てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

キングコング西野の絵本無料公開の話

 そういえばこの話を書いていなかったので、一言二言触れておきたいと思います。まあ、有名な話でいちいち説明する必要もないでしょうからしませんけど、芸人(元?)のキングコング西野氏が絵本を書いてそれを無料公開したんですね。それについて声優さんから疑問の声が上がって賛否両論炎上騒動になった話です。

 自分で書いた本の権利をどうしようが、本人の自由ですから特に問題はないでしょう。フリーミアムという手法、無料でだれにでも見られることで知名度を高めて売上に繋げるという方法もマーケティングとしては面白い取り組みだと思います。最近、良い悪いおいといて、色んなコンテンツが溢れていて手に取ってすらもらえない。だからマンガがAbemaでも一巻目が無料公開されている。もうそういう時代になっているということを書きました。まあそういう話に通じることですよね。

 しかし、そういうことを出来る人というのは限られるし、フリーミアムという手法は大ヒットかゼロか。リスクを取らずに最低限の収入を確保したいという考え方だってある。この西野氏は初めから知名度があって、それ故にクラウドファンディングで資金を集められて、個人ではなく複数の集団チームで絵本を書いている。本業(だった?故に貯金・資産が適切かな)として確実な収入があって安定した立場にある人間と、知名度すらない不安定な立場の人間では考え方が違うのは当たり前。

 自分がいかに強い立場・有利な立場にあるか、それを自覚していない書き方、物の考え方だなとブログの文章を読んで思いましたね。

 強いものには責任がある、強いものは意図せずとも慣習・ルールを創り出してしまう。それによってこれまでの絵本業界に不利益・不都合をもたらす可能性がある。そういうことを考えないといけない。そういう警鐘だったり弱い立場にあるものの不安の声として件の声優さんのツイートを受け止めないといけなかった。しかし彼はそうではなく、バトルをしてしまった。

 彼のやってることは間違いではない。しかし、物事の進め方・考え方に問題がある。新規参入者が業界を荒らす可能性ということに思いが至ってない。もしそういう発想があれば、無料公開後、絵本業界がどうなったか。あるいは無名作家の支援の場を作る。援助をするなどと言ったそういう話になったでしょう。

 「なんで人間が創り出した道具のはずのお金に人間のほうが支配されているの?」といった一文には、ああマルクス共産主義の時代の流れを知らないんだろうなぁ。もうそういう人が出てくるような時代になったんだなぁと個人的にはしみじみ思いました。

 恩で世の中を回したい。そういう思いは個人的にもあるので同感するところなのですが、それは無料公開とかそういうことじゃない。それこそ成功者なわけですから、稼いだお金を寄付・慈善事業で奉仕するのが資本主義・民主主義では正道、常道なわけです。絵本を無料公開することよりも、お金に困っている子供を救う方法はいくらでもある。というか絵本読みたいという動機よりもよっぽど切実でしょう。普通はそちらにまず目がいくでしょう。

 まあ、結局絵本業界・構造がよくわからないので、無料公開が正の効果をもたらすのか、負の効果をもたらすのか知らない。なのでなんとも言えません。前者なら「西野よくやった!」になりますし、後者なら「だから言ったじゃないか馬鹿野郎」になりますね。ですから絵本業界に詳しい人の分析を聞いてみたいところです。そもそも絵本というのは1人で書くもの。それを運慶・快慶なんかチームプロジェクトだったと最近言われていますけど、そういう作業に変えることがいいことなのかどうなのかという話は気になりますしね。

 後、もう一つそもそもになりますが、テレビで名を上げた人間が異業種に参入・転換する上でその業界や先人に対する尊敬・感謝の念というものは必要不可欠。彼にはそれが感じられない。

 M-1グランプリで漫才をやっていた時も、そうでしたし、あんまり才能・センスを感じないんですよね。はねるのトびらという番組でドランクドラゴンの塚地、ロバートの秋山・馬場、インパルスといった他の面々は面白いなと感じても、キングコングというコンビにはそういうものがなかった。

 芸事で頂点を極めたいというよりも、目立ちたい・売れたいというようなそういう変な気持ちのほうが強いのでは?という気がします。立ち居振る舞いが自己顕示欲が強いタイプだなという印象がありましたね。

 毒舌芸人だったか、ちょっと前に出てきた芸人が西野氏に「しょーもない大学生みたいなボケするな」と言われたことを根に持って「あの時の大学生です」というネタをやっていたのを思い出しましたが、彼はそういうふうに敵を作るんですね。アメトークだったかで、自分に好意的なツイートを検索してRTしまくって、反対意見・敵対意見は攻撃したり晒したりそういうことをするみたいな話を見た記憶があります。まあ、そういう人間なんですね。

 だからまあ今回のように反対意見があったら、戦おうとしてしまう。自分が正しいと言いたがる。JASRACが授業に使われる歌に使用料を払わせるという話で、「JASRACさん、炎上を持っていってくれてありがとう」とか、「ほら、無料公開で誰でも使えるようにした方がいいじゃないか。僕のほうが正しいことが証明された」みたいな事を言うように地雷原だったり、戦場に突っ込んでいくことをいとわない人なんですね。

 最近、ヤングジャンプ読んだのでキングダムで例えますけど、初めて戦場に出る兵士、若武者が手柄欲しさに大将首取ろうとするようなもんですね。まあ経験がないわけでもないので、そこそこの将軍としましょうか。功績を焦って独断専行で大失敗をやらかすタイプという風に個人的には見えました。今回の騒動はこういう感じで終わりましたけど、いずれまた何かトラブルを起こすだろうなという気はしますね。

キングコング・西野さんの絵本無料公開を批判するクリエイターは、今後確実にくえなくなる ―という中嶋よしふみ氏の文章を見ました。労働問題云々で参考になった人なので覚えていたのですが、見事に取り違えていますね。ここで述べられていることは正しいんですけど、そういう話で反対している人達は反発しているわけじゃありませんからね。この方も自分の言いたいこと、語りたいことを語るタイプなのでしょうか。まあ、そう言って人のふり見て我がふり直せという話になるのでしょうけどね。