てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。

日本政治の「親米・反共右派」VS「親共左派」という歪な構造、なぜ「反米右派」が台頭しないのか?

 需要があるのか?と言われそうな去年のCS・プロ野球の話を無駄に時間かけて延々書いてようやく終わりましたので、本家のブログを再開したいと思います。書くネタは一応いくらかあってたまっているので連投したいと思います。まず一番短そうで、簡単に書けるものから。「親米右派」≒「反共右派」。「反米右派」や「親共左派」≠「反米左派」という話です。

 たまたま昔の雑誌、SAPIOを目にする機会がありまして、チラ見していて面白い記事があって、そこからインスパイアされるものがあったので、書きたいと思いました。この号ですね。↓

SAPIO(サピオ) 2016年 11 月号 [雑誌]/小学館

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 元ネタは小川寛大氏の『徹底比較 GHQに叩き潰されたトラウマが神社本庁の「反米右派」思想を生んだ』です。

 神道政治連盟については、公明党以外の全大臣一九人が参加している。遺族会が衰退し、神道政治連盟の方が今は影響力が大きい。山谷えり子氏は参院選の比例で一九人中七位で当選し、医師連盟・農政連の推薦候補を上回った。その集票能力を見せつけた。今自民党内では「昔遺族会、今新政連』という声があるほど。TPP五品目を守るとか、診療報酬引き下げ反対と言った政策協定・対価を払う必要もなく、非常に頼りになる存在になっている。

 ―という、なかなか面白そうな話が武冨薫氏の『恐るべき政治力 「神道政治連盟」にあらずんば大臣にあらずの時代』で書かれています。また『組織とカネ 全国7万9000の神社から10億円の収入 神社本庁「組織と集金システム」の秘密』なんていう記事があって、神社組織のポテンシャルを考えると、色々面白そうな展開を見せることも可能で興味深い所。まあ、深く掘り下げてみない限りなんとも言えないことですが。

 で、本題の小川氏による神道政治連盟の話に入ります。右派・保守という面で、日本会議と性格が似ている。しかし、神社本庁GHQに戦後徹底的に潰された過去があり、共産主義の脅威からお目こぼしを受けた他の財閥・政官・軍隊組織とは異なる。故に彼らは「反米右派」という性格を持ち、「時代に即した憲法改正を進める」というスローガンの自民党とは違い。大日本帝国憲法という理想に帰るという立場を取っている。

 自民党や読売などの戦後保守は基本的に「親米右派」。日本会議の前進の一つである「日本を守る会」も共産主義による信教の自由の侵害の危機感から生まれたもので反共的意味合いのある団体である。

 つまり戦後右派、保守本流というのは本質的に「反共・親米右派」といえるわけですね。昨今、保守勢力の中でも反米を唱える「反米右派」も出てきた。そういう中で、戦後七〇年一貫して反米だった神社界はどういう影響力を持っていくのかと、小川氏は問いかけて文を終えています。

 小川氏の主張に違和感はなく、まあそのとおりでしょうと思うくらいで付け加えることはないのですが、今回指摘しておきたいのは日本の政治界の・政治思想界の歪な構造についてです。

 今の自民党というのは清和会の流れにある、親米勢力。日本が「属国」であることに違和感を持たない。属国体制・構造を維持することによって、恩恵を受ける既得権益保持者達が中心となっている政党です。

 その国の体制がきちんとしたものか、民意の支持を受けているのか、フェアなものなのかということを問わない。民主主義であるかどうか知ったこっちゃない。米の世界戦略を支えてくれる体制なら、米にとって都合のいい環境を維持できるなら、独裁政権だろうが腐敗政権だろうが構わない。中東や中南米の米同盟圏にある国家の典型的な構造を取っていますね。ある意味米の傀儡政権とみなされてもやむを得ないところがあるでしょう。

 占領期から「独立」した戦後保守というのは、「反共」を旗印に、親米路線を進んでいくわけで、これには功罪あれど、基本的には正しかった。共産主義の脅威の前に他に選択できる道はなかったといえるでしょうから。と言うかそもそも選択の余地自体なかったと言うべきか。

 戦後直後はともかく、冷戦後にはその「反共」という大義名分がなくなっている。「反共」故の「親米」という大義名分が消失して、「反米」の声が大きくなるのは至極当然なわけですね。日米戦争・戦争後の歪な構造などの歴史を見ても戦後体制批判、「反米」の声が起こるのは避けられないでしょう。

 しかし、こういう流れの中にありながら現実的に「反米」「反米保守」が大きな力を握っているか?と言われると政治思想ではともかく、政治界ではピンとこないというのが現状でしょう。民進党の有力議員、自民党の有力派閥などが「反米」を声高に主張しているかと言われると、ピンと来ない。

 「反米右派」勢力が伸びてこずに、未だに安倍晋三の主張を見れば言うまでもなく「親米右派」が政治の中心であり続けている。そしてその安倍晋三の主張というのは以前書いたように、「反共右派」なわけですな。

 「アンチリベラルサヨク*1という話を以前したわけですけど、自分たちの思想を論理的に構成して、そのスタンスの違いから相手の非合理性を説く。自派の論理のほうがより妥当であることを主張するわけでなく、相手の思想のおかしいところだけを指摘し、揶揄・攻撃する傾向が昨今見られるわけです。穏健な単なるツッコミレベルから、過激な過剰反応まで幅広いので、そういう指摘をする人をちょっとおかしいのではないか?いかがなものかと一概にまとめて釘を刺すわけにはいかない難しい所があるのですが。そういう人達が勢力を持っているのは「親共勢力」が過去に歪な思想・主張を繰り返してきたからであるという話も以前したと思います。

 親共勢力また彼らの共産主義思想・政治・外交論などなどが間違っていたわけで、それを否定するのはかまわないと思います。しかしいつまでそれをやっているのか?彼らが間違っていたことなんかもうわかりきっていることだし、そういう勢力・思想を未だに支持する人なんて殆どいない。そんなものを相手にする力・時間があるのか?何故そんな無駄なことにエネルギーを割くのかまるで理解できない。

 その「アンチリベラルサヨク」=「アリサヨ」の話は一旦置いといて、「親米右派」のロジックのおかしさについて触れたいと思います。

 現今の国際関係から考えると、日本は「反米」という基本・論理を無視できない。中国や北朝鮮という眼前の脅威を無視できないから「反米」を引っ込めざるを得ないと考える人もいるでしょうが、それは正しくない。日米同盟を最重視・堅持しながらも、「反米」を主張して、米に強い態度で挑む・反省を求める姿勢を取ることは十分可能である。米の言いなりになって、米の世界戦略を忠実に行使しなければ、日本の安全保障は全うされないわけではない。日本なくして米の世界戦略は成り立たないのだから、もっと対等の関係を要求することは十分可能である。

 「親米右派」は米に対して対等な要求をしない、現今の体制、「属国」であることを良しとする。米との外交交渉での衝突を根本的に避けている。こういう姿勢・政治勢力は個人的に大嫌いなので、彼らを支持することはありませんし、何度も否定的に言及してきました。

 そして今回言及したいのは、彼らは「アリサヨ」、左派・「親共左派」の否定(時に罵倒)を軸として、仮想敵を叩くことで自己の「親米右派」という勢力の伸張にしているという図式があること。本当の批判、正確な現状認識に対して論戦をして、より良い結論を導き出していくのではなく、そういう「愚かな敵」もっと言うと「悪」を創り出して、「悪」を叩くことで自分たちを「正義」として演出するという論理があるようにおもわれます。

 日本会議云々が一時期話題になりましたが、個人的に全く興味がありませんでした。そんな勢力に政治を変える・動かす力があるはずがないですしね。件の森友学園のように、歪んだ思想を歪な形で発露させて壮大な自爆をするのがオチでしょう。

 で、その日本会議が反共思想の流れをくむことから、その日本会議を警戒するのは誰かと言われれば、当然旧「親共左派」の人々であるとみなすのが自然でしょう。

 要するに日本会議がどうしたこうしたという一連の政治思想の話は、「反共右派」と「親共左派」という時代錯誤の冷戦時代の異物の発想を引きずったものたちの対決であるといえます。一体何時の時代に生きているのだと突っ込まざるをえない、驚き呆れる話です。

 現今政治情勢・国際秩序などを考えると、「反米右派」や「反米左派」という思想が軸にならなければいけない。その彼らの登場によって、カウンターパートの新「親米右派」だったり「親米左派」*2が生まれて、より政治勢力が切磋琢磨して、民主主義・議会政治を発展させていくべき。

 ―であるべきなのにも関わらず、冷戦が終わって日米対立の時代があって、米一極構造の時代があり、その時代にも変化が見えつつある時代の流れにおいても、未だに冷戦時代の「親共」「反共」という古臭い構造を引きずった思想を持つ人間が政治の中枢を占めている。90年代で冷戦直後ならともかく、もう10年代も後半に差し掛かって20年代に突入しようかという時代にこの有様。いかに政界に人材がいないか、優秀な若手が参入していないかを象徴する出来事でしょうね。

 「いや自民党には優秀な中堅・若手が綺羅星の如く控えている。「反共右派」・「親米右派」という清和会系統の太子党らがのさばっているだけで、彼らが失脚すれば自民党はきちんと生まれ変わるのだ!黙って見てろこのこわっぱが!」

 ―と自民党の反主流派のお偉いさんにでも説教されるような状況にあるのならば、良いのですけどね…。とりあえずは今の自民党政治が政党内の主流派交代で事実上の政権交代が起こるのを願うばかりですね…。

 ※追記、忘れていましたが、現在の「反共親米右派」が反共のロジックを捨てて一からあるべき保守政党・保守政治を目指さなければならないのと同時に、「親共左派」らもその姿勢を見直さなければならないわけですね。与党のまずい点を指摘するだけで、野党サイドのそれを指摘するのを失念していました。

 現在の野党、共産党を除いて、「親共」である政治勢力・政党は殆どないと言っていいでしょう。がしかし、旧社会党などその影響で、民主党・現民進党にそういう親共的な思想はある程度残存しているわけですね。以前、民主党労働党を目指せという話を書いて、旧社会党路線に先祖返りするのか、それとも労働党の方向へ進化するのか、そういう論理があるという話を何処かで書いた覚えがありますが、現在民進党は「民主党」から更に「進んだ」政党になっていないといけない。民主党の悪い性質、「親共」的なものと脱却・決別していないといけなわけですね。

 それは単純に共産主義を指すのではなく、戦後言論空間で非現実的な主張を繰り広げた空想的平和主義など非論理的・非現実的な思考形態を指します。そういうものからの脱却が果たして出来ているのか?

 個人的に鳩山由紀夫を評価していたわけですが、かれは頭が良くとも政治家としては無能だった。目指すべき方向性はあっていても、非現実的で、それを実現させる手段に欠けていた。理想を掲げる・ビジョンを描いたことは素晴らしいと思いますが、それを実現できないなら意味はない。かのような非現実的な思考をすること、正論・理想を説いてそれで改革に失敗して、支持者の失望を招くような事態を二度と招いてはいけない。政策・理念・理想の実現化には、かのような抽象的・空想的傾向から明確に決別する必要性がある。

 現在北朝鮮の脅威が叫ばれている中、殆どの国民は安全保障について危機感を覚えるわけですね。よくよく考えれば、現在の脅威の度合い・レベルはそれほど深刻なものであるとはいえない。しかしそんなこと殆どの人はわからない。大丈夫なのか?という恐怖をまず抱く。そういう時に民進党が政権を取ったら、安全保障で大丈夫なのか?民進党の新首相が国を守れるのかという不安がある人が一定数いる。そういう人々に果たして現在の反安倍攻勢で国会に向かう態度でいいのか?反安倍姿勢を崩すなというのではなく、安全保障について自民党の甘さを指摘し、民進党なら自民党のずさんな管理ではなく、もっとうまくコントロールできる。より安全に透明性を高めて国を守れるという点をアピールしないといけない。そういう中で安保通の長島が離党ということを見ると、一体何をやっているのかと思わざるをえないわけです。どうするんですかね、一体。長島さんが小池新党に参加して政界再編にでもつながればいいですが…うーん。

*1:沖縄の事件に見る「アンチリベラルサヨク」という思想

*2:親米左派と言わるとちょっとピンとこないのですが、政治勢力・思想上ぶつかりあった結果生まれ得ないわけでもないので一応書いておきました