てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

橋爪さんなど消費税増税論の高まり

経済団体が消費税増税を指示しているが、それは消費を抑制することを意味する。設備投資とは消費増を見込んで行われるもの。となると設備投資も当然増えないことになる。それでどうやって経済成長を行うのか?増税で成長なしなら税収は減って財政再建など不可能。財政再建のための消費税増税なのに、本末転倒である。

 ―とまあそんな指摘を拝見しましたが、その通りのような気がしますね。そもそも経済成長を押し下げる増税財政再建は矛盾する。消費税増税で経済成長というのは無理がある。いわゆる第三の矢、新産業でも興こして新しい分野・業界が生まれてその人達がウハウハになって、そこで生まれたマネーが社会全体に波及するようなことにならない限りありえない。

 今の安倍さんの経済方針で新成長戦略がないと言われて久しいですが、それ故にまず成功しないだろうとみています。

 ―で、そんなことはもう何回も書いてきたのでいいのですが、消費税増税を強力にプッシュする言説を見て、意外に感じたのでちょっと書いておきたいと思いました。

 どうも日経新聞で。「消費税を35%まで上げるべきだ」と橋爪さんが主張したらしいですね。経済学者の小林慶一郎慶大教授との本『ジャパンクライシス』。ここで話し合った結果、そういう主張になったようですね。今のまま国債の大量発行を続ければ、10年もしないうちに買い手はいなくなる。日銀が買い支えるしかなく世に出回るお金はどんどん増える。やがて物価上昇が止まらなくなりハイパーインフレが起こると。

 小林氏いわく国債残高の膨張を抑えるには35%必要だと。橋爪さんいわくこのままだとドイツで起きたハイパーインフレのようなことになってナチスが生まれたようなことになると。黒田総裁はハイパーインフレは生じないと繰り返すが、小林氏は「今のように税収が歳出の半分という財政構造が続げば、どこかで大きな調整は避けられない。ハイパーインフレ以外の具体的な出口は想像しにくいとのこと。


 しかし今でさえ四半期で-2%ですからねぇ。消費税増税は10%までが限界ではないでしょうか?それに軽減税率導入があるので、到底税収増のインパクトはそこまで期待できないと思います。機構改革・構造改革で歳出削減が先に来ると思いますが…。

 ツイッターでよく拝見する社会学者の稲葉振一郎氏が時々橋爪先生について批判をしています。『国家緊急権』で財政ネタ以外にきちんと文献サーベイしたという割に、邦訳もある基本書クリントン・ロシター『立憲独裁』がリファーされていなかったとか。

 確かに『国家緊急権』面白いことは面白かったけど、ちょっと粗いなぁという感想もありました。『おどろきの中国』を読んだ時、かなり乱暴・粗い論述があったし、そういう傾向がかなり出てきているのですかねぇ…?橋爪先生(あとルーマン理解が怪しいとも指摘されていましたね)。

 そういえば、「大澤真幸氏は言わずと知れた社会学者で優秀な学者。その彼がストックとフローの違い、BSとPLの違いが分からない」というのも見ました。社会学を正式に学んでないから、あれなんですが。大澤さんって言わずと知れた社会学者ですかね?有名な論文実績ってなんかあるんですかね?確かセクハラで首になってなかったでしたっけ?あの人。ナショナリズムやってた頃、本読んだだけなんだけど、正直「?」な感じでしたけどね。

 社会学者ってみんな増税派なんですか?というのを見て、上のような指摘も見て、やっぱり大澤さんも同じように増税を言ってるんだろうな~と思ってググったらそんな記事が書いてありました。別に内容を紹介するまでもないのでリンク貼りませんが。最初は橋爪さんよりもこの大澤さんの意見を先に見たんですね。んで、逆算して橋爪さんももしかしてそういうこと言い出したのか?と気になっていました。大澤さんは橋爪さんのおヒキみたいになってますし、やっぱ橋爪さんも消費税30%とか言っちゃってるんかなぁ…?―と思っていたら、やっぱそうなっていました。

 上野千鶴子さんも同調してたみたいですね。橋爪さんの影響かな?共著を引用して紹介していましたしね。納税・増税は福祉に跳ね返るから、反発する民意に疑問というふうな感じの文でしたけど、上に書いたように増税すれば税収は減ってしまうから、無意味なんですよね…。要するに消費税ではない経済成長に影響のない増税を考えなくてはいけないのにねぇ…。結局は構造改革ですよね、「どこから取る」というプラマイ発想では絶対に財政再建なんて無理です。

 橋爪大三郎氏、上野千鶴子氏らが批判されている。小林慶一郎氏はシカゴ大のPhDを持っている「専門家」の意見を信頼するのは別におかしくない。批判すべきは小林氏の論理の方。何故他の経済学者の意見より彼の意見を正しいと判断したのか?という批判をすべきでは?

 ―という意見を見ましたが、同意ですね。もちろん、己はこの判断が間違っていると思うので、その正しいと判断した理由は厳しく突っ込まれるべきだと思いますが。今回のことでツイッターで度々起こる社会学社会学者批判があったので一応それについての見解を載せておきました(^ ^;)。上野さんが消費税増税賛成ということは弟子の古市さんもそうなるでしょうから、また有識者なんとかで出てくることは間違いないでしょうね。

 いずれにせよ財政再建増税議論が起こっても、消費税に絞ってここまで極端にバカスカ上げろ!とはならない気がしますけどね。


 「今回の総選挙では、各党が怖くて口に出せないでいることこそ、本当の争点である。増税。待ったなしの財政再建」 >〈総選挙 私はこう見る〉「増税から目を背けて、墓穴を掘る」 橋爪大三郎thepage.jp/detail/2014121

 Webで見られるのはこれくらいでしょうか?明確に消費税増税だ!って立場を打ち出していますね。そういや橘玲さんも20%だ!とか言ってたっけ。橘玲さんが消費税増税は財政の専門家の常識、20~25%にしないと財政健全化は不可能みたいなこと書いてたけど。消費税増税で経済そのものがシュリンクして税収が減っちゃうのに常識だとは到底思えないですけどね。まあ少なくとも日本のようなすべての商品に一律に消費税をかけるやり方は絶対おかしいと思いますしね。

 それより役所のスリム化とか規制緩和での経済成長の方が常識のような気がしますがどうしてそれが言われなくなってきたのでしょうか?どうしてその声が上がらなくなってきたのでしょうか?「規制緩和構造改革疲れ」なのでしょうか?

 橋爪さん、橘さんと己がそこそこチェックして読むような人が二人だけですが、こういうことを言い出す。消費税が言われ出すってことは、なんかしらのインサイダー筋からそろそろやばいぞということが、伝わってきたんじゃないですかね?宮台さんもなんか何年から先に財政破綻するしかないから、官僚が見通しを立てられなくなってるみたいな話していましたしね。

とりあえず著書をメモ。さていつ読めるのやら…。
ジャパン・クライシス:ハイパーインフレがこの国を滅ぼす (単行本)/筑摩書房

日本破綻を防ぐ2つのプラン (日経プレミアシリーズ)/日本経済新聞出版社

日本経済の罠 (日経ビジネス人文庫)/日本経済新聞出版社