てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

スポーツ界の不祥事・パワハラについて

 まあ、書くほどのことでもない話なのですが、気になった記事を見かけたので、書きたくなりました。そのきっかけがこちら→日大の相撲・アメフト部、“用心棒”経験経て学内で地位高めた│NEWSポストセブン―とあるように、日大では相撲部・アメフト部が重要な地位を占めている。それは学生運動時代の流れ、学生VS大学という図式があった時代に、運動部が大学の兵隊として大学を守る活動をしていた。それによって大学行政や警察に食い込んでいったという背景があると。
 というか20億円の使途不明金という時点で学生運動と言うよりも、完全な経営の問題ですね。なんでこんな馬鹿なことをやるトップをおいといたのか…。まあ戦後復興期から大学運営に携わっていたようで、現代の大学事情とは異なるいろんな背景があったんでしょうけどね。前から学生運動の問題があって、この問題はきっかけにすぎず、結局いずれはぶつかったと見做すべきですかな。
 んで、運動部系は職の面倒を見てもらう見返りに大学に協力するという流れがあったわけですね。特に学生運動の鎮圧に協力した学生が警察に入っていって、2017大卒の警察官では日大卒が最も多いと(過去ン十年、現在どの大学出身者がン千人なのか見ないとちょっとデータとして弱い気がしますが…)。また、危機管理学部で警察OBを天下りさせており、日大と警察は太いパイプがあるという話。
 理事長の田中氏にしても、元学生横綱で今でも相撲界に強い影響力・パイプがあるんですよね。学士力士では、日大出身者が一番多いですし。この不祥事で田中理事長から、日大系力士にも負の影響が及ぶのではないかと角界関係者がヒヤッとしたなんていう記事も見ましたしね。唯一の大卒横綱輪島に始まり、舞の海高見盛琴光喜などが有名ですかね。今だと石浦や遠藤ですか。学士力士が今後角界を変えていく存在になるとしたら(学士様が言ってることはわからねぇやと中卒・高卒力士が殆どの世界で倦厭されているという話があるのでそう簡単に行かない可能性のほうが高いのでしょうが)、その中心大学日大がパワハラでボロボロという要素は後々関わってくるかもしれませんね。まあそんなことはさておき、パワハラの話を。
 
 ⬛アマチュアスポーツでは時に卑怯な反則が起こりうる
 日大タックルをきっかけに続々でてきたスポーツ界の不祥事についても一言二言コメントを。日大タックルという明らかな反則行為、勝利のために相手選手に怪我を負わせる。傷害行為を厭わない監督・コーチの指示については、今更あーだこーだ言う必要はないと思います。やるほうが論外なのは言わずもがな、やられる方は最悪そういうクズが背後からのタックルのような論外の反則に出てくることを前提に防止策を取っておかなくてはならない。
 関西学院が問題というわけではありませんが、リーグ戦で日大と対戦する諸大学は彼らがどうも汚い・怪しいチームだということは、陰に陽に知っていたはず。であるならば調査を進めておいて、それこそスパイ活動・諜報で相手の反則指示などを掴んで、告発するくらいのことをしないといけない。ボクシングの記事で世界戦においては、そういう汚い世界である以上、反則を前提として戦え・相手がルールを破る前提でそれをさせないような契約条件を盛り込めと書きましたが、スポーツの指導者は常識として相手の反則・反フェアプレーを前提にしておかないといけないということですね。
 行き過ぎた勝利至上主義云々という話がありましたが、指導者にとっては結果が全て。それで自身の成績=給与・待遇に関わってくるのですから、反則をいとわない者が出てくるのはむしろ当然でしょう。プロスポーツ・五輪から遠いマイナースポーツであればあるほど、他に目的がないのですから尚更その傾向は強まるでしょう。世間に注目されることもなく、大学の名誉だったり、そのスポーツ内での狭い世界でのシェア・自身の名声を高めること以外他にすべきことがないのですからね。
 
⬛むしろこれまで報道のメスがはいってこなかったことが異常
 逆に言うと、そういう腐った業界が放置されてきたということですね。それだけ大学・アマチュアスポーツという領域において、メディアが興味・関心をいだいてこなかったということですね。
 今、不祥事が頻発しているのは、何のことはない。腐った世界が放置されていただけです。で、不祥事が起こって、話のネタとして面白いから食いついて飯のタネとして利用しているだけですね。メディアにとって「画」というのは非常に大きい。SNSでいくらでも拡散できる時代に、動画撮影をしてくれる個人がたくさんいる(ハンドボールやバスケの留学生の事件もありましたしね)。ショッキングな映像が撮れるのですから、あとはそれを利用して報道すれば良いのですから、楽なことこの上ないですね。
 ※一応ですが、まっとうなジャーナリストの名誉のために書いておくと、そういう危険な行為・パワハラなどについて地道に取材をしていた心ある人も少なからずいたはずです。それを取り上げてこなかった。飯のタネにならないからスルーされてきたという要素もあるわけで、そういった不祥事報道を積極的にすくい上げて是正する対応がなければそうなるのも当然ですね。報道のせいだけにすることは当然出来ません。
 
⬛問題外の危険な反則に断固とした処置を
 日大タックルの事件で疑問に思ったのは、審判が背後からのプレートは関係ないというタックルで怒ってフラッグかなんかを叩きつけたという話。ありえない反則ならば、その異常性は一度でわかるのですから、即退場と没収試合が筋でしょう。田中賢介の走塁のところでも書きましたけど、ああいう事例については審判が危険な行為だと認定して、即座に判断を下せばいいだけなんですよね。そういう非常事態における判断・個人の意志を示せないレフリーが多いですね。中立な影役なので、強力な意志・試合を左右する決定的なジャッジを下せないというのはわかりますが、怪我をするレベルの危険なプレーについては強固なジャッジを下すべきという前提をスポーツ界前提で共有しないとこういうことはまた起こると言えましょう。
 結論として、危険な指導者が存在するチームと戦う相手チームは反則をマークして、審判に速やかに通告すること。審判もまたそのような危険行為があった場合、反則負け・没収試合という措置をとること。危険行為追放のために徹底したマークを怠るなということですね。
 
 ⬛パワハラ対策に取り込まない限り問題は再発する
 危険行為はそれでいいとして、もう一つの問題パワハラはどうするかという話に移ります。日大のチアリーディングや日体大の駅伝など大学内・特定の組織内で問題が完結してしまう場合どうするか?本人や第三者が告発しない限り中々明らかにならない。また不問にされやすい、もみ消されやすいという現実があります。今回、渦中の日大であったことが、チアリーディングの告発に非常に有利に働いた。そしてパワハラ・いじめ案件で声を上げれば勝てるんだという既成事実が誕生したことで続々と声が上がった、我も我もとなって告発が続いたんでしょうね。大学でも社会人チームでも第三者の目が触れやすい環境を作るとか、問題が起こらないか定期的に別系統の監査・チェックが入るようにしないといけないでしょうね。
 そもそも上意下達で風通しが悪い組織が殆どでしょう。旧時代のシゴキ前提で育った選手がそのまま監督となって、暴君のように振る舞うケースは後をたたないわけで。そういう古い慣習が嫌で、能率的・合理的練習や組織運営をしたいという人がトップに選ばれない限り、まず組織が変わることはない。監督=指揮官とコーチと選手が、それぞれどういう役割でどういうことをすべきなのか、事前に明確にされている組織の方がレアでしょうからね。暴力だけでなくパワハラという問題に対して徹底的に取り組む。そのための研修・指導者、第三者を介入させるなど、今のうちにウチの大学では決してスポーツで不祥事を起こさないと一から取り組まなければ、今後も続発するでしょうね。そしてそういうちゃんとした大学は殆ど無いでしょう。
 
 いじめやパワハラというのはまあそういう常識な対応で十分なわけですが(それすらも満足にできていないからこういう事が起こっているわけですが)、問題は指導に含まれる暴力。話題になった体操界の宮川選手への暴力行為ですね。コーチの速水氏の映像が出るまでは、被害にあった本人がパワハラではないと否定していたことから、気に入らないコーチ潰しの謀略・策略なのではないかと思っていました。しかし実際に映像が出てくると、言い逃れのない行為。完全にアウトだとわかりました。体操界は塚原夫妻が正常な範囲を超えて権力を行使しているという問題以外に指導に暴力を用いるという悪しき慣習が未だに強く残っているということ。まあ、体操に限った話ではないのでしょうが。
 レスリングの栄氏が実績を以って組織に君臨し好き放題やることが出来たのも、そう珍しい話ではないでしょう。スポーツ界の組織では、偉大な実績を持つものがカリスマとなって君臨しやすい。スポーツ庁辺りが担当となって、組織運営を毎年チェックして人事や予算について適宜問いただしておくほうが良いでしょうね。まあ、そうするとスポーツ庁の力が強くなって、そっちの組織が腐敗していくのでしょうが。
 何度も書きますけど、対策してゼロとは言わなくても不祥事が発生する確率をぐっと減らすことは出来ます。アタリマエのことが当たり前に行われる組織を作って運営すればいいだけですから。まあ、そういうアタリマエのことを理解した人がスポーツ界に(下手したら日本の社会殆ど)いるとは思えないので場当たり的な対処・厳罰をしただけで終わると思いますが。
 
⬛山根ロスで五輪惨敗では意味がない、汚い世界に適応すべし
 で、最後に特筆しておきたいのは、アマチュアボクシングの話。山根会長が追放されることで、この事件は話を追えましたが、最初に思ったことが、これで大丈夫なのか?ということ。ボクシング*1という世界は、何度も書いたように汚い世界であること。公平性はどこへやら、謎判定が日常茶飯事で起こるわけです。プロでさえ、定期的にこの試合の判定はおかしくなかったか?という騒動が年に数回はある(下手したら10回?)。アマチュアボクシングは言わずもがな。オリンピックで明らかに勝っていた選手が判定負けするという事例は枚挙にいとまがない。
 そんな世界において山根氏が「俺のおかげでメダルが取れた」というのは一定の説得力があるわけです。ある種ヤクザもの、マフィアのような存在の彼は、表だけでなく裏の事情も知り尽くしていて世界中のボクシング関係者に顔が利く・太いパイプを持っていた可能性がある。事実アマの国際的な関係者とコネを築いていたわけですね。清水が判定負けしたのに抗議で覆ったという異例の事態も山根会長のコネのおかげという性質があってもおかしくないわけです。
 村田の決勝戦で山根会長の甥だか誰かをセコンドに無理やりつけたのも、周囲に「不当判定をしたらわかるよな?」という圧力。もっと進んで言えば「どっちに判定を下せばいいかわかるよな?」というメッセージだったと言えるわけです。村田の実力でメダルが取れたのは言うまでもありませんが、そういう用意周到な配慮がプラスに働いたのは疑いようのない事実なわけです。そもそも村田自体が件の「奈良判定」によって優遇されたカテゴリーにあった奈良県民だったわけですしね(言うまでもなく村田の実力に奈良判定は大して影響ないでしょうが)。
 「奈良判定」そして「日大判定」なる言葉でわかるように、山根会長の恣意的な裁量でこの選手を育てる、そしてその煽りを食って排除されるという不正常・不健全な事態が続いてしまったのは確かで、それ自体大問題で追放されるのは当然すぎる結果でしょう。しかし、山根パージ(追放)で、ボクシングにとって必要不可欠な世界的な影響力というものについてはどうするのか?という別の問題が出てくるわけです。ダークな独裁者山根がいなくなりました、でも世界的な影響力がなくなったので、判定でぼろぼろ負けるようになりましたでは困るわけです。改革で山根追放をやるならばその点もきっちりやってもらわないと困る。そういう当たり前のことを指摘している人はいるのでしょうか?
 そんなことを思っていたら、やはりこういう話が出てきましたね。山根ロスのボクシング連盟、新会長が逮捕歴を告白の仰天負けるはずのない選手がおかしな判定で負けてしまったとのこと。これについてはどうするつもりなのか?ちょっと考えてもらわないといけません。他のスポーツだとそこまで重要ではなくてもボクシングという汚い世界においては重要なことですからね。
 ボクシング界の不正がなくなる見通しがあるのならばともかく、そうでなければ五輪で不当な判定にあって惨敗するのは目に見えている。判定で涙をのまないように対策をすべし。第二・第三のクリーンで問題のない山根を作るか、五輪直前にだけ山根を復活させるか考えなければならないでしょうね。プロアマの雪解け、ボクシング団体の一括化に、健全なボクシング業界のために色々示唆するところの大きい事件でしたね。
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