将棋の電王戦 「角成らず」で人間の勝利
※ボードゲーム枠ということで、スポーツの枠で別館にもっていこうかな?と思いましたが、面倒くさいのでこっちに転載。
ちょっとした小ネタとして将棋の電王戦の話を。将棋はルールを知ってるくらいでそんなにやるわけではないのですが、いろいろ面白い事があったのでそれについて。
コンピューター相手に「角成らず」の一手で、コンピューターが理解不能状態になって手をさせなかった。それにより人間棋士が勝つというものがありました。終盤であり、ほぼゲームが決まっていたところでの謎の一手。これはそういうことが起こりうると読みきっての指し手だそうで、ちゃんとそれすらもプログラミングしないとコンピューターが人を超えたとは言えないでしょうね。
将棋の駒というのは、相手の陣地に入ると「成」というものがあって、駒がパワーアップするというルールが有ります。ほとんどの駒が金に変化をする。特定の場合をのぞいて、「不成」という手を選択することはないゲームなんですね。金になれば有利になることのほうが多いですから。
角と飛という駒は強い駒であって、成ることで更に強くなるという性質を持っています。銀が金になると斜め後ろに行けなくなってしまうから成らないという選択肢がありえないこともないですが、角と飛の場合そういうリスクはないので、成らないという選択肢ははほぼゼロです。
例外的に「打ち歩詰め」という反則を避けるために駒を成らずにおいて、王の逃げ道を確保してそこから改めて詰める、王手をかけるということもあります。実際にあえて逃げ道を作ってそこに誘導する、「角成らず」で詰めたケースもあったとか。
それはそれとして、今度は20手くらいの早い序盤で同じようなことがあったとかなかったとか。それについて物議があったのか、まあいかがなものか?というコメントが有ったのでそれについてコメントしたいと思います。
否定的な人は、プロとは夢を与える仕事なのだから、正々堂々と勝負して、子どもたちに夢を与えるために人間の、プロの凄さを魅せつけるべきだ!けしからん!という意見でした。肯定的な人はプロとしてのメンツがある。負ければ機械に負けた人だと後ろ指さされる。そりゃ機械が未熟であって、付け入る所があればそうするよ。そらそうよでした。
個人的には、プログラミングの段階で「ロス」と判定して「成らず」を排除してしまった段階で大問題だと思うので、改めてプログラミングを一からやり直すべきだと思いますね。そんなプログラムで人を超えたとは言えませんからね。要するにコンピューターVS人間の妙を楽しみたいからやってるわけですからね。
ありえないことでも、ルール上合法なことに対処できないというのはミス以外の何物でもないでしょう。一つの指標として、「成らず」を有効な場面以外で乱用しさえしなければ、人間にも勝てるという指標も成立するのでしょうけどね。
まあ、子供の夢が云々も一理ある気がします。そこら辺はHR競争の終盤の敬遠に通じる話かと思います。こういう物議を醸す、議論を呼び起こすこと自体が電王戦のあるべき姿といいますか、将棋界に興味・関心を持ってもらうことにつながると思うので、それ自体本来の目的を果たしているといえるのではないでしょうか?
昔将棋の特集番組で、有効では無い無駄な手をあえて指すことで、相手の勘を狂わせるというのがありました。コンピューターも有利な手を事前想定して計算するでしょうから、途中無駄な手が入ってもまるで動じることなく再計算して指せれば機械が勝つ日がくるのでしょうね。
そうなればプロサイドもプログラミングを計算して、「いかにコンピューターが混乱しやすいか、嫌がる一手なのか」ということを計算するような時代になるでしょう。それもまたひとつの見所になるのかもしれませんね。