てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

ミャンマー総選挙、NLD大勝

 ミャンマーの総選挙について。NLDが例のごとく大勝しました。どっかで以前ミャンマーの話を書いたと思いますが、忘れました。NLDアウン・サン・スー・チー率いる有力野党が選挙で勝利しても、軍事政権がその結果を反故にする。NLDが勝てないような選挙制度にして選挙する、選挙無効などいくらでもできるので、今回の選挙結果で、ミャンマーが変化するかどうか、革命的な変化・民主化が進んでいくとは思えませんね。あまり楽観視しないほうがよろしいと思います。

 そうそう、アウンサンスーチーさん、どっかで見たことあるなぁと思ってたら、川端康成に似てるんだ。回ってきた写真見て思いました。

 そんな関係ない話おいといて、アウン・サン・スー・チー氏が、NLD党のトップが誰であろうが私が実権を握るという独裁宣言をしたとのこと。それだけを見れば民主主義もクソもない。民主主義スタートの時点から死亡宣告を言い渡すような発言に大丈夫かいな…と誰もが思ったはず。

 例のごとく東南アジアは権威主義的な政治体制に慣れており、国民は前近代的なセンスで、政治についてはお上の言いなりの我関せず精神が強いと思われます。むしろ国内の様々な階級・階層に権力を切り分けて与えても混乱を招くだけでしょう。これは間違いないと思います。周辺東南アジア諸国民主化の過程よりうまくいくことはないと言っていいでしょう。軍が未だに強いのならなおさら。

 だから、一代で終わる独裁政権で国と国民を将来の民主化が可能なレベルに導くためのアウン・サン・スー・チーの独裁(宣言)は悪く無いという意見がありました。これは適切なものといえるでしょうか?

 スー・チーさんが「一代限りの独裁者」になるというのは疑問が残るところ。スー・チーさんの子供、もしくは兄弟の子などが政治家になった場合、間違いなくアジア的な閨閥政治家になり、ミャンマー政治に一大勢力を築くと思われます。アウンサン将軍の子供は政治家になってはいないとはいえ、スー・チーさん以外にも存在するために、スー・チーさんが独裁者となってミャンマー政治に君臨すれば、間違いなくアウンサン一族の影響力が根強く残るかと。

 まあ、東南アジアはどこもそうだし、日本でさえその傾向があるから、それくらい構わないと言われればそれまでですが。

 ミャンマーは軍事政権が作った憲法で、憲法改正のハードルが高い。そして軍人たちによって事前に議会の議席数が割り当てられていて、事実上改正不可能ということになっている。憲法改正不可能の状況で、いわば軍政批判をかわすために、権力の一部を民政開放したというシステムですね。そういう状況で果たしてどこまで改革ができるか?まあ今後も軍と権力配分をめぐってモメるでしょう。

 自宅軟禁でノーベル平和賞をもらって有名な人ではありますが、あんな強硬姿勢で軍と対決してここまでぐちゃぐちゃやるよりも、さっさと軍と妥協して現実路線を歩むべきだった。それをせずにン十年無為の時を過ごしたという点から、彼女の政治能力にかなり疑問がつくと思います。

 それこそガンジー的な非暴力主義とかなのかもしれませんが…。

 そういう人物がトップに有る&政治経験の乏しい新興与党で、政治運営がうまく行われるかというと…でしょう。例のごとく汚職云々で揉めて内ゲバになるのではないか?という気がします。

 また、ミャンマー内部の少数派、パキスタン系?イスラム系?かわかりませんが、ロヒンギャ族がいます。その少数派と対立を深める仏教過激派の台頭もあるとか。軍としてはイスラム=テロの流れに乗って、テロの一つでも起こしてもらって、危機を演出してそれをきっかけに権力を奪いたいところでしょう。

 そういう民族対立のリスクも含まれます。外交・軍事能力も問われるところですが、それがどうなるかというのもポイントになりそうな気がしますね。そういう軍事問題に対処しつつ、軍の無力化・権力剥奪を進めるということができるか…。うーん、厳しいでしょうねぇ。