てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

黒人青年を射殺した警官不起訴で全米デモ

黒人暴動と罰金社会
ティーパーティーから考える米:改革能力・新しい理念不在
―のはなしの続きみたいな感じで、ちらっと書きます。昨日更新したと思ったら忘れてましたのでこんな話を。

 黒人青年が射殺された背景には罰金で行政を成り立たせているいびつな構造が背景にあって、それで黒人が狙い撃ちにされている。結果こんな暴動に発展したということを以前書いたわけですが、その警官が不起訴になったと。裁判の結果有罪・無罪の以前の段階でどうしてこうなってしまったのか?なかなか理解し難い不思議な話です。

 周囲の証言では黒人青年が抵抗の意思を示していなかったのに射ったと。本人は抵抗されたので身を守るためにそうせざるを得なかったと証言していますけどね…。銃社会である以上、こういうことは必ず起きる。相手が武装をしている可能性がある。だから先手を打って銃で相手を射つという発想になる。

 しかも警官は罰金で憎まれているがゆえに、尚更怒りが湧くハードルが低くなっている。何らかの拍子で頭にきて取り調べの対象になっている人間が警官に暴力をふるってもおかしくないという背景があるんですからね、そりゃ普段から白人警官はひょっとしたら自分はやられるかもしれないという恐怖感を抱いて任務に就いているでしょう。白人は恐れ、黒人は憎む。そういう基本図式を根底に変えない以上、ずっとこの問題は起こり続ける。そしてもう何十年もずっとこれは同じで変わっていないわけですよね。

 日本の変えられなさ、学習の出来なさを指摘している米の学者さんがいますが、自分の国の人種差別構造について指摘されたらいかが?と言わざるをえないですよね。

 要するに社会構造・制度に限界が来ているわけです。人種差別をなくすために、銃をなくすためにどういう社会を作るべきかという発想がない。黒人は知能で劣るとかそういう話をして、だからどうしようもないんだと問題から目先を逸らして満足してしまうような現状がある気がしますね。

 ローマ帝国によく例えられますけど、というかローマに例えて歴史の教訓を見出そうとするのが歴史学政治学の常なんですけども、ローマは能力を尊び人種差別等決してしなかった(まあ決しては言いすぎなんですが)。能力を発揮させるためにどうするか?人種・文化の混交により「アメリカ人」「アメリカ文化」「アメリカ教」という新しいものを作り出す試みがない。依然として白人優位社会ですからね。彼らが率先して白人が人種層というもので社会の上に君臨し続けるような図式はアメリカのためにあってはならない―なんてことを主張しませんからね。

 白人が依然として好まれるのはMLBで言うとジーター、この前ちらっとWWE(あちらさんのプロレスのことね)やってるのを見かけましたが、スターは白人。黒人やアジア人がその座に就くことはありえないでしょう。まあそうじゃない文化もあるので、それを見て白人優位性といういびつな構造がある!と指摘するのは不適切かもしれないと思うのですが。そんなにMLBWWEも詳しくないですし。俳優や社交界は依然として白人のものという印象ですし(まあハリウッドとかそういうの興味が無いのでこれも自信ないんですが)。

 アメリカがどうなるべきか!どうあるべきか!という新しい理念を模索、提唱するとき、建国時の保守理念しか出てこない。実力競争しとったらええんや!社会福祉なんかいらんのや!みたいな先進国にあるまじき時代錯誤なセーフティーネットの乏しさなどリンクの「ティーパーティーから~」で論じましたが、今回のデモで暴動が起こったり、結局こういった歪な構造は変えられないでしょう。変えるためにはどうするか!という発想が根本的にないですからね。

 そういう意味でChange!を訴えていたオバマを選んだのは正解だったんですけど、彼もあまり政治能力がない。議会が彼の主張を積極的に取り入れて、協力するという感じでもないですからね。トップを選んでも、それをサポートする議会・議員のレベルがまるで整っていない。すなわち国民の意識もその程度ということでしょうか。

 というかそもそも広すぎるしデカすぎる。いくつかの国に分離してそれぞれの課題にあった政策を実行できるようにするとか以前から書いてますけど、一部を米特別州にでもして、そこは事実上の黒人独立国にするとかで、色々なテスト・大規模な実験をするくらいではないと、有効な解決策などを見いだせないのではないでしょうか?

 銃も人種差別も暴動もなくならない、これで果たして世界一の大国だ!といえるんでしょうかねぇ…。唯一の希望はデモでこういうことはあるべきではないと若者、中年問わず、白人も人種差別はおかしい!と声を上げていたことでしょうか?

 この問題に積極的に取り組む!と、オバマさんが言うのと言わないとでは説得力がまるで違ったので、本当オバマさんでよかったですね。これまでの大統領にはそんな説得力はなかったでしょうからねぇ。この黒人暴動がオバマさんの支持率、彼に任せよう!とか求心力を高めるようなきっかけになるのかもしれませんねぇ。

 国防長官ヘーゲルさんだったかな?路線対立で更迭されてましたが、本当戦争好きですよね。戦争したってISISは駆逐できない。してもまた違う過激派勢力が来るだけ。イラク戦争の教訓はどこ行ったんですかねぇ?そういやイラク戦争は2003年、もう10年も経てばそりゃそうなるか。喉元すぎるには十分な時間だったんですかね…。

 ※そうそう、この黒人暴動は日本の移民議論に影響をあたえることになるんでしょうか?英でも連鎖して暴動が発生したとありましたし。英米と日本の同盟国・圏で同じ構造の事件が発生したのは興味深いことです。社会構造は米英型になりつつある、格差の拡大が激しいことになってきているわけですよね…。貧困層が「自分たちの貧しい境遇からどう頑張っても抜け出せない」とブチ切れて、暴動が発生するような社会になったりするんですかねぇ…。まあ貧しさから抜けだそうというよりも、二流日本人とか卑下した上で暴れたり、われこそは真日本人!お前たちは偽物だ!的な主張によって暴れるという感じになるんでしょうか…。