てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

一般向け?エロ漫画への疑問、エロ漫画家の画の巧さと一般漫画への転身など

 表現規制問題以来、エロ関連の情報がツイッターに入ってくるようになりました。そういう関係がつぶやかれたり、RTされて回ってくることが多くなりました。伊東ライフ氏みたいに、ニコニコでネタにされている関係で、それで知ったりしましたね。あと全然関係なくても、ニコニコの動画内でそういうエロ漫画家だったり、作品がコメントされるようになったりとか、目にする機会が増えましたね。

 前からかなりそういうコメントがあったのか?以前は気にしていなかっただけなのか?それとも、ある時期から急に増えだしたのでしょうか?まあどうでもいいですか。
 ツイッターでは、エロ漫画・漫画家の話はよく流れてくるものですね。作家とか漫画家はずっと缶詰でストレス発散にツイッターやったり、艦これやるといいますしね。相性が良いのでしょうね。コミケで有名なエロ漫画家さんが、女性の乳もんだとかそういう話もすぐ広がってましたしね(^ ^;)。

目次

 

一般向けエロ漫画というジャンルが誕生か?

 まあ、そんなこんなでエロ漫画関係について色々詳しくなったとしても、いちいちブログで取り上げるような話題がなかったので、取り上げたりしませんでしたが、気になったことがあったので、そんな話を。

 ―という作品があることを知ったのですけど、これがエロ漫画なんですけど、成人マークがない状態、一般作品として売られている。ググッて一番最初に目にした店の作品紹介のページでも、「これが一般作品で良いんですか!」みたいな煽りで紹介されているわけですね。サンプルページを見ると、普通のエロ漫画でしたね。

 なんか色々気を使って描かれたみたいです。どうも性器を直接描いてないからセーフみたいなことらしいですね。普通エロ漫画は「○○」や「☓☓」(自主規制)がドーンと描いてあって、そこに修正が入る感じになっていますが、男女の絡みをどこまで描いても、性器自体を描いてないからセーフみたいな形・基準にしているようですね。
 とまあ、そういう作品があることを知って、うーん、これはどうなのかなぁ?という話をしたいと思いました。エロを求める人はエロ漫画を普通に買うし、一般コーナーにおく意味があるのか?18禁コーナーではなく、本屋の青年誌コーナーにおいてもらえる。ゾーニングのハードルをかわして売り上げが確保出来るなんていう背景があるんでしょうかね?
 この鬼ノ仁さんはエロ漫画ではかなり有名な大家(?)で、売り上げも多いかと思います。ファンも多いはずですし、それならば別に一般コーナーにおかなくてもいいのでは?というかエロ表現がマイルドになって、逆に買う人少なくなると思うんですよね。それとも中高生くらいのエロに興味津々だけど、エロが買えない子供達をターゲットとして彼らに売るという作戦なんですかね?
 子供の手の届かない所・目の付かない所におくというのがゾーニングのそもそもの発端だったはず。そういう流れがある中で、こういうゾーニングに逆らうような作品を出版することはどうなのかなぁと感じたんですよね。

 これが出版されたのは2006年ですか。エロ漫画雑誌で売り上げが確か一番多かったメガストアが廃刊に追い込まれたのが、2~3年前だったので、こういうゾーニング躱し・逃れのやり方が警察の強硬な態度に繋がったという背景があったりするんじゃないですかね?*1


性描写表現から遠ざけることは却って青少年に危険・有害だが、ゾーニング無視はいかがなものか

 性犯罪やトラブルの背景には、殆ど性知識の欠如がある。学校の性教育くらいで、家庭で性知識について論じたり、こういうことは避けなさいといった話をする機会がないことがあげられると言われます。きちんとした性知識は、本当に避けたいトラブルの予防という意味合いがあるんですが、「きたない」ものとして排除される風潮があります。
 そういった風潮・思い込みは間違いであり、逆効果であるというスタンスであり、エロ漫画はそういう啓発に繋がる・有意義だという立場なんですが、それとは別の話として、ゾーニングという流れがあったのにもかかわらず、こういう迂闊な行動にでてしまうのはどうなんでしょうかね?

そもそも作品として面白いのか?ストーリーが成立しているのか?

 そういえば中高生くらいに、セックス描写が割りと頻繁に描かれる漫画を興味を持って読んだ記憶がありましたが、それらは別にエロ漫画ということではなく、あくまで恋愛だったり、ストーリーが背景にあって、エロスというのはその中の一部・サブであり、それも売りではあってもメインではありませんでしたね。やはり乳・尻がバンバン出てきても、性器表現はなかった。
 まあ、今考えてみると大したことない、というかエロ漫画のような洗練されたエロ描写ではないわけです。なんていうか『ToLOVEる』の延長にあるとでもいいましょうかね?(ToLOVEるのほうが延長かな?)
 しかし、こういうエロ漫画家・その筋のプロが性器を描かないというだけのものはどうでしょうね?読んだわけではないのでアレですが、作品も結局エロ漫画・性交がメインですよね。そういうものを出してしまうのはどうなのか?
 ToLOVEるみたいなライトエロを普通に売りだしていれば、それで十分な気がするんですけどね。ジェッツコミックス白泉社ということは、やはりヤングアニマルでしょうかね?ヤングアニマルはエロ漫画家にエロ漫画みたいな作品を描かせている印象があるんですよね。エロ漫画雑誌ではないが、エロを描いて売り上げを伸ばしたいという意図が露骨に見える。
 こういうことをやると、エロに対する敵視・蔑視がある今の時代ではまずいことになると思うんですよねぇ。自主規制で自分たちの業界を守ろうとしてきた流れに逆らうような気がしますね…。
 まあ、だからといってエロ目的だからアウト、作品として質が低いからそんな作品売ろうとするべきではないなんて言えることでもないのですが。
 いずれにせよ、警察の方でも、摘発とかそういうことをやるにしても、この表現がアウトだからこういう理由で摘発する。この雑誌・漫画だけで、ほかは対象にしないとか摘発を行うならば意図・理由を明確に宣言すべきですよね。セーフ・アウトの線引を曖昧にして権力者として、恣意的に法を執行するという異常な状態を認めることだけは禁止しなければならないでしょう。そういういつでも力を奮える状態を作り、忖度をさせることで自分たちの権力・財を生み出すというのが今の日本社会ですからね。
 そもそも性器が描かれているから、いないからという理由で猥褻云々することがおかしいのでさっさと法改正してほしいものですが。

絵柄・画風の変化に見える当時の流行り、描き手の成長

 関係ないですけど、今と昔のエロ漫画で違いがあって面白いですね。昔のものは修正が少ない、メガストア事件以後は修正が多くなってるので、事件の影響が如実に見て取れますね。
 流行りの絵柄というのがあって、天地無用とか、ミンキーモモとかうる星やつらみたい(高橋留美子)なものとか、特定の絵柄・作風を真似しているな~というのがありますね。90年代はそういう特定のモノのはやりが顕著に反映されていますね。『ふしぎの海のナディア』とか、『ああっ女神さまっ』だったりとか、あとはエヴァ辺りですかね?そういう傾向が強いですね、90年代は。00年代くらいになるとそういうものが目立たなくなって来る感じでしょうか。
 原型を想像できなくても、この人とこの人は画が似てるなぁ、同じ作品から影響受けたのかな?というキャラの造形・タッチをしている人もいますね。でも5~10年後には、それぞれまるで違う作風・画に見事に枝分かれしている。昔似ていたなんて想像もつかないくらい違う。なんか進化の過程を見ているよう、違うルートを辿ったんだなぁと変な関心をしますね(笑)。

 というか、まあちゃんとオリジナリティを確立できないと、10年もやってファン獲得して大家みたいなことにはなれないんでしょうね。その影にはオリジナリティを獲得できずに消えていったエロ漫画家(もちろん一般漫画家も同じ)がたくさんいたんだろうなぁ…とかなんかしみじみ思いました。
 商業誌ではない同人誌、市場では流れない個人ベースで出すものがあるんですけど、それをいわゆる「薄い本」と称しますが(エロ限定なのかな?)、趣味レベルでほそぼそ出している人でも、5年くらいでまるで別人のようにうまくなっている様を見ると本当面白い。急に成長しだして、落書きレベルからプロレベルになる過程を見るという一風変わった面白さがありますね、そういうのも魅力の一つなんでしょうかね?人気ある人を真似して急に画風が変わったものとか見ると、「ああ、あの売れてる人の真似したんだな」とわかりますね。

絵を描けなくなる問題以上に深刻なエロを描き続けること

 殺せんせーがエロ本読んでいて、絵柄は好きだけど、作風が好みじゃないみたいな微妙な細かい嗜好が殺せんせーにあるというのを示す話がありましたが、そういうのは確かにありますね。画は上手いのになんでこんな変なジャンル・作品描くんだろうか…っていう人、何人かいますね。
 きっと普通のエロをずーっと描いてはいられないんでしょうねぇ。元から変な性癖持っていて、それを作品で活かすしかないという変態的な人かもしれませんけど。以前漫画家は、画を描けなくなってしまうという話をしましたけど、エロ漫画家はそれがさらにハードなんでしょうなぁ。
 
 この人前はこういうの描いてたのに、なんでこういうヘンなの描くようになってしまったんだろうなぁ~と想像すると、精神を病んでしまったのか、同じものを描き続ける情熱がなくなったのか、そういうマイナーなジャンルを描くことで、ニッチな売り上げを狙っているのかとか色々想像しますね。本当、こんなん誰が読むんだ?というジャンルいっぱいありますからね。中には本当気持ち悪いのありますから。確かに規制したくなるほど厳しいですね。そういう目を背けたくなるようなものだからこそ、そういう趣味の人にとってはたまらないと背徳的な欲望を掻き立てられるということなんですかねぇ?理解できませんけど。
 同じものを描き続けるのは苦しい、以前トレパクの話*2を書いて、その関係で、エロ漫画で有名な人がトレパクしているというのを聞きましたが、事実はともかく、きっとエロの構図をずっと考えるのは大変なんでしょうなぁ。ただ機械のように淡々と描くという作業に没頭するにしても、そうじゃないオリジナルの話を考えるまでが相当辛そうですね。
 10代・20代の感覚で、30・40代でもエロ漫画描き続けられる!って思ってこの道に入っても、情熱が続かなくなるんでしょうね。創作には情熱と体力が必要で、強烈な意欲と技術を持ってエロ漫画の世界に入っても、同じ趣味嗜好を10年以上、定期的に描き続けるというのは相当大変でしょうね。絶対ネタが続かなくなるでしょうからねぇ。
 小説家だって、書きたいものをずっと書いていても必ずネタが尽きて、他の作品とか作家の作風をヒントに違うスタイルを取り入れて新作を作るように、違うジャンルに手を出したりしないと続かないんでしょう。また、荒木先生の画風みたいに、違う絵柄で新しい表現に取り組まないと、描く意欲がわかない・描き続けられないんでしょうね。

エロ漫画家の画の上手さ

 男性と女性でも、やっぱり違いが出るんで面白いですね。ああ、こういう方向から攻めるか~(話や表現のことですよ、攻めると言っても(^ ^;) )とか、絵柄・コマ割りから少女漫画から入ったんだろうなぁ~みたいなのわかりますからね。
 最近はラノベの画とか、その漫画版を担当するようになったり、エロ漫画家さんの進出が目立ちますけど、やっぱり上手いですよね。最近のエロ漫画家さんは本当うまい。エロ描写をする以上、骨格とか筋肉を分かっていないといけないし、美しく魅せる構図とかポーズとか考えなきゃいけないので、そういう表現を描くうちに技術が磨かれていくということなのでしょうかね?

 普通の漫画家というのは、このキャラにこういうふうにちんこがついているとか、ここから排泄するとかそういう事を考えて描かないですからね。そういうことを考えてキャラクターを描く上で必然的にキャラや画に厚み・深みが生まれていくのでしょうかね。
 一般的な漫画家は多分、スポーツの動き・アスリートの動きや、バトルモノを描く上での格闘技の動きをトレースして描くと思うのですけど、性描写・エロ表現のためにAVでも見ながら描くという練習はまずしないでしょうからね。少年ジャンプでドラゴンボールやワンピースのような作品を描く!という若手漫画家がまずそのためにエロを極めよう!なんてならないですからね。ファンタジー描写やバトル描写の勉強・練習するでしょうから。
 荒木飛呂彦氏がルネサンスの影響を受けた何ていう話がありましたけど、そういう独特な方向性から攻めていく人は最近あまりいないのではないでしょうか?そういう美術系・芸術系なんかもありだと思いますよね、藤田和日郎氏のように妖怪系から入ってホラー系統なのも売れるパターンの一つですよね*3。エロから漫画の技術を磨いていくっていうのも方法の一つとしてもっと注目されていい気がするんですけどね。
 こういうエロ漫画家の上手さを見ると、いずれ有名漫画の作画担当はエロ漫画家ばかりということになる時代が来るかもしれませんね。アニメや脚本でエロゲー出身者の進出が昨今目立つようですし。ちょうどエロは描き飽きたので、少年誌・青年誌へ~という転出がハマりそうですしね。そういえば有名なエロ漫画家が最近普通の漫画描いているというの何件か見た気が…、そろそろ情熱が尽きたということなのかなぁ。
 ※追記、これ書いていた時は知らなかったのですが、『食戟のソーマ 』なんかモロにエロ漫画描いていた人が漫画パートを担当しているようですね。裏が取れていないので、断定して論じたくはないのですが、この佐伯俊氏がエロ漫画家のtosh氏だとのこと。最初その話を聞いた時、普通に全然違う人でしょ、多少は似てるかな?くらいにしか思わなかったんですが、ソーマの初期の絵柄や連載前の短編漫画などを見ると、似てる・同じだと言われれば確かに似ているし、同じ人に思えますね。
 週刊連載を続ける内にクオリティが増していった。上手くなって現在のように進化していったというのならば編集の狙いは大成功ですね。同一人物だという断言がないということは、ジャンプとの契約で公表してはいけないとか、そういう契約になっているのでしょうか?まあ下手に公表するよりもこうやって実は同一人物なんじゃないか?と話題になったほうが却っておいしいでしょうしね。普通に別人だったオチでも面白いですし。
 注目されるのは、ソーマの連載が終わってtosh氏がエロ同人を描くのかどうかということでしょうね(笑)。本人が描いたら同人じゃなくなりますけど、そこら辺どうなんでしょうか?普通に考えれば契約でソーマのエロ同人を描けないようにはなっているでしょうけど、ジャンプがそれを認めたりすれば画期的な事件になるでしょうね。ジャンプの売上も大変な時期に話題作りにGoサインを出すかもしれません。同人誌じゃなくて、同じ人が描いてる同(じ)人誌だろ!というツッコミも見ましたがさてさてどうなりますことやら(笑)。
 tosh氏はエロ漫画家でも売れっ子、その人が新作をあまり描いていないということは週刊連載でそれどころじゃないということなんでしょう。このソーマのヒットは漫画における負担の軽減。漫画の分業化という点で注目されるべき事かもしれませんね。もっとストーリー・作画分担の漫画があってしかるべきですからね、週刊連載は特に。

おまけ、長期連載のあとで新作を描く情熱がある漫画家はまれ。あってもそれをヒットさせるのは難しい

 そうそう10年以上描き続けられないという話で、ジャンプでナルトとか、ワンピースとか10年以上続く長期連載の大作がありますけど、長期連載で固定ファンを食いつなげようという編集サイドの思惑は指摘しましたが、描き手側の都合・もう他の話を一から描く情熱がないというのは書いてなかった気がします。5年くらいのスパンならばともかく、10年以上もその一つの作品に没頭してしまうと、そこから外れるものはなかなか思いつかないというか、もう描けないですよね。
 荒木先生も「何描いてもどうしてもJOJOになってしまう」という話をしていましたが、荒木先生の場合はガラッと変わってきますけど、作品の基本構造は一緒ですからね。それを破壊して全く違ったものを描けというの出来ないでしょうね。荒木先生のタッチで三国志とか、そういう歴史モノ描いてみて欲しいと思っているんですけどねぇ(笑)。

 なんか色々まだ書くことはあった気がするけど、思い出せないのでこの辺で。

*1:昔、メガストア廃刊について、こういう弾圧は良くない。表現規制として好ましくないという話をブログに書いた記憶があるのですが、メガストアでブログ内検索してもでてこないですね…。なんでだろ?別に大したこと書いたわけでもないのですが気になったので一言。まさか何らかの規制に引っかかって気づかない内に検閲・削除されたわけでもないと思いますけどねぇ

*2:東山翔さんのトレパク事件について

*3:アベマでうしおととらやってた影響で最近コミックス読みましたけど、初期は今から比べると信じられないくらい絵柄が違いますからね。もともと漫画家志望ではなかったというだけあって対して上手くない。至極凡庸な漫画に見えました。パトレイバーなのかな?そういうサンデーの有名な人の真似をした感じが見えました。ただ、とらなどの妖怪の表現。これだけはダントツに最初から巧かった。新人でこんなものが描けるのなら、そら今後どうなるか見てみたい。編集サイドもそら採用して連載させますよね。