てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

2013/8&9 フォーリン・アフェアーズ・リポート

 あんま書くことないので二ついっぺんに。本当は三ついっぺんにまとめようとしましたが、それだとちょっと微妙に長いので。これだと今度は短すぎるんですけどね。

フォーリン・アフェアーズ・リポート2013年8月10日発売号/フォーリン・アフェアーズ・ジャパン

¥2,263

模倣せよ、本物を造れるまで

 中国経済、知的財産権侵害の話。以前の、米が経済発展して、大国になるまで欧の知的財産権をさんざん侵害したくせに何言ってるんだという話のそれと被ってるので、まあパス。後は中国はパクりながら、オリジナルのサービスを作って、国内需要に応えているとかそんなところですね。

ムスリム同胞団の終わりなき戦い

/エリック・トラガー

 エジプト初の同胞団出身のムルシ文民大統領。反ムルシデモで軍が追放へ。同胞団の抗議・抵抗が起こる。元同胞団メンバーの証言によると、同胞団は抵抗する「屋根」がある。ここまでは攻撃してはいけないという意味で、ムバラク個人を「屋根」として攻撃しなかった。ムバラク以後はその「屋根」がアメリカになった。今はそれが軍になっていると考えられると。同胞団VS軍事政権という図式が怖いですが、そのリスクは低いと見て良いのでしょうかね

誰がエジプト経済を救うのか― 湾岸諸国と変化する援助構図

/マリナ・オッタウェイ

 IMFの改革要求を拒否して、周辺諸国の支援に頼れるという図式の指摘があります。まあ、混乱してそれが自国に波及されたら困りますからね。同胞団政権と、軍政ではどちらが周辺諸国にとって好ましかったんでしょうか?それぞれのお国によって好ましい政権というのは違うのでしょうけど。

 今のシーシー大統領は軍人で、かつ諜報機関出身だったとか。プーチンみたいな感じで理解するべきなんでしょうか?まあ、クーデターで同胞団を追放したので、何より重要なのは政治的安定=経済的立て直しですよね。そもそも同胞団の無策が経済危機をどうにも出来ないゆえにクーデターを引き起こしたっぽいですし。

フォーリン・アフェアーズ・リポート2013年9月10日発売号/フォーリン・アフェアーズ・ジャパン

¥2,263

日本を抑え込む「シルバー民主主義」― 日本が変われない本当の理由

/アレクサンドラ・ハーニー

 シルバーデモクラシーの話。というよりも選挙制度のいびつさについて指摘されていることにもっと注目されて欲しいですね。選挙制度改革は独立した外部委員会に委ねるべきだというのは同意です。若者のために、過度に硬直した労働ルールを改革する必要がある。昇進・賃金の引き上げは年齢に左右され、怠惰な従業員も簡単には解雇できないとありますが、どうですかね?つうかこれ書いてるのロイターの人、ジャーナリストですね、まあ指摘されるだけマシですが…。

<特集 日本のアジェンダ――エネルギー問題とTPP>

安倍政権のエネルギーアジェンダ

/ダニエル・P・オルドリッチ、ジェームズ・E・プラッテ、ジェニファー・スクラリュー

 エネルギーアジェンダ。金融ビッグバンの一連の改革の中に、電力規制緩和も存在した。が、ニューヨークやカナダでの停電、エネルギー取引を扱うエンロンの倒産で05年に頓挫。電力自由化規制緩和原子力参入のコストを上げる。電気料金で原子力発電所建設後、電気料金が下がれば原発での安い電気もそこまで魅力的な商品にならなくなるから。

 つまり小泉の脱原発はこの電力自由化を念頭に置いたものだったわけですね。13年に安倍政権で再びこの電力自由化が出てきている。今は原子力再稼働と規制緩和がセット、取引になっている。電力自由化と再生エネルギーで電気が安くなっていけば、脱原発も自然に進むという形になりそうですね。再生エネルギーが進めば…ですが。

蓄電技術の進化が電力供給と経済を変える

/ジェームズ・マニュイカ、マイケル・チュイ

 蓄電、蓄電技術は世界を変える。スマート化の流れがここにも見られるということかな。グリッドストレージ・バッテリーストレージ。電気がないことが経済発展の障害になっている。が、この蓄電技術が進めば、電線を引けないようなところにも恩恵が及ぶようになる。この技術革新でアフリカなど一気に経済開発が進むということもありえるわけですね。いつになるかわかりませんが。

変貌した東南アジアへ帰ってきた「古い日本」

/ジョシュア・クランジック

 東南アジアについての記事。まあ、フォーリン・アフェアーズ特有の何を言ってるんだお前は感が強いもの。たいてい、ここの関係者が書くものは「?」というものが多いんですよね。その地の大した専門知識もなく、米欧の俗世間感、一般感覚の延長で物事を語ってしまうからなんでしょうけど。

 安倍は、民主主義・市民社会の言及なしと書いてますが、じゃあ何について言って欲しいのか?何を課題として、どの民主化・市民社会のための改革をすべきなのか、当該地域の情勢など論じずに単に言及しておしまいでは、米欧の二番煎じになる。米欧の主張をなぞればいいというのだろうか?東南アジアに歴史の論争はないが、過去の記憶はある。ナショナリズム・レトリックはプラスに作用しない。まあ、そのなんでしょうかね?華人社会があるところでは、否定的な作用がありますから当然、それを理解してのことなのか?まあ、皮相的な記事ですね。

インドを支える州経済の台頭― 経済再生を主導する州経済の躍進

/ルチル・シャルマ

 国家のトップより、州政府のトップに強いリーダーシップが見られる。クジャラート州はインド内の中国と呼ばれていると。国政の80歳の首相に65歳の閣僚という平均年齢に対して、初めて州政府首相になった平均年齢は56歳。州政府のほうがまだ革新的なリーダーが登場しやすい背景があると。

 国政では地方の基盤が弱く、全国的な政治家が国のトップになっている。州政府での実績を上げてから、それによって国政転身というルートは存在しない。地方改革からの国政転身は難しい構造になっている。州政府に権限をもっと移譲して、地方に任せるべきと。国のトップは融和的、州は独裁的というのがインドの政治構造。

 インドの時代が来ると言われるだけに政治構造は面白いですね。これだとちょっとわかりにくいので、あんまり深く読みませんでしたが、もっと読める・面白いのなにかないかな。日本の本でもインドについて書いてあるのは皮相的なのが多いですしね。

中国における外国医薬品メーカー黄金期の終わり?

 ―というのがありました。特に触れることはありませんが、医薬品がいかに金になるかというのは以前堤さんの本にあったように、米の市場・医療や福祉を歪める暗い力を持つことからも明らか。中国市場は当然巨額の富を生み出すはずで、それについての中国の医薬品メーカーの登場だったり、米の製薬企業の圧力・売り込みなどは注目すべき話になってくるんでしょうね。