道教読書録③
星や道そのものを敬ったが、既に死んだ英雄を敬うことはしなかった。血に飢えた悪魔と考えていた。菜食主義(数ある人間の過剰競争の排除だけでなく、食糧を減らして生きる人間の規範のためというのがあるな)。
道教は各地に溶け込んで宗教組織が成立しても統合はされなかった。
p23、憑依・降神術によって、経典を更新する。一度限りの啓示ではなく、何度でも更新がされる。
p25、米道は儒教の死者崇拝やいけにえの儀式を否定した。
p28、しかし死者崇拝や生贄の儀式、民間信仰に接近していった。宋になるとこれが加速し、各地で崇拝されていた真人を教義に組み込んでいく。先天的な神に対し、死後英雄が神になるのを後天の神とした。人と神の中間体としての英雄。悪魔祓いの儀式への積極的な参加。明以降国家と対立、排除。
p41、宇宙=天体を解明することで、あらゆる理が理解できると考えた。儀式で星の形どおり歩んで尊神を招く。つまり天体の理をなぞることで神と交われるわけだ。
p73、内丹術が目指すもの、妊婦のように赤子を丹につくり、赤子が、頭から生まれると内丹術の完成となる。
- 緯書と中国の神秘思想/安居 香山
- ¥2,100 Amazon.co.jp
p62、本人が緯書の重要性を説かれる方だから、分かっているんだろうけど、本来合理主義の儒教が神秘主義に走ったというような表現がある。これはどうかな?むしろ幅広い包括的な思想を含まざるを得なくなったことは、イデオロギーとしての、国家理念としての成長を意味する。
p120、彗星=凶兆。カエサル・アグリッパの死と関係付け。
p203、王莽は息子を4人中3人殺している。気になるのは彼が成功していた場合、則天武后のような形になったかどうか?最後の一人は皇太子として決まっていたのか?周こうたん路線の可能性もあるからなぁ。
ついでに出てきたから、そういえば麒麟とか鳳凰とかこうりゅうとかあるけども、これって奇形獣でいいかな。一角獣は多分鹿とかだろうし、鳳凰はなんだろう良くある渡り鳥の迷い込んだ珍しい鳥とか、奇形のでっかいやつとかかな?竜はなんだろうな?鯨とか?
p215、崔発は符命革命の貢献で説符候となった。
p216、劉歆が王莽の革命ブレーン。後漢の鄭玄みたいに大学者が革命の手助けをするもの。
p219、光武帝は図讖革命、王莽は符命革命。(九錫、2服、3音楽、4朱戸、5階段9つ目酒。服や音楽の重要性はわかる。朱戸?階段は、そういう高い建物に住めっていうメタファか?んでやっぱり酒ね。酒造りってのもやっぱり神事かな。特別な意味合いがありそうだ。そういやなんか神と酒って深い関係があったな。忘れた)
p229、正朔・服色を改める。農業にふさわしい暦を定めること。服や旗を正しい色に改める。漢は赤の旗・服。秦は黒の―。ということは魏は黄色のそれか。曹操が魏公になったときすでに、公府では旗とか服とか黄色に改めていたのかしら?んで、晋は金徳=白か。白服ってなんか変な感じがするなぁ。喪服みたいな官服をみんな着ていたのか?当時の喪服は白ですからねぇ。
p232、成立がはっきりしない孝経。春秋~漢初=分かってないも同じ。相当遅いのではないか?孝という価値観は昔からかなり強かったものではあるだろうけども、必ずしも絶対の価値観ではなかった。オヤ殺しの話などいくらでもあるし、近親相姦のようなものも。というか規範が緩かった守らなくても現実重視、現実が戦国のように流動的な世の中では二の次だった。それが漢帝国化して統一基準が生まれたころ急速に強化されていった。まあここでいいたいのは下だけではなく上の統治階級にさえも適用される形となっていったということ。漢のときに董仲舒の公羊学から春秋同様に重視される。だからこの二つの緯書が多かった。
そもそも忠義というような、君臣秩序の忠という観念はどれくらいあったのか?日本の戦国時代のように秀吉くらいしかな礼がないような状態だったのでは?史記の話で君主のあだ討ちはあったか?刺客列伝は仇討ちだけど個人的な話だから適用しちゃダメよ。朱子学的な絶対忠義みたいな観念ね。朱子学になって初めてそういう大義名分が出てくるしやっぱりないかな。孝を擬似忠義・忠誠観念としてまずアナロジーとして導入されたと考えていいのではないか?そういえば述べて作らずとかあったけど、誰か忘れたがソシュールの筆記性の限界の話かなんかとこじつけていってた。これって単純に政治情勢が安定していない現実があって、一義的に教理・ロジックを作ってしまうと、変化に適応できなくなってしまうからというだけだろう。もし孔子が完成版!とかサルでも分かる!とか聖~~といった書物で教理を述べて確定していたら、間違いなく後世の帝国規範・基盤の宗教、イデオロギーたりえなかっただろう。この点はキリスト教論理の不完全性と相似であるといっていい。
p243~5、緯書のタイトルは3文字。五帝=星神の名前三文字から。また儒教の論語の章タイトルは二文字。道教荘子は三文字。
- 書と道教の周辺/吉川 忠夫
- ¥2,625 Amazon.co.jp
- 講座東洋思想 3/著者不明
- ¥2,520 Amazon.co.jp