てくてく とことこ

15/12/18にアメブロから引っ越してきました。書評・時事ネタ(政治・社会問題)で書いていく予定です。左でも右でもなくド真ん中を行く極中主義者です。基本長いので長文が無理な方はお気をつけを

【コードギアス解説・考察】 Re; 「繰り返し構造」の解説補足 1期と2期の対応シーン:スザク救出劇とゼロ・レクイエム&ルルーシュ≒ユフィ

見直したら文量がおかしなことになってたので分割です。

こちらが元ネタで

こちらが前回・分割元です。 


■スザク処刑のシーンとクロヴィスの御陵車
 ああ、そうそう。意外と気づかれていないのかな?と思ったシーンが有ったのでその話を。stage4「その名はゼロ」でルルーシュがゼロになった事件、スザクの救出劇とジェレミア卿がオレンジになった場面ですね。これが最終回の伏線として機能していたことがあまり指摘されていないのかな?とふと思ったので、その話を(まあ面倒くさいからググって色々なサイトやブログを見ていないので普通に指摘されているかもしれませんが、気になったので書いておきます)。
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(※処刑されるスザクを助けるためにゼロの仮面を被るシーンです)

 ルルーシュルルーシュらしく、策略とギアスでスザクを奪還というか、救出・解放しました。ゼロのデビュー戦(?)として華々しく衆人の中から、目的の人を救う。奇跡を実行するわけですね。ジェレミア卿はギアスにかけられてまんまとルルーシュの罠にハマり、この事件をきっかけにオレンジというあだ名で馬鹿にされ続けることになります。
 この一回目は、スザクがルルーシュの仲間になれという勧誘を蹴って「じゃあの」とスザクは去ってしまうわけです。一回目は、スザクのために危険を顧みず、元から予定の一環だったとは言え、ゼロの仮面を被って命がけで助けようとした。スザクのために仮面の騎士・ゼロとなったわけですね。しかし、この時点では仲間になれというルルーシュの願いは断られた。
 ルルーシュの目的はナナリーという弱者でも生きていけるような「優しい世界」を作ることでしたが、当然その「優しい世界」で平和に生きていける対象として親友のスザクも含まれていた。スザクのことも考えられていたわけですね。ルルーシュにとっては大事な妹と並んで大事な友達・親友枠として譲れない存在でしたからね。大事なパーツ・ピースとしてのスザクでしたが、本当に最後の最後まで思い通りになりませんでした。未練たらたらで1期の最後の最後までスザクのケツを追いかけ回す展開が続くとは、この時は誰が予想したでしょうか(笑)。
 

■ラストのエンディングシーンと1期との対応について
 対照的というほどでもありませんが、最終回の場面では皇帝ルルーシュを補佐・警護担当をするジェレミア卿。そしてその皇帝を暗殺するゼロとしてのスザクという図式でした。細かいところでは御陵車、車を運転していたカレンと扇が、捕虜となって死刑執行されようとしていたという違いがありますが、まああまり重要な要素ではないので脇においておきます。
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スザクを処刑しようとする(軍事法廷へ向かう)護送車両の道を、偽装されたクロヴィスの御陵車が邪魔をする
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カレンが運転手でスザクは捕らわれている状態
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クロヴィス殺害の犯人はこの私だ!という宣言(=皇族殺し)
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ギアスにかかって全力で見逃せという命令を出すピエロ役
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目的通り、スザクを救う。

 二回目・最終回のシーンでは、スザクがゼロとなり、皇帝ルルーシュを倒すという形です。ピエロだったオレンジ・ジェレミア卿は、ゼロ・レクイエムの立役者として警備を担当していますね(マリアンヌの警護役として忠義を果たせなかったことを、今度は真逆の形ですが、重要な役割を果たさせてやることで忠義を果たさせてあげるというルルーシュなりの優しさなのでしょうか)。文字通りジェレミアが踏み台になることで目的が達成された形ですね。
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 ルルーシュが皇帝として憎しみを集めて死ぬことで、世界を救うゼロ・レクイエム計画ですが、そこでは「スザクがゼロになる」という大事なポイントが有るわけですね。初代ゼロから二代目ゼロの跡目継承式というだけではなく、ルルーシュがゼロとして始まり、ゼロとして終わる場面を同じシーン・構図を再現することによって、より象徴的に描き出したと言えるでしょう。ゼロドルを止めて普通の女の子に戻ります(ネタが古い(^ ^;) )どころか、人間まで止めてしまう。自分の身を犠牲にして世界を救うシーンを、より劇的に描き出すのに、最初にゼロになったシーンを重ね合わせる・フラッシュバックさせたんでしょうね。
 ゼロとして終わる、と書きましたが、正確にはゼロとしては黒の騎士団から追放された時点でもう終わってるわけですね。しかし、これまでゼロとして仮面を被り、記号の存在として生き続けながら戦ってきた。最後にここまで生きた証、戦いを終える。ピリオドを打つという意味合いがあるので、ある種ゼロとして終わるとみなしてもいいでしょう。
 それこそ世界平和・「優しい世界」のためにギアス使いまくって無理やり命令をして、強制的に平和を作ることだって可能なわけですからね(当然時間制限付きですが)。そんな強制をせずに自分を消して新しい記号、新しい希望の存在を作ることで、世界をまとめようとした。ゼロとしての自分は消えても、また次の新しいゼロ=希望が世界を導いてくれるという、ルルーシュらしい希望に満ちた最後のメッセージですね。花京院の最後のエメラルドスプラッシュのようなものです。
 これまで死にたがりだったスザクは、双方合意の上での計画ですが、ある種「ルルーシュの最後のギアス」にかかって、ゼロとなったと考えることも出来ますね。スザクは個人・人間としての自分を殺して社会から抹殺した。そのうえでゼロとなって、世界のために生きるという道を選ぶことになった。わかり易い例でいうと天皇陛下でしょうかね?全人格が公人となり、私人としての要素・性格がほとんど認められない存在。そういった存在にスザクはなった。スザクを救いたいという思いを抱いていたルルーシュの願いは、このようにスザクの自我を完全否定、私人としての生活すべてを否定するという「罰」を与えることでスザクを生かす道に向けたんですね。
 過去の罪から死にたがっていた、殉職・二階級特進を望んでいたスザクを「罰」を与えることで贖罪し、生かすことになった。1期でユフィが「愛」によってスザクを救ったのと対偶に近い処置ですが、それでもルルーシュルルーシュなりにスザクを救ったんですね。*1
 希望の存在=仮面の騎士ゼロとしての始まりが、憎しみの存在=皇帝としての終わりという対比として見事に描かれましたね。
 

■ユフィ≒ルルーシュが世界を救った
 あともう一つ、
一番初めのリンク先で、ナナリー=ユフィとしてなぞらえられていると書きました。そしてルルーシュもまたユフィとしてなぞらえられているということも。
 ナナリーが1期のユフィとして話が展開しているということは、特に詳しい説明をするまでもなく、わかると思いますが、もう一つのルルーシュがユフィとして機能したという話は解説しておかないとわからない人も中にはいるかも知れないので、一応書いておきます。昔書いた文章を読めば、改めて書かなくてもわかることだと思うんですけど、一応書きたくなったので書いておきます。
 「繰り返し」ているという事実と、実はルルーシュがユフィとして機能したということを書いておけばもう分かると思うのですが、最終回ゼロ=スザクに皇帝ルルーシュが殺されたというのは、ママ1期で皇族ユフィがゼロ=ルルーシュに殺されたのをなぞらえているわけですね。
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ギアスをかけて自分を撃たせることでユフィを奸計にはめようとするも、ユフィは皇族の身分を返還することでゼロ・ルルーシュの重罪を帳消しにするというプランを明かす。このことを聞いたルルーシュは話し合いでユフィと手を組むことにする。
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が、ギアスが暴走して、結果ユフィは日本人殺戮キラーマシーンとなってしまう。
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ユフィを止めるすべはなくやむなく、狂人と化したユフィを射殺する。この一連の流れをまとめるとだいたい次のような感じになります。
ブリタニアの国是ナンバーズを区別するという方針を変えるために皇帝を目指す(①)ユフィ。ユフィとの話し合い(②)で、皇族の身分を捨てる(③)というユフィの提案を受け入れるも、ギアスの暴走でギアスにかかったユフィ(④)日本人を虐殺(⑤)ゼロ(ルルーシュ)がギアスにかかったユフィを殺す(⑥)
 ユフィは皇族特権を使って、皇族としての地位・身分を捨てる代償に、ゼロ・ルルーシュの罪を贖おうとした。免罪しようと動いていた。自分の身を犠牲にしてまで、ルルーシュを救おうとしていた。
 それと、ルルーシュが自分の身を犠牲にしてスザク=ゼロを救おうとした。世界を救おうとしたというのはママ対応しているんですね。ルルーシュは地位や身分ではなく、自分の命という形ですが、なぞらえられているのは一目瞭然ですね。
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(※皇帝となった(①)ルルーシュが、Cの世界での話し合い(②)で、ゼロ・レクイエムで自らの命を捨てる(③)ことで世界を救う計画を立てた。憎しみを皇帝ルルーシュに集中させて、自ら消えることで「優しい世界」を完成させる。スザクにかけられた生きろというギアスが暴走(④)し、フレイヤを使用。東京租界に住む日本人だけでなくブリタニア人も(おそらくそれ以外の国籍の人間もいたでしょうが)、1000万人以上虐殺(⑤)ルルーシュで言うとギアスを使って戦争を引き起こして巻き込んだ人間だったり、テロの工作活動で一方的に殺してきた数多の人間と解釈することも可能でしょうね(最終戦争で多くの兵士にギアスをかけて操り人形にして利用して殺してもいますしね)。ダモクレスを抑えて、フレイヤを使用したこと=巨大な力を握って支配していることと解釈することも可能でしょうか。
 スザクのギアスの暴走はまあ余計な話④’とでも言うようなものですがね。Cの世界で人々の意志に触れて、皆が明日を願っていることを知った。その願いをかなえるために自分自身に「願い」という名のギアスをかけた(④)。そのギアスにかかってゼロ(スザク)がルルーシュを殺す(⑥)と、まあそういう「繰り返し」構造ですね。
 おまけとして死の間際にあったユフィとスザクの最後の会話、愛する人との最後の会話というのは、ルルーシュとナナリーの最後のシーン。言葉をかわさずとも触れるだけで全てがわかるナナリーが、満足した笑みを浮かべたルルーシュの表情を疑問に思って、触れる。そしてすべてを知って、最愛の兄を失って泣くというシーンとの対応なのでしょう。スザクが最も愛した女性とルルーシュが最も愛した妹という点で対応しているということなんでしょうね。)
 もう既に指摘した話ですが、ユフィがスザクを自分の騎士として取り立てたこと、そして皇帝ルルーシュがラウンズを超える存在、帝国最高の騎士ナイトオブゼロとして取り立てたこと。それらも全く対応しているわけですね。
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 なんでユフィが虐殺皇女の汚名を負ったままなんだ!汚名が雪がれないんだ!みたいなのをどこかで見ましたが、この構造に気づけば一目瞭然ですよね。ルルーシュはギアスの暴走の果てにユフィを殺したという罪を、スザクと世界の救済という手段を通じて、ユフィがしたかったことを変わりに全て成し遂げたわけなんですね。これを見ればユフィへの贖罪は十分すぎるほどなされた・果たされたとわかるはずなんですけどね…。このことについて理解している人が意外と少ないのでしょうか…?
 ユフィはスザクが決して最後までルルーシュがゼロだと言わなかったように、誰かを憎んだり、そういうチンケな感情を持たない聖人なんですよね。ルルーシュもナナリーも、スザクもそして世界のみんな全てを救いたかった。それこそが彼女の目的であって、その果てに自分が死ぬということも厭わなかった人物・キャラクターなんですよね。皇族の地位を返上してまでルルーシュを救おうとした時に、「最愛の姉、コーネリアとだって今と同じ関係じゃいられなくなる。バカじゃないか君は?」とルルーシュが驚いたように、関係ない他人のためにそこまで出来る人間なんてそうはいないわけです。ルルーシュで言うと、ユフィのためにすべてを捨ててナナリーとろくに会うことも出来なくなるという選択肢を選ぶということですからね。そういう選択を、ナナリーが「ルルーシュさえいれば他には何もいらない」と言ったから、その言葉を聞いただけで決心がついて自分のすべてを投げ出したというのですからね。
 そんな献身という言葉を体現したような人間、シュナイゼルのように皇族として人を見下さない「一人の人間ユフィ」*2となら、明日を作ることが出来るとルルーシュは事前計画を一旦破棄したように、世界のために自らを省みない想いこそが、策略や偽り・陰謀、権謀術数に勝ったんですね。
 今から思うに、この時点で世界平和のために、皆が笑って平和に暮らすことが出来る「優しい世界」を作ることを願っていたユフィのギアス(願い)に二人共かかっていたとみなすべきなんでしょうね。そして、ルルーシュとスザクが手を取り合う・協力するというユフィのギアスにかかって憎しみや復讐を乗り越えて協力、ゼロレクイエムを実行することになったと。 
 ユフィの願い、行政特区日本という枠組み=皆が仲良く平和に暮らせるシステムは、合衆国日本という世界的規模の形をとって実現した。ルルーシュとスザクの手によって見事に昇華され、現実化した。ユフィの遺志が果たされたということですね。

 ※追記、思いついたので追記。1期のラストでルルーシュはユフィを殺したことで狂ってしまいました。初恋の人を殺めざるをえなかったという苦しい現実に直面して、本来の自分を見失い、おかしくなってしまうわけですね。それでスザクに対して冷静に話し合い・交渉ができずに、ユフィを殺したことを「過去」と切り捨てて、お前も父親を殺しているだろうという暴言を吐きました。そしてスザクも親友を売って出世するという道を選んで、以後はおかしくなっていくわけですね。愛する人を守れなかった苦しみでより、結果を残さねばと異常に&今まで以上に、自分の正義にこだわるわけですね。
 また、言うまでもなく、返してよ!私の女神様を!と言っていたユフィ信者だったニーナもおかしくなっていました。フレイヤ・核を使ったという伏線はあれど、ユフィを失っておかしくなってしまった三人がいるわけですね。この三者三様のユフィを失っておかしくなったトリオが、ゼロレクイエムを通じて全うな道に進んでいく、立ち直っていく・正常化するという展開なんですよね。ユフィを失うことで狂った三人が、ユフィの遺志を継ぐ・やろうとしたことを引き継いで実行することで、自分の道を見つけ出す。あるべき姿を取り戻していくという構造を考えるとより最終回&その前の決戦シーンを楽しめるのではないでしょうか?

 とりあえず思い出せたことと、思いついたことを書き連ねました。2日で終わるかと思ったら、3日かかったか…。新作映画についてのちょっとした予想みたいなものを、映画公開前に書き終わるだろうか(^ ^;)。結構やっつけ感があるので、あとで追記修正をまた何度でも「繰り返し」て行いたいと思います(_ _)

*1:ここだけ切り取ってしまうとスザクが一方的に「罰」を受けているように見えてしまいますが、ルルーシュにとっても「罰」という名のある種救済なんですよね。これまでさんざんギアスを使って人々の気持ちを踏みにじってきた。当然殺しても来たお互い武器を持ったフェアな対決ならばともかく、自分だけが一方的に武器を持って戦って勝ち続けたアンフェアなやり方で勝ち続けてきたわけですからね。1話のブリタニア軍人のように、同じように銃を持たない相手を虫けらのように平気で撃ち殺すクズはともかく、ダールトンやギルフォードのようなフェアな軍人でさえギアスで操ったわけですし、そのやましさは言うまでもないわけです。そしてその「罪」をゼロ・レクイエムという「罰」を受けることで責任を取り、救済されたということなんですね

*2:ルルーシュが「君は、皇族や副総督ユフィである前に、ただ一人のユフィという人間だったな」と言っていますね。皇族という身分だったり、副総督という政治的高官・ポストという地位からそのステータスにうぬぼれて人を見下して行動しなかった。同じようにルルーシュも皇帝ではなく、「一人の人間ルルーシュ」として世界のために我が身顧みず行動したということでしょう、ユフィの遺志を引き継いで。