てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

鈴木貴子除名に思う新党船出の危うさ

あまり短いものは扱わないつもりだったが、民主と維新が合流して新党を作る流れにあるので、それについて書きたいので。民主と維新の合流の一番初めの事件といえるだろうから。まだ新党名が明らかになってないので、カテゴリーに入れないで、新党名がはっきりしたらそのカテゴリーを作ってそれに入れるつもりです。  

 

【鈴木貴子、民主党離党】

 2月26日、北海道の地域政党新党大地」の鈴木宗男代表の娘である鈴木貴子氏が所属する民主党に離党届を提出。4月の衆院北海道5区補欠選挙民主党共産党と統一候補を擁立することが原因とのこと。「共産党とは基本的な思想、国家観がまったく異なる」ことが離党の理由。  

 民主党の枝野幹事長は、重大な反党行為だとして、離党ではなく除籍処分に。 孝子氏いわく、「約束を反故にしたのは民主党執行部のほうだ」と反発したとのこと。この約束を反故にしたというのは、何に値するのだろうか?選挙協力で大地候補を優先するという約束でもあったということなのか?

 

鈴木宗男政界復帰へ】

 公職選挙法の規定により刑期満了から5年間は公民権(被選挙権)が停止になるが、宗男氏の刑期満了は12年4月で、公民権停止が解けるのは5年後の17年4月。

 つまり来年4月こそ、鈴木宗男の国政復帰になるため、その下準備に入っているということでしょう。鈴木宗男&貴子の二人を国会に送り出すにはどういうふうに行動するのがベストなのか?それが今回の自民との関係を強化すべきだということなのでしょう。

 新党大地は、自民党公認候補の推薦を決めており、夏の参院選でも自民党候補を支援するとのこと。北方領土問題解決が悲願でありロシアに太いパイプを持つ宗男氏が、5月の日露首脳会談の根回しをやったと。記事内では、ロシア政府が信頼している日本の政治家は、鈴木宗男鳩山由紀夫の2人だとか。

 

【大地の「裏切り」は当然、それを叩くのはナンセンス】

 自民党を追い込むためには、共産との選挙協力だけではなく、大地ともうまく協力をして一緒にやってほしいところだったが、選挙区や政策で折り合いがつけられないのならば仕方ないだろう。北海道だけでいえば、共産党より大地の影響力のほうが強いだろうが、全国を視野に入れれば、共産党の方が影響力がある。こうなると、民主は大地よりも共産の声を多く取り入れて、大地は後回し・ないがしろにされざるをえない。少数政党が自己の力を最大限発揮させるために、あちらこちらにいい顔をする。より自分たちの声を聞いてくれる政党に擦り寄るのは当然のことだ。まして、新党の船出が怪しく、自民党が強いのならば当然のことだろう。

 記事では、鈴木宗男は道知事を狙っているのではとあるが、鈴木宗男の能力とは外交、そこにセールスポイントがある以上、ありえないと思う。娘の政治キャリアのために、道知事を経験させて、新党大地をより北海道に根付かせようということならわかるが。本人は北方領土返還や外務省改革に尽力する方を優先すると思う。 

 

【北海道選挙区の比例票】

 46回衆議院総選挙*1を見ると、北海道の比例票は、共産18万で大地は34万。*2この時点では大地のほうが選挙パートナーとして魅力的であることがわかると思います。比較対象のために他の政党の数字も上げると、みんなが15万・維新が33万。未来が8万、地味に社民が4.8万とってるのが面白いところ。現与党の公明が約29万で、自民69万。そして肝心の民主が47万。

 

 47回衆議院総選挙*3、与党の自民74万・公明30万に対し、民主69万。そして選挙協力をするパートナーの共産が30万。鈴木貴子氏はこの時、民主党の比例で当選していることからも分かる通り、民主の数字は事実上民主党+大地票ということになります。 他、維新が24万(松木さん)、社民5.3万、次世代3.8万、幸福1万。

 

 前回の2013年の参院選だと、大地の比例は52万。「支持なし」政党が10万集めた年ですね。投票率次第でしょうが、大地の持つ票数は35万(プラスマイナス5万)ほどだと考えていいでしょう。参院選は全国から比例を投じることができるので52万に及んだのでしょうが、北海道限定の政党で、他の地域から当選者を輩出できるわけではありませんから、この52万はあまり意味がないですね。

 前回ほどまた投票率が落ち込むことは考えづらいですが、現与党が計104万に対し、民主69万+共産30万+維新24万=123万…というかたちになればいいですが、前述通り、民主は大地の30万を引かないといけないので93万ほどになります。また維新は分裂する前の話なので、24万まるまる計算に入れていいとはいえないでしょう。

 松木さんがいて、松木票が3分の2を占めると甘く見積もって、16万としましょう。新党サイドが85万に過ぎないのに対して、与党サイドは大地票30万が加わって134万。こうなるとまあ、野党は北海道でボロ負けすることになりますね。大政党によるシナジー効果、反安倍政権・批判票がどこまで伸びるかでしょうね。

 大地は連立与党入りするわけではない。つまり、野党系と正面衝突しなければいけないわけではない。元々民主が強い土地柄で、実力伯仲するのが北海道選挙区。そのなかで少数政党大地が生き残りを図るために、うまいこと調整をする。自民・新党からそれぞれ譲歩を引き出して、漁夫の利を得るという戦略を取ることは十分考えられるので、そこがどうなるかでしょうね。

 

 結局、何が言いたいかというと、そういう選挙事情があって、選挙のキーになる大地・貴子氏が離党するという事態において、非難や処分をすべきではない。勝つためには協力が必要になるに決まっているのだから、別れるときは綺麗に別れないといけない。政治という領域においては、無駄に敵を増やすようなことはタブーである。そんなことをすべきではない敵を中立に、中立を味方にするのが、政治(の技術)。無駄に敵を増やすようなことは百害あって一利なし。「分かりました、その次また一緒にやれることがありましたら、また一緒に私達とやりましょう。その時はまた頑張りましょう」とキレイに別れないといけない。これは小沢氏がそういうキレイな政治離婚をしてこなかったことで、悪評を招いたことからも言えること。

 相手が間違っていて、怒り心頭に達したとしてもグッと抑えるのが政治の基本。身内の処分だけは早い組織だと笑われた過去の悪癖を今でも引きずっているのだろうか…。

 党の規律のために、強行な処分が必要。よって除名という重い処分をとった。しかし、裏で事前に、「立場上・党内事情上、ポーズとしてこういうことをセざるをえませんでしたけど、本当は誰もそんなに怒っていません。新党になりましたら、当然民主党としての処分は及びませんから、協力できる自体になりましたら、その時はまた一緒にやりましょう」ということをやっているか?そういう腹芸がしっかりこなせるのならば問題はないが…。

 もう、合流は始まっており、次の参院選に向けての勝負は始まっている。政治家の離合集散という政治の基本において、危うい点が見えるのは気がかりでならない。新党名に、新執行部の顔ぶれに綱領や政策が期待できるものになるかだろうか?注目して見守りたいところである。

*4

*1:前々回の2012年の選挙です。投票率は過去最低の59%

*2:数字は正確ではありませんので注意

*3:前回の2014年12月、投票率52%で言うまでもなく前回の過去最低記録を大幅に更新。任期まであと2年9ヶ月ありますので次の選挙は当分先ですね

*4:アイキャッチ用画像

 

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