではない(中国はこの地域に軍艦と軍用機を派遣したが、その目的は自国民を救出することにあった)。このエピソードからみても、新興国の利害が米欧のそれと一致しがたいのは明らか。

 大西洋同盟のためにヨーロッパは「スマートディフェンス」アプローチ、つまり、他国と協力し、より一柔軟な路線をとることで、これまでよりも少ない予算で安全保障を維持していくアプローチをとらなければならない。そのためには、NATO加盟国が今後も投資を続けるべき領域を特定しなければならない。かといって全ての領域に注ぐ力は十分にないために優先獣医を設けて対処せざるを得ない。

 軍備コストが上昇するにつれて、ヨーロッパ各国が独自に、リビアで使用されているようなハイテク兵器を調達するのは難しくなっている。ヨーロッパ各国はそれぞれの資源を合わせて、「同盟関係全体を利するような能力を構築する小集団」として協力していくべきだろう。別の言い方をすれば、NATOは、共同することでコストを抑えるとともに、より効率的に小さなリスクで何ができるかを特定するための「協調を形作るマッチメーカー」の役割を果たすべきだ。

 ヨーロッパとアメリカは新興国との協力態勢をもっと強化していくべき。安全保障、世界秩序の認識の共有を!という当たり前の提言をしていますが、むしろそこがポイントでここを掘り下げるべきじゃないでしょうかね。非米欧のパワーが増えていくということは、それだけ米欧的な価値観や発言権は低下していくということであり、自分たちの価値観だったり制度だったりを相手に譲歩しないといけなくなりますからね

ノルウェーイスラム教

― 脅かされるイスラム教徒と多文化主義

/ショアイブ・サルタン

 ノルウェーイスラム。反イスラムの流れ、反イスラムコミュニティが生まれているが、政治的エスタブリッシュメントは寛容。彼らとの対話による解決を選んでいる。米の9.11以降の愛国者法のような監視・治安権限強化(おそらくイスラムは強いターゲットにされる)というような動きも起こらなかった。対テロでイスラムへの圧力が強まることはない、文化衝突が強まる傾向にはないのでまず安心と。そういえば排外主義の反移民を訴えたテロがありましたね。イスラムテロよりもそういうキリスト原理主義でしたっけか?あれは?イスラム過激派だけでなく、反イスラムを訴える側のテロも今後増えてくるでしょうし、そういう流れをどうするかという話になってくるでしょうね。イスラム過激派ではない「9.11」がいつ起こってもおかしくないと思いますしね。