てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

三浦瑠璃氏の「平和のための徴兵制」

日本に平和のための徴兵制を(by三浦瑠璃)blogos.com/article/93190/

 敢えて今民主主義諸国で徴兵制を採用することで戦争のコスト(血を流すというコスト)を上げる、それによって開戦に対して抑制的になるという話。徴兵制が平和にプラスに働いている実例として韓国とイスラエルと。韓国では民主化後もこれによって北朝鮮からの攻撃に極めて自制的に対応しているし、イスラエルでは予備役兵が血のコストを避けるために平和運動に熱心である。また無謀な、不合理な軍事作戦かどうかチェックする機能を果たしていると。

 「平和のための徴兵制」という言葉が誤解を招きやすいのかも?平和にするというとなんか気持ちの問題みたいに読み取れちゃいますからね。人間の心情・信念ではなく、外交的選択肢として、軍隊動員の選択肢を小さくする。そのコストを高くすると書いたほうがベターでしょうかね?韓国の場合、軍事力の調達手段と見てましたが、統制権以外にも国内の強硬論封じ込めの意味合いがありましたかね。

 そういう意味では、韓国が徴兵制を廃止してしまった場合、違った問題が起こりそうですね。対北強硬論が高まって軍事制裁やむなし!となった場合、戦時統制権の存在でそれが出来ない―となったら対北の問題がそのまま対米に転化する。そこで対米関係でゴタゴタするような気がしますね。

 戦争やれ!とか若者を鍛えるべし!的な立場からではない徴兵制ですか。いわばナショナリズムを封じ込めるための「徴兵制」ですね。主張はわからなくもないんですけど、そんなことしなくても戦争・軍隊派遣の選択肢がほぼありえない日本ではコストのほうが大きいので、どうかな?という感じですかね。論の正しさ云々以前に戦争に対する忌避感が強いですし、更に徴兵制というコストを担え!と言われたら、そんなもん担うのなら開戦拒むから勘弁してけろ―ってな感じになりそうなものですが。

 あと、民主国の視点から論じられていますが、それで日本サイドの問題は解決されても、肝心の相手の視点がないのも疑問ですよね。中国がそれについてどうリアクションするか含めないといけないのではないでしょうか?言うまでもなく非民主国の中国をメインとして論理を構築しなくてはならないでしょうし。

 「徴兵制」が中国の軍事力行使のリスクを上げて、紛争リスクを低下させるなら選択肢として浮上してくるでしょうし、逆に中国の反日メンタリティに火をつけて中国の軍拡を招くという可能性もありますからね。その要素を論じないと片手落ちになる気がしますね。

 じゃあなぜ、欧州各国が徴兵制を廃止していったのか?という話になるわけですが、EUの場合は域内紛争が軍事力行使になることをもはや想定していないからこそ、徴兵制廃止した。その流れが生まれていったという感じですよね。彼らにとってはおろこな決断・決定で誤った軍事行使&失敗というのは考えにくいですからね。

 ちょこちょこ域外で軍隊派遣の動きがありますから、問題はそちらでしょうかね?EUとして大軍を派遣・展開する必要はないし、すべきではないということと深く関係しているのでしょうか。

 関係ないんですけど、徴兵制といえば近代化における軍隊の機能の話を連想しますよね。近代化・国民国家化には軍隊が大きな意味合いを持つ。ゾンバルトが言うように、軍隊が資本主義・民主主義に不可欠な近代教育をもたらすと。今の徴兵制廃止の話は近代教育の役目を終えたということでもありますね。

 それこそ途上国の近代化と軍・軍隊は切っても切り離せないわけで。そういうことを考えると、今のイスラム国や過激派などの軍隊というのは非正規戦前提なので、近代化に貢献する度合いが著しく低いんじゃないかな?とも思わなくもないんですよね。そこら辺はどうなんでしょうかね?

 後々、気づきましたが、この議論は米、イラク戦争のそれだったんですね。2003年のイラク戦争では、専門家の分析で「やめるべきだ」と助言があったのにもかかわらず、政権や国民が無視して始めた。「シビリアンの戦争」という一面があった。これは戦地に行くことのない国民が兵士の派遣を判断するという事情が大きい。だからこそ三浦氏は血のコストを実感しない国民が安易に戦争を選択する可能性をなくすべきだと。

 ―三浦氏はイラク戦争の事例、アメリカをターゲットに論じていたわけね。それなら理解できますね。日本に話を広げたのはあれですけども。まあでも本質はアメリカ人の国際情勢への無知・無理解と好戦性というものにあるので副次的な対策であり、本質的な対策とはいえない気もしますけどね。

 しかし民主主義本場の米で文民統制が機能せず(文民が誤った判断でコストのつく間違った戦争を決断)、徴兵制を導入することで開戦のリスク・コストを高めようと模索するのは、皮肉としか言いようが無いですよね。デモクラティックピース論を語る人には是非真正面からこのテーマを論じて頂きたいですね。

 しかし、この話題が知らないところで盛り上がってるのかな?と「徴兵制」で検索したらそうでもなかった。しかし徴兵制でつぶやいている人が結構多いんだなぁ、定期的に徴兵制ってつぶやかれる話なんだなぁ~と違うところで驚きましたねぇ。