てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

臨時会召集拒否?憲法53条無視の暴挙

  ネタがなくて困っている時に、またまたネタを提供してくれたようです。まあ、まだ未遂ですが。

 TPPの合意や内閣改造臨時国会召集を野党が求めた所、与党は首相の外遊などを理由に消極的な対応をとったとか。これで結局53条の規定による両院どちらかの四分の一以上の議員の要請によって、臨時国会召集の手続きに入ると。つまりどっちにしろ臨時国会自体はやらなくちゃいけないに決まっているわけですね。
 それに対して、また例の官房長官臨時国会召集の要請があってもやらなかった事例があるとか、ムチャクチャを抜かす事態に陥っているとか。単なる交渉・駆け引き上のセリフにしても拙い説明ですね。

 というのも、臨時国会というのは要求されたら基本的には絶対やるものなんです。Wikiにあるものなんであれですが、04年まで要求されて32回召集している。やらなかった例外というのは、たった1回だけです。03年に召集が拒否されたケースが存在します。

 では、なんでやらなかったか。拒否されても対して問題にならなかったかといえば、03年の例は11月の月末であり、すぐ1月の常会が始まるから。一ヶ月の間しかないのでまあ良いでしょうということになったわけですね(実際はその間に重大な事があって野党もそれにちゃんと同意したかなど詳しい事情背景はわかりませんが)。

 しかし今は10月半ば、11月末の前回とは1ヶ月どころか2ヶ月近い間があいてしまうわけです。じゃあやらない訳にはいかないでしょう、普通の感覚からいって。そもそもやりたくないのならば、野党との信頼関係を築いておけという話ですし。

 臨時国会は最短記録が3日であるとか。まあ日程スケジュールの都合があって何日国会に割けるかわかりませんけど、安保法案などで丁寧な説明を求められている時、最大限野党に配慮するのが普通の感覚でしょう。相手がアホで、説明するのが無駄だとしても、国会・議会政治ってのはそういうものですからね。相手がアホでも説明するプロセスを必要とするもの。まあ、その「アホ」認定が憲政・議会政治においてどれほど危険かは言うまでもないですし。

 無駄だろうがなんだろうが、しっかり時間を割いて説明すれば、丁寧な説明をしたというアリバイも作れるのですからさっさとやればいいのに、意味がわからないですね。仮に賢い政府・内閣VSバカ野党だとしても、これは絶対やらなくちゃいけない。選挙でそのバカあるいはヒトラーのようなリーダー率いる政党が出てきて与党になった場合、歯止めをかけるために立憲プロセスはあるのですから、そういうプロセスを蹂躙するのは許されない。

 臨時国会一つで、危険な政権の暴走を抑止できるとはいいませんけど、そういう抑止制度の現れの一つですからね。そういった保険機能を壊そうとしているといえば、そのリスクの大きさはよくわかると思います。*1まあそんなこと言わなくても、普通内閣改造したら、さっさと国民に説明・決意表明を伝えようと思うでしょうけども。

 この期に及んで、憲法53条を無視した!というそしりを率先して受けたいのでしょうか?憲法学者にただでさえ嫌われている今、ますます攻撃される材料を自ら増やしてどうするのでしょうか?誰が、いつ、何をするかということで政治上持つ意味が変わってくるわけですが、これが安倍政権で行われるとなれば、確実に憲法53条を無視した!と強く非難されるのは間違いないでしょうね。

 ―ということになると野党サイドはますます憲法裁判所のようなもの、システムの導入をすべし!という方向になるかもしれませんね。となると憲法改正不可避なので、いずれにせよ憲法改正プロセスは避けられないでしょう。まさかこれが狙いだったりして!?だとすると大した戦術ですね。


 ※追記、上で1回と書きましたが、召集されなかったのは過去2回あるみたいですね。上で書いた03年の事例、つまり04年の常会の前ですが、もう1例06年の常会の前というのがありました。06年つまり05年の年末には常会から80日ほど間隔があった。つまり日程間隔の問題ではないですね、これ。上で一般的感覚で云々書きましたが。

 この二つのケースとも、03年と05年の衆院選の後の特別国会の最終日の要求でした。さらなる討論や説明を望むという、臨時国会召集要求だったために開かなくてもよいとされたケースだったわけですね。つまり衆院解散後に必ず召集される特別国会・特別会があって、それが臨時会と似たような機能を備えている以上、必ずしも二度国会を開く必要性はない。少なくとも内閣として国会要請の義務を二重に果たす必要はないとみなされているわけですね。自分たちから審議にかけたい事案がないなら。

 そりゃそうですよね、特別会と臨時会紛らわしいのでいちいち区別する必要あるのか?という気がしますが。まあ機能としては近しい物があるので、特別会を開いた時には、セットで普段臨時会で行われることも一緒にやってしまうわけですね、慣例では。

 いずれにせよ、臨時会を開かなくても良いケースというのは、特別会を召集したあとであったから。内閣としても選挙後で色々な後始末だったり、新政権の準備だったりゴタゴタしているわけで、そういう時に臨時会やらなくてもいいという名分があるわけです。今回はどう考えてもそういうケースではない。明らかにケースが違う。そういう前例がないことを勝手にやってはいけない。何考えているんでしょうかね?ホント。

※こっから別枠で書いた。続編です。めんどくさいのでまとめて掲載です。
  追記で書きましたが、まあいちいち、追記を読んでくれる人なんていないでしょうから、おさらいとして、もう一度書きますが、臨時会というのは要請があったら必ず行わないといけないもの。どっちかの議院の4分の1の要請において行われるとあるように、極めて低いハードルが設定されていることからも明らかですね。

 普通は年に一回は必ず臨時会を開くものと考えるべきなんですね。少数からなる足並みの弱い連立与党だって4分の1のハードルがクリアできないなんてありえませんね。というか内閣は臨時会を召集できると規定されているように、国会に諮るという内閣の機能・権能の一つ、その内閣が特にやりたくないとしても、内閣に極めて低いハードルで、少ない議員で強制的に開かせることが出来るという意味合いから、その意味することは明らか。内閣に野党が国会でツッコミを入れられるという意味がそこにはある。

 ※裏を返すと4分の3を超えるような巨大与党だと、この臨時国会すら開かずに政治日程を組めるわけですね、まあ非現実的な話ですけど。

 で、これまでに2回臨時会の要請があっても開かない事例があったんですが、それはいずれも翌年すぐ、常会が始まるという事情もあったが、基本的な理由としては解散総選挙で特別国会・特別会が開かれた後だったから。特別会を行うことで臨時会の機能は果たせる、特別会で延長すればいい話ですからね。

 にもかかわらず、合理的な期間内に常会を召集するからいいでしょ?という理由でゴリ押ししようとしている。これでは選挙がない年だから臨時会で再び質問するから、常会での延長での会期は少なくてもいいか…と見積もっていたら大変なことになる。合理的な期間内に常会が召集されるから~なんていう学説がこれまで存在したのか?極めておかしな話だと思いますね。


 んで付け足して書いておこうと思ったのは、聞くところによると、自民党改憲案で臨時会についての規定はこれまで通りだとか。え?自分たちの改憲案で臨時会は要求されたら開くものなんですよ?と書いといて、そう説明しといて、都合が悪くなったから、「合理的な期間内だから~」と後付で処理するの?と思われますよね。

 自分たちの改憲案でせめて合理的な期間内であれば召集されないんですよ、とか説明しておけばわかりますがそうでもない。いずれにせよ憲法というものを軽視している証拠でしょうね、臨時会一つ内閣の意志で放っておいてもいいものと軽く考えているわけですから。


 もう一つ書こうと思ったのが、臨時会では補正予算が組まれるが、その補正予算を臨時会で行わないことで、常会にずれ込ませる。それで2016の参院選選挙対策にしようという話を聞いたので、それについて書いておこうと思いました。

 なるほど、臨時会をあえてスルーして、その補正予算を翌年に繰り越す、常会で補正予算→通常予算と二重になるのかどうなるのかわかりませんが、前年分を一気にまとめることで大盤振る舞いして、選挙直前に支持基盤を固めておく、一時的でも大きなインパクトをもたらす結果を出すなんていうやり方があるとしたら確かにそうするでしょうね。

 1月に常会召集で、6月に会期150日が終わる。選挙直前まで延長するにしないにせよ、来年は選挙が確定していますから、それまでに確実に国会閉じますからね。16年7月の参院選を見過ごしての強引な憲法無視に出たとすると、ああなるほどなと理解できますね。

 まあそういう卑劣な行為をする政権、憲法無視にはNoを突きつけたいものですが、そういう憲法無視についての指摘も出てこない昨今、難しいんでしょうなぁ…。

*1:というか議会政治・法治というのは決められた手続きを守ることが命なのですから、その手続を軽視・破ることがいかに狂っていることか言わずもがなですね