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てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

FAから、漂流する日本の政治と日米同盟

フォーリン・アフェアーズ・リポート2011年9月10日発売号/フォーリン・アフェアーズ・ジャパン

 ―から、『漂流する日本の政治と日米同盟』byエリック・ヘジンボサム、エレイ・ラトナー、リチャード・サミュエルズを取り上げたいと思います。ランド研究所の人ですね。やっぱここの人は良い文章書くな~という感じですね。もう一人はMITの人ですが。

 わざわざ分けて書く割にそんなに長々引用しないのですけども、結構重要だなと思ったので独立して取り上げたいと思います。

 震災におけるオペレーション・トモダチは、米兵2万を投じた日米同盟史上最大の共同活動だった。これにより両国の絆は深まると思われたが、実際は日米関係が未来を明確に共有しているとは言い難い。

 詳しいことを省きますが、要約すると、日本は政権交代で古い政治体制から新しい政治体制、より開かれたものへと改革を進めた。筆者は民主党による政権交代を肯定的に見ますが、同時に官僚主導から政治主導に至る混乱によって、日米同盟がうまくいかない・不透明になるリスクを紹介しています。

 それが現実化して、日米関係に齟齬をもたらしたのは言うまでもない話ですね。そしてこれまでの財政問題に加えて一連のツナミによってさらに予算が割かれて、日米同盟に好意的な予算(基地とか軍備とか)が割かれることは難しいと。

 沖縄の米軍基地問題で市民の感情に応えようと、平等な日米関係を主張した鳩山は、交渉過程から外務・防衛官僚を外した(政治主導を取りながらも、政治主導を実現する道具やルートがなかったわけですね…)。そして鳩山も結局従来の主張に戻り、社民党が離脱し辞任と。基地問題沖縄県知事も日米合意に従わないと主張せざるを得なくなったと。

 中国の尖閣問題で日米が協力しなければいけない時期にこういうことになってしまったと筆者は嘆きます。こうした一連の展開は、現在の日米同盟の立ち位置がどこにあるのかわからなくしていると。

 また 民主党事業仕分けで、透明化プロセスを取り入れると、思いやり予算・ホストネーションサポートが問題になる。防衛省も2010年1月、アメリカが二国間協議の場で増額を要求すると難色を示した。防衛省はこの削減を求めたが、2010年9月に中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船に衝突する事件で、防衛省はこの意見を引っ込めざるを得なくなった。日本の政府やメディア関係者の多くは、この事件がなければ削減が認められたと考えていると。

 政権交代で官僚同士が交流して交渉の行き先が予見できたことがなくなった。オペレーション・トモダチは、米大使館が日本の政治家や官僚と交渉し、米軍は自衛隊と交流するという従来の棲み分けを効果的に解体した。

 アメリカ政府は、日本の政治的優先課題と制約に配慮して、同盟関係の目的を調整しなければならない。ワシントンはDPJ政権と協調していくのは難しい」と考えているが、DPJの中国との火遊びはすでに終わっているし、現政権の利益認識はワシントンとずれることはなくなったと(菅政権のことですね)。

 民主党政権自衛隊の正統性を評価し、日本の平和維持活動、人道支援活動能力を強化したいと考えている。日本の主流メディアも、自衛隊を「グローバルな災害支援部隊」へと変貌させることを提言している。アメリカは、そうした活動能力を自衛隊が強化していくための装備と訓練をオファーすべきだろう。同時に、これによって自衛隊の戦闘能力が損なわれないようにする必要もある。

 日本政府は、ハイテク兵器をめぐるアメリカとの協力態勢を強化し、国防産業を立て直し、新たな兵器システムの開発コストを抑えるために、武器輸出規制の緩和も検討している。2011年5月、日米で共同開発し、主に弾道ミサイルの迎撃に用いるスタンダードミサイルー3ブロックIIA(艦対空ミサイル)をアメリカが輸出することに、日本政府が同意したことは、この方向での前向きの展開。だが日米には間違いなくより多くのことができる。

 日本に新しい政策決定システムが定着するのも、基地問題の合意形成も難しいと見るべき。いわんやその実行は言うも更なり。

 むしろ、どの基地と資産がアメリカにとって最も重要なのかについての判断を下すべきだ。例えば、嘉手納空軍基地は、(日本だけでなく)台湾、韓国にも、中国と北朝鮮に対する抑止力を形成する上で非常に重要なアセットだ。嘉手納は人道支援、災害支援を含む他の活動にも貢献できる立地と資産を兼ね備えているし、東南アジアヘのアクセスも優れている。台湾有事の対応拠点としても、嘉手納以外で選択肢を探せば、台湾からかなり遠くなってしまう。

 一方、この地域にとって海兵隊のプレゼンスがきわめて重要なのは間違いないが、訓練施設とインフラさえ適切なら、西太平洋のどこに拠点を持つかにこだわる理由はない。どこを基地にしようとも、海兵隊は想定されるいかなる任務もこなしていく能力を持っている。

 米上院のジョン・マケイン(共和党、アリゾナ州選出)、カール・レビン(民主党ミシガン州選出)、そしてジム・ウェッブ(民主党バージニア州選出)は、普天間の米海兵隊航空基地を嘉手納空軍基地に統合し、嘉手納の軍事資産をグアムや日本の他の地域へと分散させることを提言している。この案はたしかに斬新でクリエーティブだが、やはり問題を伴う。

 普天間にある航空機の多くは、沖縄にいる海兵隊歩兵部隊が利用するヘリコプター輸送を目的にしており、いわゆる空軍力の一翼を担ってはいない。問題は、普天間の機能を嘉手納に移動させれば、これら海兵隊用の航空機によって、有事の際にはより多くが必要になる戦闘機、爆撃機、戦闘支援機のため駐機スペースが奪われてしまうことだ。普天間基地移設をめぐる膠着状態を打開する他の選択肢を模索すべきだが、重要なのは、嘉手納空軍基地のこうした重要なアセットを損なわぬ形で、普天間基地の移転を実現することだ。

 とはいえ、沖縄における米軍のプレゼンスが持続不可能なものになってから、すでに長い時間が経過している。日米双方が2006年に合意したように、アメリカは今後も沖縄の海兵隊をグアムその他へと移動させるための努力を続けなければならない。海兵隊を沖縄から移動させても、ほとんどの緊急事態において作戦遂行上の大きな支障は生じないし、海兵隊の移動は沖縄県民にも歓迎される。東京への政治圧力も低下し、最終的には、日米同盟も強化されるだろう。 

 筆者は他の諸国との関係を深めて基地を移して、日本の基地を削減してより日米関係を強化すべきとして、次のように言います。

 ―ワシントンは日本の政治的ボラティリティと袋小路に迷い込んだ政策決定システムに配慮しつつも、アメリカの軍事プレゼンスを変化させる提案については、それが作戦行動上、そして同盟戦略にどのような意味合いを伴うかを詳細に検討しなければならない。ただし、何かを変化させるとしても、ワシントンは、それを、日本の政治的不透明さやボラティリティに対するペナルティとして行うべきではないし、ペナルティを課しているとみなされないようにしなければならない。

 むしろアメリカは、日本をより民主的にそしてダイナミックな存在へと変化させるであろう統治構造の変化を歓迎すべきだ。アメリカは日本に国益を有しているし、日本が困難な状況に陥った場合には、手を差し伸べる道義的な責任も負っている。しかし、いまや多くの国で国防予算が削減される時代に入っている以上、ワシントンはアジアにおける重要な目標を定義し、それに応じた関心と資源を振り分けていくことを考えるべきだ。

 ―と。以前取り上げたと思いますが(まだだったか?ちょっと忘れて自信ありません(^ ^;))、そもそも沖縄の基地というか、辺野古の新基地建設は米軍の一部の利権であって、そこまで戦略的不可欠性があるわけではない。日米同盟において、沖縄の基地というのはもはや政治を混乱させるだけにすぎないという議員の声もあるくらいですからね。上にあるように嘉手納に統合してあとは、外へ基地を移せばいいわけですね。東南アジアの何処かに基地を作ってもらうように金だしてもいいですし。

 まあ、道義的責任とかで説明して、日本の反米感情などに触れないところはあちらさんらしいですが、それはさておき、日本の民主化を後押しすべきだという声はこのようにあったわけですね。しかしそれが現実政治のルートに載って現れないという構造をもっと注目すべきでしょう。このような声を支援して、あちらさんの政治に反映されるような努力が必要でしょうね。

 そもそも日本はこの地域における最大のパートナーであるのに、その国の構造がどうなっているか知らないとはどういうことなんでしょうか?硬直的な官僚システムから民主化しようという転機において重要な同盟国がそれに手を差し伸べられないというのは、そもそもどういうことなんでしょうかね?日本どころか中国などにも基本的に無知・無理解なんですが、東アのこの構造は恐ろしいですね、基本構造・ベースが相互無理解ですもん。

 上でちらっと振れましたが鳩山が政権交代してトップになったとき、官僚を外して政治主導でトップで合意をつくるなど政治パイプがなかった。官僚外してそれで済むなら苦労しない、政治・外交の基本を知らなかったことは…ですねぇ。東アジア共同体構想についても、それをやることで地域の安定、米に対向するようなものではなく、その下部構造・補完構造をもたらすのだというようなことを説明できていればどうなったでしょうかね…。

 尖閣で日米関係、同盟の新しい試みが潰れたということを見ても、やはり石原さんの尖閣買う発言というのは、そのプロセスを破壊する一種のクーデターだったのでしょうね。これによって中国と関係悪化して一触即発で、基地問題云々やっている暇・交渉の余地がなくなってしまいましたからね。政権とって国政で何をやろうが手段として合法ですからいいですけれども、このように東京都知事という立場で外交問題を引き起こすのは論外でしょうね。内容のぜひはともかく、本来の権限を持った国政を脅かすのですからね。現代版関東軍といったところでしょうか。

 ―ということを考えると、民主党の漁船・巡視船衝突事件のお粗末な収拾策というのは中国のこと以上に、米との関係・交渉をまとめる上でのお粗末さと考えるべきかもしれませんね。

 そして民主党(DPJ)による政権交代が失敗して、もう二度とこの民主党を中心とした枠組みによる政権がないことを考えると、今後は民主党とは逆の安保・外交感の政権が登場、誕生すると見て間違いないのでしょうね。かのような外交感で米との関係をまとめられなかったことが、畢竟脱官僚政治家主導政治を成立させられなかったわけですから。そういうわけでやはり維新政権交代の主役になるのでしょうかね。

 要するに外交無知、既存の平和運動家の延長のような外交感を持った政治家、冷戦時代のような共産主義に近いような政治主張をするような政治家がいる政党では無理だったということでしょう。民主党自民党のカウンターパートだったことを見ても明らか、外交力学無知政党・政権では政権交代の失敗は必然と見るべきでしょう。

 同じく対米関係をうまく(?)進めている安倍政権がその脱官僚をうまく進められているとは全く思えないのはなぜなんでしょうかね…。