てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

議会政治と辞職勧告決議案の話

 小渕が政治資金規正法違反で告発されても大臣や議員を辞めなければならないという法律はどこにもない―というのを見てつぶやいたことなんですが、

 ―議員はともかく、大臣は参院で勧告決議出されたら、辞めなくてはいけませんよ。まあ、民主主義を知らない国民・政治家・報道…という状況なので、「憲政の常道」を踏みにじっても平気なのでしょうけど。普通の民主主義国家なら議会が勧告したら即大臣を辞任するでしょうね。

 と、つぶやいたんですけど、これ間違えましたね。「普通の民主主義国家なら」議員は辞任するってつぶやきましたが、そもそも「普通の民主主義国家なら」辞職(辞任)勧告決議案っていう制度が無いですよね、これ。小渕優子さんの政治資金の話の所で書いたように今の世の中の流れの憤りのあまり勢いで言っちゃいましたね。

 普通の民主主義国家なら、スキャンダルが余程のことでなければ、政権崩壊にまで至らない。問題を追求する過程、ルートがしっかりしていて、その白黒が問われるだけ。政権の運営とはまた別ということですね(無論、問題の質によって政権に絡んでくることはありえますが)。

 イギリスの最近の事例を見ると、スキャンダルを起こした閣僚でも、首相が守る!という意志を示せば、野党の追求などで議会運営に支障をきたすだろうけど、辞任しなくて済むケースが多いっぽいですね。アメリカは言うまでもなく、弾劾という過程に入りますね。

 アンドリュー・ジョンソンビル・クリントンそしてニクソンですかね?弾劾裁判に至ったのは。前二人は無罪で、言うまでもなくニクソンは辞任で中止。一応、上院議員が弾劾されたこともあるけど(上院の除名による棄却)、議員を対象にできるかは議論があると。

 陸軍長官が弾劾されたこともあるが、これも無罪と。とするとなんでニクソンの時は彼の辞任で司法委員会は弾劾を止めたんだろうか?大統領の権威に傷がつくからか?ちょうどデタントの時だったし、あまり失脚みたいな印象を与えると対ソ外交に影響があったからかしら?

 まあ、いずれにせよ、議会が議員、ましてトップの大統領を裁く弾劾などのプロセスにおいては、その有罪判決は滅多にない。極めて慎重になるし、そうあるべきだということでしょうね。極めて理性的、公平・公正な判断かと思います。これ、ひょっとしてマッカーシズムの教訓もあるのかしら?

 contempt of Parliament議会侮辱という観念もあるみたいですね。あんまり英政治だと今はそういう論理は薄いようですが。これがカナダだと日本で言う「辞職勧告決議案」に近い意味合いがあるようですね。ビバリーオダという日系政治家が汚職疑惑でこれを受けています。

 Wiki情報だからあてになるかわかりませんが、まあこれで辞職と。しかしどうも辞職しなければ議会が動かない!政権が崩壊!というものではない気がしますね。ヴェトナムの反政府ゲリラFULROとの関係が汚職以外の外交戦略上の意味があったんでしょうかね?

 ―で、結論として辞職勧告決議案という大臣のクビ取りゲームというのは、どうも韓国における大統領弾劾のような、国内政治の正義を追求する歪んだ日常倫理の暴走という感じでしょうか?言うまでもなくマキャベリが主張したように政治倫理と日常倫理、善悪は峻別せねばなりません。

 マキャベリが説いたように、近代政治学では日常倫理と政治倫理を区別して考えます。通常の道徳、善悪といった価値観念を政治に反映させてもうまくいくとは限らない。場合によっては悪こそ正解になる、政治倫理とは結果責任であるというのが近代政治学の一つの基礎ですね。

 で、そういう基礎から欧州政治制度というものは発展していったわけで、そこに善悪とか、日常倫理を持ち込むことに自然と歯止めがかかるわけですね。ところが、韓・日の政治とか見るとそれがないわけですよね。司法が行政に命令を下したり、辞職勧告決議案が乱発されたりするわけですね。

 「憲政の常道」上、議会の権威を守らなくてはならない。故に辞職勧告決議案は守られなくてはならない。ですが、辞職勧告決議案という制度そのものが、日本の短命内閣という問題を考えるとかなり問題があるシステムですね。問題のある大臣を辞めさせても政権が崩壊しないようにしなくては制度にまずい。

 任期制を導入して、政権が選挙まで何があっても壊れない、議会で運営が苦しまないようにするか。それとも(議会に大臣の罷免権を認める)辞職勧告決議案という慣例をなくすか、せめてどちらかにしないといけませんね。大臣のクビを取ることに意味があるとはそんな思えませんが…。どうしてこんな大臣の首取りゲームに熱中してしまってるんでしょうかね…?

 まあ、要するに今の立憲政治、政治制度は限界が来ているということでしょうね。憲政が事実上破綻していますからね。「辞職勧告決議案」という悪しき慣習も正式な「弾劾」プロセスによってカバーされる必要性があるでしょうね。

 あ、そうだ。アメリカのニクソンの事例、大統領の辞任によって議会が追求を辞めたというケースは、田中角栄のそれを連想させますなぁ。米は議会であり、日本は検察であるということで性質がまるで異なるのですが…。最高裁控訴棄却ですしね。少なくとも検察の手から政治家を「弾劾」出来てしまうような今の制度は何とかしなくてはいけないでしょうね。せめて議員同士で、もっと好ましいのは国民の署名とか数で「弾劾」プロセスに至ることでしょうね。