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てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

イギリスのEU離脱について

 触れていなかったイギリスのEU離脱の話についてまとめておきたいと思います。まあ、そんな大したこと書くわけではないのですが、今後イギリスのEU離脱の本など、分析が出るでしょうから、そういうのを読んで分析する前の離脱当時思ったこと、感想を書いておくということで。後々意見修正するなり、引き継ぐなり最初の印象をまず書いておこうかなと。個人的には議員暗殺などもあって流れが変わって、残留に決まるかなと漠然と思いましたが、そうはなりませんでしたね。

安全保障

 離脱派が重視したポイントは主権&移民で、安全保障が非常に低い。これは米頼みでやれる、英は米英同盟で生きていけるという価値観が強いということなのでしょうかね?いずれにせよ欧州全体での安全保障の枠組みは弱まることになり、ウクライナ情勢で孤立していたロシアにとっては有り難い事この上ない決定でしょうね。

 欧州から離れれば離れるほど米依存は深まる。イラク戦争での参戦決定のような事例もまた繰り返されることになるでしょう。今米は中東で積極的ではないですが、米ロの出方次第ではEUでの欧州安全保障の枠組み教化が必要不可欠になるでしょうが、そんな事態になったらどうするつもりなのでしょうかね?

スコットランド北アイルランド

 スコットランドは過去40年間にわたって、EU基金の恩恵を受けている。故にEU推進派が多い。EU離脱国民投票で可決され、残留に決まったスコットランドの決定も再度独立を求める住民投票になる可能性が出てくる。EUは各国内に分離独立を求める運動があるために、スコットランド独立運動に反対してきました。独立してもEUへの加盟を認めないと言ってきたのはそのため。しかし英がEUから離脱してその恩恵をスコットランドが十分に受けられないとなったら、EUはどうするのでしょうか?英との交渉次第では、スコットランドが独立した場合、EU加盟を認めるという決断もありえるのでは?また当然、この英の結果が各国に存在する反EU政党・反EU派を勢いづかせることになるので、脱EUを求める国民投票もどこかで行われるでしょうね。

 今のスコットランドは、家庭内不和で離婚を検討していたが苦慮の末に一緒にやっていくことを決意した妻の前で、しれっと「俺会社辞めた、ラーメン屋やるんだ」といいだした時の妻みたいなものというツイートを見ましたが、言い得て妙ですね(笑)。せっかくスコットランドが独立するという絶好の機会なので、独立したスコットランドと日本が同君連合作って、そのままEUに参加すればいいですね(笑)。EUにおけるイギリスのポジションをそっくりそのまま奪ってしまえますねw。

 北アイルランドといえばテロ。地域安定化のために地域開発などでEU基金の恩恵を受けてきた。EU離脱となれば北アイルランドが不安定化する可能性がある。また、アイルランド共和国と国境を接することからEU離脱の際は、警察・国境(人・モノ)の問題が発生するとか。そもそも裕福な地域は大きな政治的枠組みに加入すれば、真っ先に負担をさせられることになる。相対的に損をする。包括的な枠組みに加入して負担を払いたくないと考えやすい。EU内における英もその発想で離脱を言い出しているわけだが、そもそもアイルランド北アイルランドも同じ構図があって揉めている。アイルランド内で負担をさせられるよりは、英の枠組みのほうが得という判断からアイルランドという枠を選ばなかった。それが今回の決定で変化するとなると面白いですね。

 ロンドン・北アイル・スコットランド残留ウェールズとロンドン以外は離脱を選択。まさにEUとの関係で得をするか損をするかで決まっていますね。まあ離脱しても損をするんですが、不満が溜まっている人々が多いところですね。ロンドンもEU離脱なら独立して、EU加盟すると言い出していますし、さてどうなることやら。EECに加盟せずに、EFTAを作った時のように、ロンドン・北アイルランドスコットランドでEU加盟派が連携して機構を作ってEUに残るとかそういう話が出てきたりしないでしょうかね?残留派と離脱派で綺麗に割れたりは流石にしないかな。

経済

 ググって出てきたみずほ銀行の試算*1では、2015年度、英の直接投資10.4兆円うち製造業2.7兆円・非製造業7.7兆円。EU全体だと32.6兆円うち製造業14.3兆円・非製造業18.3兆円。非製造業で言うと中国の4.3兆円より多く、ASEANの8.9兆円に匹敵する規模。なんか日本の自動車に影響があるというの見たのですが、影響があるとすればそちらではないのでしょうかね?よくわかりませんが。

 んで意外なことに直接投資の3位にオランダが入っていること。なんでオランダなのでしょうか?一位米50兆円、二位中13兆円、三位蘭12兆円で、四位英の10兆円なんですよね。英が非製造業74%といういびつな構成に対して、非製造業47%と製造業とバランスが取れている。まあバランスが良い悪いに意味は無いのでしょうけどね。租税条約が整備されているなどの税制上のメリット。また、ヨーロッパの企業が拠点を置いているという説明をRIETIで見かけましたが、それだけで説明がつくことなのでしょうかね?EUの窓口オランダという理解で良いのでしょうか?

 EU離脱後の新協定次第ではあるが、英国・EU間のヒト・モノ・カネ・サービスの自由移動への制限が生じれば、企業には追加的な事務・コスト負担が発生し、拠点戦略・サプライチェーン見直しにつながると。TPPでも話題になりましたが、一括的な事務手続き・書類や法律でいいというのは、進出・取引をする企業にとってこの上もなく便利ですよね。その圏内なら全部同じやり方でいいわけですから。サプライチェーンが変化するとなるとEU諸国も英も経済的損失は避けられないでしょうね。特に英はEUという大口の顧客を失いかねないですよね…。枠外に置かれてしまうわけですから。

 何より、今の英というのは金融センターというポジションで食っているようなものなので、そういう中心地を失いかねないのでは?結構前ですが、5~10年位前に読んだ本でEU(世界だったか?)における金融シェアで独が5%仏が4%、英が30%以上という数字を見た記憶がありますが、それくらい英は金融で強いわけですがその地位を失いかねないのでは?と思うのですが、大丈夫なのでしょうか?金融センターは昔からあまり変わらないので、競合する存在がなければそう簡単に転落しないのでしょうが。

今後の選択肢

  ①ノルウェー・オプション、EFTA(欧州自由貿易連合)+EEA(欧州経済領域) ―自由な市場へのアクセスは全てできる。EU法下にあって、予算も拠出するがEU内の意思決定には参加できない

 ②スイス・オプション、EFTA+EUとの個別合意―財と人のみアクセス可で、サービスへのアクセスは限定的。金融は不可。ノルウェーより予算は一部のみ拠出という取り決めで、後は同じ。

 ③カナダ・オプション、包括的経済協定(CETA)―カナダの場合は更にEU法の影響も少なく、人の移動もない。

 ④WTO・オプション、オプションといえるのかはさておき、単にEUとの経済協定がない状態。要するにEU域外のそれと同じということ。当然そこまで関係を断つことはありえない。 英は自由な市場へのアクセスを確保しながら、人の移動・移民を制限し、意思決定に参加できなくとも、予算を出したくない。EU法の影響も減らしたい。まあそんなところか。

 まあ、②と③の中間くらいになるのでしょうかね?イギリスオプションは?イングランドオプションになるかもしれませんが。報道で離脱・離脱言われているので、英が完全にEUとの関係を断つかのように感じている人は多いでしょうが、実際はEU間との関係再構築・協定取り決め直しというところでしょうね。国民投票はreferendumとplebisciteの二種類があり、referendumは法的拘束力・決定権はない。で、言うまでもなく今回の国民投票はreferendumだったわけですね。ですから、さっそくもう一回国民投票やり直しで残留だ!という声が挙がっているわけですね。

英が残留しようとするか、独仏が引き止めようとするか?

 今後、EU離脱の負の側面が続々報道されれば、いよいよ離脱決定の最終段階でひっくり返るということもある。そういう事態も見込んで、EUサイドが厳しい態度で交渉に望むのは当然、まあ交渉の基本ですよね。最初に強硬姿勢から入るというのは。

 英のEU離脱騒動で、独仏のEU内の威信は高まるでしょうね。EUを支えるために、独が国債発行・財政赤字を増やして、EU経済を安定させるためにバラまく方向にむかえばなお良いでしょう。まあ、英が欧州内では独程ではないにせよかなりの金額を負担していたので、その負担をどう賄うかという問題がついてまわりますが。英はやっぱり残留という形になっても、EU内部を揺さぶって、信用を低下させた責任を取らされることになるのではないでしょうか?

 独仏が英離脱ではやっていけない、英戻ってきて!と特別待遇を約束するか、それともその問題もなんのそので上手く乗り切って、苦境に陥いる英に更に厳しい条件を飲ませることになるのか、今後の注目ポイントですね。どっちも苦しい立場で共倒れもありえますが…。

貧困対策無くして不合理な決定はなくせない

 普通選挙法の制定により、変な候補に票が集まらないように最低限の見識を身につけさせる必要があるとイギリスで義務教育が始まったのだとか。教育予算を削りまくったことで、今回の結果となったのだとしたら皮肉なものですね。

 というか、そもそも今回の「離脱決定の暴挙」は、弱者・恵まれないものの反乱。弱者たちはわかりやすい理由に飛びつく。いわくEUを離脱すれば、そのEUに回る分が貧困対策に回されるとか。移民がいなくなれば労働条件が良くなり、生活が豊かになるとか。そんなことありえなくても、僅かな希望にすがってしまうのが弱者。英国極右の党首は、EUに支払ってきた分を健康保険に回すことを公約していたが、離脱派勝利後即、公約は実行不可能だと発言したとか。EUに使う分のお金が他に回せるとしても、その離脱の損失の分のほうが遥かに大きいと気づけないのが大衆・貧民ですよね。

  移民がやる低賃金単純労働というのは、そもそもやりたい人がいないもの。それでも追い出せば賃金が上がるなど待遇が改善されると思ってるんでしょうが。実際、タクシー会社が募集をかけても人が集まらないので、東欧で人を集めてイギリスに連れてくるのだとか。また移民で迷惑をしている人達が移民に反対しているというのは逆で、移民在住率が低いほど反移民政党の支持が高い。知らないから、身近にいないからこそ反対するというやつでしょうかね。また移民として定着した成功者が、これ以上移民が増えると自分たちの権利が脅かされると、同胞であっても拒否するという心情などもあるでしょうね。

 大学で教育を受ける権利を奪われた者達は、格好の反乱のテーマとして金持ち・支配階層が困るEU離脱という選択をしたという可能性はあるのではないでしょうか?教育費を増やすのならば、自分たちはEU残留に賛成・支持するという抵抗運動の可能性がある気がしますね。

 それと、シェンゲン協定によってEU域内の人は国境で検査がない。国家間でも自由に行き来出来ますが、これと移住・労働はEU法によって決められている全く別の話ですね。そもそも英はこのシェンゲン協定に加入していないので、EUの欧州民でも普通に国境審査が存在します。EU向けのポーズとしてせめてシェンゲン協定を認める。そして、移住・労働を認めないという方向に向かうのでしょうかね?まあテロもあったし、シェンゲン協定も認めないのかな?

 ツイートでみましたが、イギリスがEUを離脱したらどうなるか、ひょっとしたら今より悪くなるのでは?と感じていたとしても、今よりはマシになる可能性がある。そう考えたら行動する「離脱」という選択肢を選ぶ人は少なくない。そしてここに他人への思いやりは存在しない。 これこそが貧困層=失うモノの少ない人々の発想。これ以上悪いことがないという境遇にある人は無敵だと。確かにかのような「無敵の人」が社会に増えたらこうなるということですね。

 この選択をすれば、今より良くなるはず!!なんとかしてくれ!という発想から、衆院選での小泉の圧勝&民主党への政権交代が起こりましたね。そして、そのどちらも何の効果ももたらさないと絶望した国民の心情が今の投票率に反映されているというところですね…。次に待っているのは、あっ…(察し)。

取り残された中間層あるいは下層

 「取り残された中間層あるいは下層」という問題が、今回の離脱騒動の根幹。米でもそれはトランプ現象となってでており、一貫して米大統領はワシントン系エリートが選ばれていない。せいぜいパパブッシュくらいか?選ばれたのは。彼の外交はそこそこまともだったと記憶しているがここをなんとかしないと、また子ブッシュのような変な大統領による愚かな外交が行われることになってしまう…。ちゃんと国内の不満を組み上げて解消しないと、まともなエスタブリッシュメントによる外交が出来ないという図式はどこにでも当てはまりそうですね。

 「取り残された中間層」「取り残された下層」というのは今の日本でも当てはまる問題でそれがどんな形で社会に負の影響をもたらすのか待ちのところがありますね。まあ、投票・行動の放棄なんて言うのはもう昔からですけどね。

試される民主主義

 シンガポールは優秀なものだけ集めて、それ以外を排除して福祉ただ乗りを防ぎたい。自分たちだけで美味しい思いをしたいという人間の考えに基づいている。しかしそれでは当然、規模が小さくならざるを得ず国家モデルとしては稀で長続きしない可能性が高い。

 民主主義には、福祉によって貧民救済をするという原理があるわけですが、EUというのは自分たちが生きていく重要な市場。その市場に未来への投資としての弱者の救済を放棄してまで、EU離脱の道を選ぶのは民主主義の本家イギリスでさえ、こうなのか…って感じがして感慨深いですね。

 まあ、別の見方をすれば、「他国の貧民」よりも「自国の貧民」を救済しろよってことなんでしょうけどね。そういう見方をすれば、貧民の救済を無視している上の奴らに、民主主義の基本へと立ち返れ!と鉄拳を食らわせてやったといえるのでしょうか?

 まあいずれにせよ、今回の件は単純に民主主義が機能した・しないという話ではないんでしょうけどね。むしろ現代・最先端の民主主義の形が問われているということでしょう。そもそも自己の政治主張に叶えば、民主主義の勝利!逆なら機能しなかった!はおかしな話しですけどね(^ ^;)

 

英仏間に難民流入阻止の「壁」、英政府が今月から建設へ  さっそくこんなのがありましたね。壁を作るって万里の長城を連想しますが、軍事目的云々よりこういう個人の移動、モノや情報の流出入を管理するためのものなんでしょうな。

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