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てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

ISISの誘拐・人質事件に政府はどう対応すべきか?

人質事件で身代金を払うべきか、国家はどうすべきかという話について一言。

 テロに屈しない!と言いながら自己責任論で人質を見捨てるのは、無責任な国民の思いつきでしかありません。一般人の感覚としてそういった発言をするのならともかく、近代国家の論理として同国人を見捨てることはありえないので、政府の人間がそれを唱えることは本来、ありえない・許されないことでしょう。

 国民身体・生命・財産を守るのは国家の責務であり、言うまでもないことです。国民が危険な地域に自分から乗り込んでいったから、自己責任という論理もまたおかしなものです。傭兵はその枠外にあるとしても、ジャーナリスト・報道の使命というのは、危険を犯していくものだからです。どこかの小国であるならともかく、極東の大国が報道なんかいりませんなんてバカな論理を振りかざすのでしょうか?報道の世界でもそのような論理を持ち出すのでしょうか?メディアの自滅行為だということに気が付かないのでしょうか?

 傭兵についてはともかくとして、ジャーナリストのお方は、プロであってちゃんとした使命感があり、キャリアもあって、きちんと準備をして現地に行った。それが現地のガイドの裏切りにあって人質になったという話でしょう?その人に自己責任論を唱える神経が己には理解できませんが…。

 では、今回紛争地ではないアメリカかどっかでISISの尖兵などがテロを起こして一般人が誘拐されたとしても、同じように「自己責任論」を持ち出すのでしょうか?

 例えば、ハイジャック事件などのようなもので、人質の安全のために身代金を渡すべきではないとか、突入作戦は人質の人名が多く失われるからするべきではないとか、そういうのはケース・バイ・ケースで一概には言えません。その時の状況によっては人命が失われることもやむなしで決断を下すことは十分にありえます。

 そういうときに人質の命を最優先しないという決断は当然ありえます。しかし今回のケースでは、「自己責任論」だから助けるべきではないということを言うべきではない。ただ、政府は最大限の努力をしてほしい、それだけで十分なわけです、余計なことをあれだこれだ言って迷わせる必要性はどこにもない。

 国民・一般大衆が自己責任論を言ってしまうことはかなり矛盾していないでしょうか。多くの日本人の中流以下は同じような自己責任論を振りかざされると自分の状況が不利になる、そういう現実があるのに自己責任論に賛同してしまう人が多いのは一体どういう了見なのでしょうか?

 また仮に身代金を払って解決をする手段を選択したとしても、「取り戻して」良かったね、ハイおしまいには当然なりえない。身代金を払うべきだ!という主張と、自己責任だ!というシングルイシュー化されてそうで怖いですね。そんな単純・短絡視されたら困る問題なのですが…。

 邦人をどう救出するか?その成否でハイおしまいと、この問題を捉えているとしたら、見当違いも甚だしい気がしますね。問われているのは外交のあり方なんです。どういう手段を持って人質を救出するか、あるいは交渉自体をしないのか、問題はその後の行動・外交方針にあります。

 金を払ってテロリストと交渉する。そういう方針を取れば、当然G8などでの合意に逆らうことになり、非難を浴びます。浴びないにせよ、外交姿勢・能力を疑われることは間違いないでしょう。ただし、そのあとでさらにISISを潰すために一段と協力するのか、それとも中東情勢・対ISISから手を引くのか、ということが問われます。

 身代金を払って交換する、もしくは交渉せずに殺される。―結果軍事制裁手段に至るかどうかが問われます。

 一度、日本政府に誘拐ビジネスが通じてシメシメと思っていたら、軍隊が派遣されてきて痛い目を見た。殺害後、軍事制裁で血の報復をもらった。だから次は日本人をターゲットにするのはやめよう―問われているのはここですね。

 身代金を払って、人道支援止まり、もしくは払わずに人道支援止まり、払わず軍事制裁・血の報復…いくつかの選択が予想されますが、その後の政策が今後の人質誘拐のリスクに関わってきます。

 ロシア人はチェチェンのテロ対策で力で「血の報復」で臨んだ。これによりロシア人がターゲットになるのはなくなったという実例があります。ISISとの戦いというのはそういう路線・方針に足を突っ込むことを意味します。

 今回の事件は、日本外交に大きな影響を与える可能性が高いですね。武力行使・軍事制裁と言うものへの考え方に大きな影響をあたえることになるでしょう。